表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
51/96

第50話『暴走を止めるキーマン』

 ラビットの回復魔法で、少女のうけた傷は治ってくれたらしい。

「よかった…まだ生きてる」

 少女は驚くほどの生命力を持っていた。流石はバーギラから生まれた子である。

 ラビットは一息ついていた。

「これで…治った…──うっぐ!」

 ラビットも、ヒロトと同じく頭痛に襲われる。意識が朦朧(もうろう)としてきた。

 ただでさえ昨日と今日で魔法を使いすぎたのだ。

「ここで倒れては…いけない!」

 ラビットは、なんとか意識を正気に戻す。

 今頑張(がんば)っているヒロトに、このままでは申し(わけ)が立たない。

「──ガァアアアアーッ!!」

 奥から響くヒロトの咆哮(ほうこう)

 ラビットが驚いて上を見上げると、そこには赤い鬼神の巨体があった。

 ヒロトの怒りは、ここまで肥大化(ひだいか)したというのか。

『ヴァうァアアアアーッ!!』

「何て声…!」

 20mの巨体から(はっ)せられるとてつもない咆哮(ほうこう)に、ラビットは耳を(ふさ)いでうずくまった。



 森を超え、広い街を一つ(また)いでも、その咆哮は学園まで届いていた。

「──今…森の奥から、すげえ音しなかったか!」

 10組のみんなは、それが何なのかすぐにわかった。

「まさか…!鬼神やないやよな!」

「やっぱり、ヒロトに何かあったのか!」

 10組は、ヒロトの安全をただ(いの)ることしかできなかった。


 ──屋上(おくじょう)では、生徒会一同が森を(なが)めていた。

 魔法で視界を(せば)め遠くを見てみると、森では20mの鬼神が(あば)れていた。

 ヤツが暴れるごとに、何メートルもの砂埃(すなぼこり)も何度も上がっている。

「あんなに巨大な鬼神が暴れるなんて…弥上くんに何があったのかしら」

 カリンは汗を()らしながらその様子を見る。

「あんなに暴れて、ラビットは大丈夫なんかのぉ…?」

 同じ魔法を使うメイプルも、それには心配そうである。

 生徒会全員が釘付(くぎづ)けで見守るなか、屋上のドアが(ひら)かれる。

 そこには、学園長リズレが立っていた。

「学園長!──…?」

 彼だけではない。学園長と一緒に誰かがいる。

 そこにいたのは、焦るクレアだった。

「ここなら見えるはずだよ」

「ありがとうございます!──カリンさん!今、あちらでは何が!」

「今から、私の視界を送るわ…!」

 クレアはカリンとこめかみを合わせ、視覚を共有してもらって森の奥を見つめる。

 そこでクレアは、その森にヒロトがいると確証(かくしょう)した。

「やっぱりあの森には、ヒロト君がいるんですね…」

(くん)…?お前、ヒロトと関係があったりするんか?」

「はい…私は彼を知ってます!8年前から、ずっと!」

「「「…?」」」

 (なぞ)の多い言い方をするクレア。

 ヒロトでの8年前は、鬼神のオーラをうけてすぐの8歳のときで、まだこの世界にはいないはずだ。

「人違いでは──」

「あり得ません!彼は私の知っている、弥上ヒロト君です!」

 はっきりと言い張って見せたクレアに、カリンは少し(おどろ)いた。

「カリンさん!私の声を、あっちに届けることはできませんか?」

「…そうね…テレパシーを使えば、あなたの声を直接あっちに届けられるわ。でも遠すぎる…3kmも(はな)れてるもの」

「…そんなっ」

 カリンすらも、その不可能さに(まゆ)をひそめる。

 だが、クレアはくじけそうになるが、それでも(あきら)めない姿勢(しせい)(たも)っていた。

「でもっ!諦めたくないっ!ヒロト君は、私が止めなきゃ!」

「…?」

 そう言うクレアに生徒会一同は、彼女にただならない覚悟(かくご)を感じ取っていた。

 クレアはフェンスに手をかけ、(くや)しさに(むせ)び泣く。

「声さえ届けば…!声さえ届けばいいのに…っ!」


 だが、彼女の肩を何者かが(たた)く。

「え…?」

「ならば、僕が(とど)けよう。3km先だろうが、10km先だろうがね★」

 リズレは、自信満々に言ってみせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ