第5話 『セメタリーダンジョン』
MPポーションで回復した俺は更なる魔物を選別していた。1Fでゾンビとミイラは闘ったがスケルトンも出現する。単体で徘徊するスケルトンを感知するとゆっくりと近づいた。
この気配感知術、今の俺ことアレスにピッタリだ。元々陰の薄いキャラが隠蔽効果で更に薄くなり、空気のような存在になる。隠蔽2でも十分効果あるのにこれが5とか10になるとどうなるのか?
スケルトンに不意打ちを仕掛け、続けざまに剣撃を繰り出す。何度か攻撃をされるが剣の腹で上手く受け止め頭部を切り飛ばした。
「スケルトンは矢の攻撃を当てるのが難しい。剣で相手が一番だ」
感触を確かめた俺は、1FでMP限界まで闘い素材とアイテムを持って近くの店を訪れた。
「―素材とアイテム、全部で5万2千ゼニーだ。えっ、MPポーション2つにポーション3つと食料と交換して欲しいだって?こっちはありがたいがそれでいいのかい?」
「構いません」
難度が上がり素材やドロップアイテムの価値も上がってくれてこっちもありがたい。この日はポーションとMPポーションを駆使して、何度も回復させながらアンデットと闘い続け、レベルが20まで上がった。
◇◇◇◇◇
アレス 17歳 レベル 20
HP : 94 → 110
MP : 32 → 40
力 : 38 → 46
素早さ: 36 → 44
魔力 : 17 → 21
幸運 : 17 → 21
身の守り: 21 → 25
スキル : 剣技 100/100 弓技100/100 気配術 50/50
常時気配感知2 常時隠蔽2 鑑定感知
残りスキルポイント 116
◇◇◇◇◇
「明日もここでMPポーション頼りにレベル上げだな」
ドロップアイテムをMPポーション2本と、ポーション5本、木の矢に交換した俺は帰宅した。
※※※※※
翌朝、ギルドに向かうとクリスに話しかけられる。
「アレスさん、お早うございます。聞きました?リーゼさんとヨーゼフさん、ロイドさんが興したクランに入ったみたいですよ。あそこのクランあんまりいい噂を聞かないんですよ…」
「そのクランは何て名前ですか?」
あの二人に興味は一ミリもないのだが適当に相槌をうった。
「『フェンリルの牙』ですよ。10人くらいいたんじゃないかな」
「へぇー。情報ありがとうございます」
どうでもいい情報を得た俺は昨日に続き、『セメタリ―ダンジョン』に向かう。レベルアップによるステータス向上で、戦闘がずい分ましになった為、今日は3Fを目標に探索する。
ダンジョンに入ったが1F、2FとMPを温存した最小の戦闘で進み3Fに到着、周囲を見渡すと早速気配感知する。
「あの服を着た骨はワイト、ゾンビもリビングデットに格上げか」
乱れ打ちでリビングデットを仕留め、ワイトに切り掛かる。切り合いでダメージを受けるがスケルトンよりも僅かに強い程度であった。HPの減りを見ても、
◇◇◇◇◇
アレス 17歳 レベル 20
HP : 110 → 82
MP : 40 → 34
◇◇◇◇◇
「2体相手でも先制取れれば、3Fでも問題無い」
更に探索を続け、魔物を感知する。
「あれは犬のゾンビ、コボルトゾンビか」
弓矢を構え放つと向こうも気付いたようだ。素早いダッシュで迫って飛び掛かってきた。
「うおおー、剣技 岩裂斬!」
「キャイーン!」
コボルトゾンビを切り裂いたが、頭だけになった奴の牙が俺の左上腕に嚙みついた。
「ぬおおおおー!」
右手ですぐに頭を掴み取り外す。違和感を得たのでステータスを開くと、
◇◇◇◇◇
アレス 17歳 レベル 20 毒
HP : 82 → 70
MP : 34 → 31
◇◇◇◇◇
12ダメージと毒を受けた。しまった…、毒消しポーション、持ってないぞ。ヤバい、一刻も早く戻らねば今度こそ死んでしまう。戦闘を避け何度もステータスを開き、ポーションで回復しつつダンジョンを出た。
◇◇◇◇◇
アレス 17歳 レベル 20 毒
HP : 14
MP : 31
◇◇◇◇◇
「―素材全部で2万ゼニーだ。毒消しポーションは1本1万ゼニー、あとポーション5本欲しいだと。分かった、はいよ」
瀕死の状態で店まで帰った俺は、毒消しポーションを一気に飲み干した。
「予備のポーションなければガチで死ぬ寸前だった。毒消しの予備もいるぞ。感触から3Fはレベル35程度の魔物、それならレベル30程度の1Fで闘ったほうが命の危険が少ない」
3Fで闘うよりも1Fのほうが得るものが大きいと悟った俺は、それから1Fで狂ったようにアンデットと闘い、ドロップアイテムはMPポーション、毒消しポーション、ポーションに交換しつつ討伐を続けた。
◇◇◇◇◇
アレス 17歳 レベル 25
HP : 110 → 130
MP : 40 → 50
力 : 46 → 56
素早さ: 44 → 54
魔力 : 21 → 26
幸運 : 21 → 26
身の守り: 25 → 30
スキル : 剣技 100/100 弓技 100/100 気配術 50/50
常時気配感知2 常時隠蔽2 鑑定感知
残りスキルポイント 121
◇◇◇◇◇
一日闘い続けたおかげでレベルも25まで上がり1FでMP消費無しでも十分闘えるようになった。
「―素材代全部で9万6千ゼニーだが…。分かってる、MP3本、毒消し3本、ポーション2本に木の矢、食料はおまけだ」
日に何度も訪れているので店の親父も忖度してくれるようになった。
「毒消しポーションの予備はあるし、明日には『セメタリーダンジョン』クリアできそうだ」
そんなことを呟いて上機嫌で家に帰るが、
「うん、鍵が開いている…。まさか…空き巣か!」
慌てて家に入り状況を確認、ぱっと見て家具等盗られた物は無さそうだが、お金を使うまいと思い財布をテーブルに置いていた。
「財布を置いて出たのは痛恨だった。20万ゼニー盗まれたか…」
他に交換した食料もやられていたが、スキルの種は無事だった。ふと、キャンバスボードを見ると、
「すまない、アレス。俺が油断していた…犯人は奴しかいない!」
キャンバスボードに置いてあった、未完のリーゼの絵が盗まれていた。
俺は少しヨーゼフをなめていたようだ。
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『フクロウの剣士 ∼素振りを20年続けたサラリーマン 刀1本で始まる大冒険∼』
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も連載しておりますのでこちらも目を通して頂けたら幸甚です。