第04話『魔法のシュミレーション』
ヒロトはクレアの前に立って深呼吸し、実践的に体中に魔力を巡らす。
「ふぅ…──こうか…」
体の魔力が一気に動き始め、体中を巡り始めたらしい。
「完全に会得したんですね!」
「ああ…──イメージつっても、何を想像すりゃあいい?」
「その前に、その状態を1分間維持してください」
「ようし、頑張るぜ」
ヒロトはとにかく集中する。
循環する魔力の流れは、止まることはない。
いや、むしろ…──その流れはむしろ、研ぎ澄まされていく。
クレアはその流れを探って驚いた。
「思った以上です…!テンカ先生もきっと舌を巻きますよ!」
ヒロトはそこで、尼野の才能に驚く。
もとより彼女は、これを独自の手法で編み出したのだ。それも、急成長の手がかりにはこれが欠かせないのだろう。
「…手を前に突き出して、その手が光を灯すのを強く想像してください。きっとヒロトくんならできます!」
「…!わかった」
自分を信じているクレアの目にヒロトは肯くと、目を閉じて集中する。
「リラックスしてください…大丈夫ですから」
魔力を絶やさず、イメージを強く持つ。
目を開けると…──
ビカッ!
「うわっ!眩ッ!」
「光といっても眩しすぎますよ!」
「どうやって消すんだこれ!いくら振っても駄目なんだけど?!」
「手への魔力を減らせば消えますから!そっち向けないですから早く!」
「わ…わあったよ!」
クレアの言うとおりにすると、光が消えてくれた。
「調節が難しすぎるな…」
「まあそれが今後の課題ですが、初見でここまで出来るというのは驚きですよ」
「お前は出来なかったのか?」
「できましたよ?」
「ああそっかぁ!」
「──もう一個ぐらい試すか」
さっきと同じ手順で、さらに別のものを想像してみる。
「っシァッ!」
手に一気に魔力を込めてから、一気に消してみる。
──ブワぁッ!!
「うおあっ!」「ひゃあっ!」
ものすごい突風で、手前の机は動いてしまっていた。
クレアが危険かもなので、魔法は即座に止める。
やはり調節が難しいが、その強さにはヒロトもクレアも驚く。
「すげえ風だったな!こいつはモンスターが急に襲って来たときに牽制で使えそうだ!見たか今…の…──」
「やっぱりヒロトくんは、オーラを使っていたこともあって飲み込みが早いですね!」
「ちょ…おい、前」
「へ?…──はっ!」
さっきの強風でスカートがめくれ上がり、白い布がダイレクトに見えた。
クレアは顔を真っ赤にし、慌てて前を隠した。
「いやっ!──もう、ばかぁ…!」
「なるようになったんだよなぁ…」
「スパッツは洗濯が間に合わなくて代えがなかったのにぃ!」
「ったく今更何言ってんだ。8年前はお前のパンツくらい何度も見たろ?」
「そうですけどその時とは常識が違うじゃないですか!」
「そうか?お前俺と風呂に入ったとき、俺のチンチン見てぞうさんのうた歌ってたじゃねえか」
「私そんな子でしたっけ!?」
ひとまず、ヒロトは魔法を使えるようになった。