~第二話~
先生「ええ、まずは久恒団の成り立ちについて話そうか。ええ、絶対的な悪である魔法使いを駆除するために5人の老人がとある集団を作ったんだ。それが絶対的な正義の集団である久恒団だ。
で、その他の魔法使いを倒すことを目的として一時期大量に造られていた団体、通称チャレンジ団と比べても異例の速度だったらしい。その理由は一目瞭然、5人の老人が魔法使い駆除数の上位5位を占めているからだ。」
生徒「先生!なんで老人が若者より魔法使いの駆除数が多いんですか?」
こいつは何を言っているのだろうか。先生も呆れたような顔をしてるぞ?これから話すっていう事が普通に考えて分からないのだろうか?
先生「今から言う」
ほら!!僕の予測どうり、これから言うらしいぞ!!先生はお前が話すことを許可したわけじゃないのさ!
先生「ええ、では気を取り直して。老人は若者と比べて体力が劣っているはずなのになぜ魔法使い達を駆除できるのか。その理由は魔力量にあるんだ。魔力といっても非現実的な、それこそ魔法使いが使うような悪の力じゃない。善の力だ。これを習得できたのには人間と魔法使いの特別な関係性を知る必要がある」
おお、なんかいきなり洗脳されてる感じがすごいするけど気のせいかな?
先生「人間達は魔法使いと長いこと争ってきていた。何故、宇宙を創り出すほどの化学力を持つ人間に魔法を打つことしかできない魔法使いが抗うことが出来たのか。それは、魔法使いが使う魔法の特性にあるんだ。まず、魔法使いの使う魔法には、3つのランクに分かれてるのは知っているよな?そして、その魔法の元となったと言われているのが、人間の名言。『思い込みが人を作り、また世界を作る』っていうやつだ。これをたまたま聞いた知能の高い魔法使いが思い込みで魔法を作ったとされている。でも、これも神話の話だから本当かどうかは分からないけどな!
で、その魔法を人間も使えるのではないかと思い、人間側は魔法を使う原動力とされている魔力の研究を始めたんだ。まあ、これが最近、授業が義務化された『魔法学』だな」
先生が魔法学の話を出すと、数人の生徒が唸っていた。その理由は明白だ。だって僕たちが中学生になると同時に義務化されたんだ。そして、その内容がとてつもなく難しかった。だけどなんとか努力で付いて行こうとした人たちが、ようやく近いし始めた、という状況で突然難易度が下がった。もうこんなの、トラウマになるだろ。だって一生懸命頑張ってやったのに突然頑張らなくてもよかったのにと言われたんだぞ?もう恐怖でしかないだろ。そして、この学校はトップ校だから頑張っていた奴の比率も高いのだろう。だからこいつらはこんなに苦しそうにしているのだ。でも、先生はそんなのお構いなしに話を続けていた。
先生「そして、それに大きく貢献したのが今でもの駆除ランキング1位を誇る凄い人なんだ。名前は忘れた。で、まだ魔力の構造を完全に把握できたわけじゃないんだけど、魔法使いの魔法を徹底的に調べてようやく6年前に人類の魔法学が大きな進展を見せたんだ。そして、その勢いですべての生命体が魔法を使えるという事が判明した。そこからはもう簡単だったらしい。魔法使いが魔法を使う動作、魔力の流れとか、思考、詠唱、とか魔法を使う為に色々なことを調べた。そうして努力を詰め重ねた結果、今の社会のように魔法主義になっちゃったみたいだな。」
先生「でも、魔法使いの使う魔法と違う事があるとすれば、瞬発力と殺傷性だな。人間の方が予備動作なしに速く魔法を放てるけど、魔法使いは予備動作をして詠唱をしてから魔法を放つ。まあ、たまに詠唱なしで魔法をぶっ放してくる個体もいるらしいけどな。で、殺傷性は人間の方が低い。人間の魔法学では殺傷能力よりも魔法使いにいち早くダメージを負わせられるかを重要視して発展してきたらしい。
まあ、こんなところだな。じゃあ、少しだけ発展の内容に行くか」
先生が発展の内容に行こうとすると、すこし教室の雰囲気が重々しくなった。もうそろそろ実践をしたい力自慢の奴らが大量にいるから早く話を終わらせてほしいのだろう。
先生「おいおい、どうしたんだ?指定魔法の話に移ろうと思ったんだが、聞くか?」
先生がそういうと大半の生徒は力ずよく、首を縦に振る。その場面だけ音なしで見たら、まるで中学の時に陽キャの席取役として行った軽音のライブみたいな感じだった。
先生「聞きたい奴はよく聞いておけよ~。さっきちょっとだけ出てきたけど、指定魔法って言うのは、魔力操作がある程度上達すると、自然と使えるようになる。それで、この魔法はこの世に存在する概念もしくは道具を一つだけ魔法として利用できる。これは自分の意思で変えられることは無くて、才能みたいなものだと解釈されているだ。そして、物を扱う指定魔法と概念を扱う指定魔法だったら概念を使う指定魔法の方が強い。まあ、例外はあるけどな」
生徒「先生‼質問良いですか?」
先生「なんだ?」
生徒「なんで概念系の方が強いことが多いんですか?」
先生「なるほど。良い質問だが、その答えは簡単だ。指定魔法の詳細がバレずらいからだ。例えば、人生を扱う事の出来る指定魔法があるとする。そして、その人と戦うときにその人の寿命がそこで来るという滅茶苦茶なことしたとする。そしたら、大体の人が生命の命を扱う魔法とか、精神を扱う魔法とかだと考えるだろう。そうすると、その指定魔法の心髄には辿り着けない。まあ、そういう事だ。」
生徒「ありがとうございます!」
先生「なんかほかに質問とかあるか?」
生徒「はい!先生!人間にもあるように、魔法使いって上下関係とかあるんですか?」
先生「ああ。あるよ。ま、人間が勝手につけてるだけだけどね。
まず、知能が低くて低級魔法しか使えない個体を3級魔法使い。
知能が低いけど初級魔法と中級魔法が使える個体を2級魔法使い。
4歳児くらいの人間の知能を持って、上級魔法しか使えない個体を1級魔法使いと呼んでいる。
まあ、テストには出ないけど特別階級っていうのもあるよ。まあ、覚えなくてもよいけど。
これは、さっきいった階級に分類されない個体の事を言うんだ。例えば、19歳くらいの人間の知能を持っているけど魔法を使えない個体とか、知能が低いけど封印系の魔法が使えるとか、そんな感じかな。まあ、娯楽程度に覚えていれば大丈夫だよ!」
「封印系の魔法?」
と、僕は独り言を言う。
先生「封印系の魔法っていうのは、人間の魔法を封印できるという、まあ。名前の通りだな。ほかに質問はあるか?」
おっと、俺の質問だけ凄いスピード感。まあ質問する気はなかったんだけど。っていうか速く実技行きたいよ~!!
先生「なさそうだな…………。じゃあ、実技の為に実技場に移る。みんな、適当にニ列になって付いてこい」
先生が僕たちに言葉を放つと、教壇から降りて少し歪んでいて変な音がする扉を開け、そのまま僕たちを待たずにそのまま歩いて行ってしまった。