表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
5/96

第04話『ヒロトのクラス』

「ここが10組か…」

 ヒロトは10組の教室の(とびら)の前に立ち、それ開けた。

 ──ガラッ

 中の生徒は24人だけだったが、突如入ってきた人相にんそうの悪いヒロトに、そのほとんどが目をそらしていた。

 10組というだけあって()えない顔ばかりだ。しかしヒロトはその様子を気にせずに入っていった。

「一番左の一番後ろか…」

 あきれつつ席に座ってあくびをするヒロトは、机の上に足を乗せて座った。

 その態度が悪い座り方にクラス全体が(しず)かになるが、静かな場所をこのむヒロトには、結果的に好都合こうつごうだった。


 すると、その教室の沈黙が(やぶ)られる。

「…ははっ、お前も教師に10組のこと抗議(こうぎ)してたのか」

「当たり前やん!あの態度だいっ(きら)いやもん」

「ああ、あいつのはなをつねってやったぜ」

「うわっ、やるやん!」

 扉はひらき、その向こうには面白(おもしろ)そうな会話をする男女二人組がいた。

 ヒロトはその会話を聞きながら思わず破顔一笑はがんいっしょうした。二人の話は、ヒロトにも同じように思うところが多いため、自然と笑みがこぼれたのである。

 さらに二人のせきは、ヒロトの前の二つときた。


 ──二人は席に座り、その態度からか異色(いしょく)を放つヒロトにも、気にせず話しかけた。

「なあ、ここの席だろ?よろしくな」

 男は親切(しんせつ)そうで、女は明るく無邪気な印象だ。

 ヒロトはそれに挨拶(あいさつ)を返す。

「よろしく」

 ヒロトは(つくえ)から足を下ろし、ニヤリとして話しかけ返した。

「聞いてたぜ。お前先生の鼻つねってやったんだって?」

「おう」

「俺は指導室に呼ばれてな、教師があまりにもむかつく態度だったから首をめてやるとな、教師は「放したまえ!放したまえ!」だってさ!」

「ブフォッ…!お前すげえな!」

 男とヒロトは、まるで初対面ではないように話していた。


 女のほうも、(はら)を押さえながら大笑いだった。

「実は俺も激怒するあいつの鼻をつねったらな、「ふごご!ふごご!」だってさ!」

「ひゃひゃひゃっ!マジか!お前悪いやつだな!」

「お前もな!」

 どうやら、お互いかなり気が合うらしい。

「うちもあいつのこと(あお)りに煽ったんやけど、うち女の子やから手ぇ出せんかったってww」

「「うわぁセっコッ!!」」

 関西弁の少女は高らかに笑った。


「──お前ら、名前は?」

 ヒロトが聞くと、まずは男のほうから名乗った。

「じゃあ、俺の方からな。コウだ」

「うちはキサクやよ~。うちら今日が初対面(しょたいめん)なんやけどな」

「それは意外だな…俺は弥上ヒロト。ヒロトが名前だ」

「ヒロト…珍しい名前だな」

「いや、メタい話だが、あんたらといいラビットといい、にじs…」


 ──教室に、ここの担任らしき人物が入ってくる。

 だが、彼の様子はどこか不審(ふしん)であった。

「…」

 持ち合わせたファイルで顔を(かく)していた。

「アイツ、なんで顔を(かく)してるんだ?」

「俺からしたら、理由は明白だけどな」

 ヒロトが試しにバンッと机で音を立てると、彼は大きく(ふる)えファイルを落とした。

 ファイルの向こうの顔は、まさしく今朝(けさ)の教師であった。

「あの(おび)えよう…お前何したの?」

「首を締めただけ」

「「…」」

 あっさりと答えるヒロトに、コウとキサクは二人して目を見合わせた。


「今日は、み…みんなの…じじじ自己紹介をして…もら…らいたいんだが…したい方どうぞっ!!」

 テンパる教師にクラス全員が声も出なかった。しかもその原因がこのクラスのたった一人の男だということは、いかにも信じがたいことだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ