表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
57/96

第56話『10組の新担任』

※コウの部屋で…


「「「オーラの力が無くなったぁッ!?」」」

 ヒロトが先程のことを10組のみんなに話すと、一同は仰天した。

「俺が生き返ったことが原因だとは思うが、オーラは完全に出なくなっちまったらしい」

 ヒロトのオーラが出なくなることは、彼の急激な戦闘力の減少を意味する。

 つまり、今の彼は生徒会との修行も全て無駄になり、ラビットとの実力差も大きくついてしまったことになる。

「これを聞いたら、生徒会とラビットはどんな顔するんだろうな…」

 ヒロトは、深い溜め息を混じえてそう言う。


 気の毒そうに思いながら、マーニがヒロトに言う。

「そうやっ、明日は新しい先生が来る日やで!」

「ん?ああ、そんな話聞いたな…」

 キサクも言う。

「ウチらの魔法の実力を極限まで伸ばすとからしいけど…」

「でも嬉しいんじゃねえか?みんなはそのためにこの学園に来たんだろ?」

 みんなはヒロトの質問に頷くが、マーニだけはそれに強い意志があるように感じられた。

 それを不思議に思ったヒロトは、マーニに言う。

「なんか…マーニはやけにやる気があるな」

「せ…せやろ?」

「「「…?」」」


※夜は明け…


 ついに、10組に新たな担任がつく日がやってきた。

 今日やって来る担任がどんな人物なのか、全員がとても気になっていた。

「今になると…すごく緊張するな…」

 コウがそう言うと、みんなも頷く。

 リズレは今回の新担任を、『君達の成長にあたってのベストな人材』と言っていた。

 あの言葉には綾を感じるが、10組のみんなにとっては不安感が拭えない様子だった。


 ──ガララ…

 扉が開くと、そこから一人の教師が出てきた。

「よし、みんな席についているな…」

 見たことのない男の教師だ。

 彼が新担任だろうか。

 教卓の前に立って、彼は話をはじめる。

「俺は5組担任の、シキヤズだ。シキヤズ=ブルームだ」

 5組の担任らしいので、新担任ではないらしいが、一同はその自己紹介に違和感を覚える。

 そして、10組のある生徒に目をやる。

 なぜかマーニだけが、シキヤズからあからさまに目をそらしていた。

「…一人知ってるやつが、目をそらしているんだが?」

 シキヤズがそう言うと、マーニの肩がギクッと震えた。

 そこで、キサクがマーニに聞く。

「まさかやけど、シキヤズ先生って…マーニの──」

「知らんって!」

 質問を遮ってそう言うマーニに、シキヤズは続ける。

「まさかなー…1組に入ったと伝えに来たマーニが、こんなところにいるはずないもんなぁ…」

「せ…せやでパパ…」

「「「(パパって言っちゃってるし…)」」」

 概ねの事情は察せた一同。

 ──だが、シキヤズは一度溜め息をついてから、再び話しかける。

「マーニ、別に怒ってはいないぞ。だからこっちを向いてみろ」

 それにマーニは安心したのか、シキヤズに恐る恐る顔を向ける…。

「テメェやっぱりマーニじゃねぇかこのバカ娘が!」

「イヤぁー!ごめんなさああい!」

 一同は、気の毒そうにその様子から目を逸らすのだった。


 ──そこから、シキヤズは落ち着いて言う。

「…ぅう…」

 涙目で見つめて来るマーニに、シキヤズは語る。

「まあ…こういうもんだろうとは思っていたが…」

「…」

「他の2人も知ってたよ…まったく…すぐバレるようなウソをつくなよ…」

「ごめんなさい…」

 そのやりとりを聞いて、ヒロトは少しマーニの表情の陰りを見る。

 彼女のこんな表情を見るのは、これが初めてだろう。


「…今日は新担任だけではなく、新入生も紹介するぞー」

 シキヤズのいうそれが気になる様子の一同は、前を見る。

 シキヤズが扉を開けて、入って来たのは…。

「…あっ!」

 森で生まれた、かの金髪。

 制服を着た少女は10組の教室に入って来た。

「あの女の子って…」

「ああ、フェ…──あー…何て呼べばいいんだ?」

 呼び方に困っていると、その少女の次に、後ろから誰かが出てくる。

「“バーギラ”でいいのでは?ヒロト君」

 生徒会長カリンだった。

 もはや、みんなは驚かなくなった。

 カリンが一番訪れているクラスはひょっとすると、ここ10組なのかもしれない。

「彼女の生い立ち踏まえてということと、あとは彼女の母が残した少ない形見を、彼女にね…」

「バーギラか、いいなそれ」

 ヒロトのところにやって来た少女は、ヒロトの隣の空いた席に腰を下ろした。

「ジョウシキは…おそわったから」

「えらいぞ、バーギラ」

 ヒロトがそう言うと、バーギラはヒロトに笑った。

 一度は死んだかと思った少女だ。こうして生きて会えたことが、本当に嬉しいのだった。


「──それでは…いよいよ新担任の紹介ですね…」

「ああ、では…来てもらうか…」

 カリンの呼びかけに、シキヤズが扉の奥の方にコンタクトをとる。

 するとそれに、扉から一人、男が入って来た。

 10組一同が首ったけでそこを見やる。

 シキヤズに代わって教卓につく彼は、身長は高めだ。赤い髪に赤いジャンパー、そしてその目はひどく鋭い。

 10組の一同が、それを見て黙ってしまう。ヒロトもその例外ではなかった。

 静まり返った教室で、新担任は名前を言う。

「テンカだ…──テンカ=E·G·バンヒット」

 テンカはそう言って、10組を見回す。

 そして彼は、なぜか深い溜め息をつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ