今日も元気だレポートがツラい→ツラい
怪奇!減らないレポート!増える体重!
調査隊はその謎を解くためにラーメン屋の奥の座敷へと向かった!彼らの運命やいかに!
「もうヤダ…疲れた…木になりたい…」
「まぁた言ってる、そんなこと言ってもレポートは減らないんだからさっさと手を動かしなさいな。
いい加減親御さんに怒られるよ?」
「というかもう次単位落としたら一人暮らし強制終了って言われた、どうしよぉ実家やだぁ満員電車やだぁ」
「じゃあ頑張るしかないんじゃない?」
「それが一番やだぁ…綾子ぉなんかいい方法無いかな?具体的には研究室の壁に向かってしゃがみながらダッシュし続けると卒業式まで行けるとかそんなやつ」
「残念ながらこの世界の運営は優秀なのでそんなものは無いし単位が足りなければ卒業どころか進級も出来ないの」
「正論やだぁ…もう木になる…お日様浴びて寝るだけの生活する…」
「同人誌ばっか作ってるからそういうことになるんだよ?……しょうがないなぁ、じゃあもうそろそろいい時間だしちょっと休憩がてらラーメンでも食べに行く?」
「綾子大好き、愛してる、結婚しよ?」
「馬鹿言ってないで準備して、私先に外出てるからね?」
「えっ、あ、ちょっと待って!」
財布よし!スマホよし!大丈夫!財布の中身がちょっと心もとないが今から行くラーメン屋は学生に優しいお値段なのでラーメン1杯だけならギリ足りるはず。
「で、鍵はちゃんと閉めた?」
「んなぁ!ちょ、ちょっと待っててね!先行っちゃやだよ!女の子の1人歩きはは危ないんだからね!」
「はいはい」
慌てて部屋まで戻って鍵を閉め、道を見るとちゃんと待ってくれているようで安心しつつそちらに向かう。
ふと空を見るとどうやら今日は満月らしく少し低い所に大きなオレンジ色の月が見える。
「ほえー今日はなんかやたらきれいだなぁ、あれ?」
見とれていると月の真ん中で紫色の大きな光が見えた、と思ったとたんに視界が真っ白に染まり、そのまま私は意識を失った。
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「うえっ?何今の!?」
「おはよう」
「おはよう、ってあれ?綾子そのコスどうしたの?なんのキャラ…というかどの作品?」
「まぁあんたならそういう反応よね。先に謝っておくわ。ごめんなさい。それでね、落ち着いて聞いて欲しいんだけどあなたはもう既に死んでます。」
「へ?いやいやぁ、そういうのは冗談でも言っちゃいけないんだよ?って事はそのカッコは天使、いや女神のコス?」
「残念ながらどっちもガチよというか周り見て見なさいな」
「え?うわ何ここ?真っ白すぎて壁も天井もわかんないや、なんかずっと見てたら感覚狂いそう、地面もなんかふわふわというかモコモコというか変な感じ…え?ここどこ?なんじゃこりゃ?」
「やっとその反応なのね、いっそ安心するわ」
「っていうかちょっと待って!どっちもガチってことは…ガチの女神!?」
「まぁあなたなら食いつくのはそっちよね、ガチよ」
「いやぁ常々から女神だとは思ってたけどまさかガチとは…
あ、そういえば私ってなんで死んだの?やっぱりあの紫の光のせい?」
「あの光は魔族からの攻撃魔法、おそらくは私を狙って来たんだと思う。巻き込んでしまってほんとうにごめんなさい。」
「殺されたのはその魔族?のせいだし謝られてもって感じだなぁ、それよりなんでその魔族は綾子を殺そうとしてきたの?なんかやった?」
「神っていうのはそれぞれがこの世界の管理に対する何らかの権限を持ってるのよ例えば天候とか豊穣とか、であいつらは私の権限を奪いに来たんでしょうね。」
「へー、綾子はなんの女神様なの?」
「私は想像と創造の女神ね、ようはクリエイターの女神」
「嘘だぁ、綾子絵めっちゃ下手じゃん、画伯じゃん」
「うるさいわね、私は出来なくてもいいの、寧ろ出来ないから作ってくれる人を全力で応援するし、支える、そして楽しむ!それにあなたなんだかんだ言って新刊落とした事無いでしょ?」
「確かに…絶対無理ってなったのに何故かぎりぎり何かの間違いで完成してたけど…でもそれならもうちょっと助けてくれても良くない?!毎回毎回地獄みてたの知ってるでしょ?」
「それはあんたが悪い。というか声掛けてあげたのにまだ1ヶ月もあるじゃんよゆ〜、とが毎日3ページすればまだまだ余裕とか言いながらゲームしてたのは誰かしら?」
「はい…私ですね…ごめんなさい。そういえば女神なら私を生き返らせたりは出来ないの?」
「ごめんなさい、その権限は私には無いしその権限を持つ神も私は知らない。私にできることがあるとすれば他の世界に送ること、いわゆる転生ね。まぁこれも私が送ると言うよりその世界を管理している神にお願いするぐらいなんだけれど。本当にごめんなさい。」
「なるほど異世界転生、私に主人公力があるとは到底思えないけど…いっちょやったりますか!」
「そう、じゃあこれを渡しておくわ。」
「おおー!お?なにこのゲーミングに光るペン」
「これは私があなたを送り届けた証、いわゆる身分証明のようなものになるから向こうの女神に渡してちょうだい」
「え?一緒に来てくれないの?」
「さっきも言ったけど私に出来るのはあなたを送ることだけ、向こうに行ったり干渉する力は無いわ。」
「そんなの無理じゃん!私のコミュ障知ってるでしょ?」
「甘えないの、大丈夫案外あなた図太いから。それと、あまり時間に余裕がある訳じゃないから行くならそろそろ行かないと。」
「えー、そっかぁじゃあ、ここでお別れ?」
「そうね」
「あの、最後に一つだけお願いしていいかな?」
「大丈夫、あの部屋のものは全て私が責任を待って管理しましょう。」
「本っ当にありがとう」
「…じゃあ、行ってらっしゃい。」
「うん…」
「大丈夫、会えないけど見守ってるから、向こうでも描くんでしょ?」
「…うん」
私の不安がバレたのだろう、綾子がそっと抱きしめてくれた。暖かくて、安心する、いつもとおなじ綾子の匂い。
「今までありがとね、あなたのおかげで本当に楽しかった。」
「うん」
「あなたなら向こうでも大丈夫、女神の私が保証する。」
「うん……うん、わかった、行ってくるよ!」
最後に強く抱きしめ返して離れる、さっきまでくっ付いていたところがひゅっと冷たいけど大丈夫、私はいつの間にかできていた空中に浮かぶ穴、あそこがゲートなのだろう。
ほんの少しずつだが小さくなっていく穴に向かいながら、振り返ってできるだけ元気な声で、できるだけ明るい表情で、心配性で優しい友人に声をかける。
「今までありがとう!最高に楽しかったよ!行ってきまぁったぁっ!?」
どうやら振り返りながら喋りながら歩くというのは私には難しかったらしい。
思いっきりコケながらゲートをくぐる私が見た友人の最後の表情は涙でぐちゃぐちゃの苦笑いというなんだか酷い顔だった。
次回!彼女の転生先とは!彼女の第二の生の姿とは!
一体何に転生するのか検討もつかないね