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目覚めてみると……

新連載、始めました。

ご一読いただければ幸いです。

 加納翔太が眠りから目覚めると、辺り一面真っ暗な闇だった。


「いや、それ。意味ないだろ!」


 思わずツッコミを入れるが、ボケる相手はどこにもいない。

 いや、そもそも体が全く動かない。それこそ指1本動かすことすらままならない。

 というか、視覚以外の感覚すらまったくない。まるで寝たきりの病人が、環境ビデオを観ているかのようである。

 もっともモニターに映し出される映像は漆黒の闇で、見ていて何の感動もないどころか恐怖のほうが大きい。


 この状況下で足元が見えないのは、中々恐ろしいものがあるが、翔太はパニックを起こすことなく冷静に状況を分析した。


 ああ、これはオレは未だ寝ている最中なんだ。

 夢の中だと判断するのにさして時間はかからなかった。


 世間ではそれを〝現実逃避〟と呼ぶ。


 夢の中だと分かってしまえば、暗闇だから焦るとかどうだという気持ちもなくなった。

 寝ている最中に意識が覚醒すればこんなものだろう。

 瞼が開かないのは、おそらく疲れているから、体が拒否しているのだと思う。

 退屈といえば退屈だが、睡眠の最中なんだし、ただボーっとしてりゃいいんだ。

 

 そう思った途端。


 奥のほうから何やらざわざわとした声が聞こえ、次の瞬間ギギギーと金属の軋むような音とともに強い光が差し込んできた。


「うわっ!」


 瞼も動かないから、目がくらむような眩しい光にモロに晒される。喋れもしないのに「うわっ」はないのだが、そこは条件反射みたいなもの。声にならずとも、心の中で響きわたる。

 やっと目が慣れて、周囲が見えるようになった翔太の視界に飛び込んできたのは、信じられないほどの美少女だった。


 見た感じ、歳は翔太と同じくらいだろう。

 金髪碧眼。

 背中まである長い髪をふるゆわなダウンテールで編み込んだうえで、紫紺の鈍い光沢を放つ大きなバレッタで留めている。

 それだけ見ると幼いように思えるが、耳元で揺らぐ縦ロールのおくれ毛が年齢相応の気品を醸し出していた。


 まるで海外セレブのお嬢様だ。

 実際、纏う衣装も乗馬服を思わせる黒の上着と白いズボン。上流階級のサロンだとこんな感じなのお嬢様がわんさかいるのかなと、ついバカなことを考えてしまう。

 目鼻立ちは恐ろしいほどに整っており、ハイティーン特有のソバカスなども一切ない。

 しかもグラビアモデルか! というくらいの抜群のスタイル。

 出るところは出て引っ込むところはしっかりと括れている。まさに理想を絵に描いたような美人が颯爽とした足取りで、翔太に向かって真っ直ぐに歩いてくる。


 それだけではない。


 美女の後ろにも数名の少女がぞろぞろと付いていている。

 先頭を歩く美少女ほどではないが、いずれも劣らぬ美女ばかり。いったいなんのご褒美かと思わせるような光景である。


 しかも翔太に見せつけるかのごとくズラズラと並ぶと、何を思ったのか金髪の美女が服を脱ぎ始めたではないか!


 うひょーっ!


 さすがにそんな間抜けな声は出さないが、気分はまさにそんな感じ。

 実際脱いだといっても上着と革のブーツだけなのだが、レオタードを思わす薄手の服が彼女のスタイルの良さを一層際立たせていた。


「準備は出来ているのね?」


 金髪の美少女が後ろに傅く少女たちに尋ねる。


「はい。魔晶石の搭載は完了しているとのことです」


 ボブカットの少女が応えると、満足したように「分かったわ」と言って、さらに一歩翔太のほうに近づく。

 もはや吐息が感じるような至近距離。もしこれが夢などでなく、翔太に五感の感覚が残っていたなら、股間の主砲がタイヘンなことになっていただろう。

 だが、現実はさらに斜め上。


「よいしょっと」


 らしからぬ声をたてながら美少女が翔太の前に立つと、何を思ったのか両手で彼の胸をグイっとばかりに押し広げたのである。


〈えっ。えーーーーっ!〉


 驚かずにはいられない。

 美少女のゼロ距離もまあビックリ要素だが、己の胸がパカッと開いてしまうほうがもっと恐怖だ。

 しかも「よいしょっと」のかけ声といっしょに、美少女が丸ごと翔太の中に入り込んできたのである!


〈夢とはいえ、まともじゃないだろう!〉


読んでいただきありがとうございます。


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