絶望と驚きだけの希望
『歴史』 それは、人の変化・流動してきた記録である。
その歴史の中に名を残した人物は人々から尊敬の念や憧れの眼差しで見られることから「偉人」・
「英雄」と称される。
英雄や偉人の能力を駆使する『HWシステム』で侵略者『ブラック』と戦っているのが
この地球の現状だ。
そんな状況下で普通教育をするだけではなく、ブラックに出会った時の対処法なども組み込まれて
いき進学次第では、実戦もする学校も存在する。
その学校は世界各所に存在しているが、日本には『国立 長波学園』が存在する。
この学園は、実際に生徒たちにHWシステムを渡してブラックに対して訓練など先の未来で
ブラックに対抗する戦力を育成する学園だ。
2100年 3月10日 由良高校 合格発表の日
まだ少し寒くコートが手放せない状況の中、多くの受験者たちが合格しているかどうか確認
するために一喜一憂しているころ
「お、落ちた....」
ダッフルコートとマフラーで寒さ対策を完全に行っていた彼は、静かに絶望していた。
「はぁ....」
合格発表からの帰宅中、今後どうするかと悩んでいる彼「東雲 湊」の後ろから
「よっ その落ち込みようだと落ちてたみたいだな」
元気良い声で話しかけてきた幼馴染「桐生 大和」が隣にいた。
「そうだよ。お前はあそこに行くんだろ? 長波学園」
「そ。 推薦で入ったから勉強しなくて合格できたぜ」
Vサインを作ってまるで完全勝利したかのような顔を作り出す。
大和は剣道の才能が桁外れとなっており全国大会ではベスト4の実力者だ。
「そこまでしてブラックと戦いたいかねぇ。俺は安全な職に就きたいよ 公務員とか」
「公務員も公務員で中々ハードルがあるってのにお前はよくそんな口叩けるな。
つか、お前そんな性格してんのに合格発表見に行くんだなパソコンとかでも分かるのに」
「何を言ってんだ お前は
合格発表の確認こそ自ら見に行かなきゃならんだろ 合格したという感覚をつかむために」
「んで、その感覚をつかむために行ったら 不合格の感覚を掴んだ、と」
「追い打ちかけんなよぉ」
再び肩を落として絶望する湊 彼もけっして受験勉強を怠ったかといえばそれは違う。
過去問で行う対策や塾に通うなど対策は万全を期していた。しかし、その努力を上回るほどの
生徒がたくさんいた。
「とりあえず、高橋先生に報告するか..」
彼らの担任である先生に携帯に手を伸ばした時に着信音が流れる。相手は『高橋先生』と
書いてあった。
「タイミング良すぎないか? 先生よ」
「ほれ さっさと電話して不合格したことを伝えろ。」
全然気乗りしない状況 高橋先生は湊の努力を諦めないように必死に励ましてくれた。
そんな先生に「不合格しました」なんて伝えると絶対に落ち込むだろう。
だが、出ないのも先延ばしになってしまうので出るしかない。
〈もしもし〉
〈おぉ 東雲か どうだった合格したか?〉
〈いや...落ちました すいません必死に励ましてくれたのに〉
〈そうか..... 残念だったな...〉
親とも話しているから私立に進学します。という旨を伝える前に先生が話した。
〈そんな状況で伝えるのもあれなんだが..東雲
長波学園が実施している『一般入学制度』があるのは知ってるだろ〉
『一般入学制度』
長波学園は戦闘能力が高いもの・頭脳の回転が速いものといった者を推薦によって入学を
許可している。 大和は戦闘能力の方で推薦を通した。しかし、それだけでは角が出ている者
しかいないため2人ほど入学させるといった制度である。
〈あぁ、あの倍率がアホほど高いやつですか〉
〈そうだ。 それで、その、一般入学にな.... 『東雲 湊』って文字があったんだ...〉
先生から発せられたその言葉に携帯を落としそうになった
湊の中には驚きと悩みがごった返しになっていた。