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明日世界が滅亡するらしい

作者: 山田くぐる


 友人がいきなり

 「明日世界が滅亡するよ。」

 と言ってきた。


 「そうなんだ。」

 と、俺は短く返して部屋の灯りを消した。


 翌朝、俺も友人も普通に目が覚めた。

 一日中ゲームをする予定だったのを変更して映画館へ行く。


 四番シアターに二人きり。

 ポップコーンを噛み砕く音だけが響く。


 「何時に世界は滅亡するんだ?」


  一ミリたりともこちらを見ることなく

 「一時間後さ」

 と、だけ答える


 「そうか。」

 また、短く答える。

 映画は見終われないのか、とそう思った。


 ふ、と照明が落ちる。スクリーンに映像が映し出される。

 子どもが観るような馬鹿げた映画だった。


 面白かったな。と思いつつバックルームに映像を止めに走る。


 友人と並び帰宅する。

 マスクでくぐもった声がきこえた。


 「コンビニに寄りたいんだけど」

 

 「開いてないさ」

 ほんのり笑いながらかえす


 おもむろにマスクを外す。

 友人も驚くことなく、俺にならった。


 強風が吹き素顔に砂粒がぶつかる。


 二人してその場に座り込む。

 道路のど真ん中。

 それでも誰かに咎められることは無い。


 「世界が滅亡したって変わらないさ。」


 俺は言う、ゼェゼェと荒い息をしながら。


 話すこともままならなくなり続きの言葉がでてこない。

 でも必要はなかった。言わずもがな伝わっている。


 意識が途絶えていく中、思う。


 二人きりの世界も思いのほか悪くなかったな、と。

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