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魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
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第35話『リズレから2人への依頼』

 ──コンコン…

「ラビットです。弥上ヒロトを連れてきました」

「──入りなさい☆」

「──失礼します」

 ラビットがドアを()けた向こうには、広い部屋に大きな(つくえ)がひとつ。

リズレは、組んだ手に(あご)()(ひじ)を突いて、椅子(いす)(すわ)ったまま二人を待っていた。

「さっきぶりだね、ヒロトくん」

「ああ」

「…まあ、座りたまえよ☆」

 二人は、リズレと向かい合うように()かれたソファーに座った。

「ちょっ…ヒロトさん、姿勢(しせい)っ」

「はぁ…?」

 ラビットはヒロトの姿勢をたしなめる。

 机に足を()せるとは、なんと無礼(ぶれい)なことか。

 学園長に見せる態度(ったいど)ではないと、優等生らしい態度だ。

「いいや、いいのいいのっ☆」

 リズレはそれを許容(きょよう)して、本題に入った。

「──今回君たち二人を呼んだのは、君たちに依頼(いらい)をお願いしたいからなんだ」

「「依頼…?」」

 それについて、リズレは(くわ)しく説明をしはじめた。


「僕が君たちに()せる依頼──それは、レーブルジャングルでの偵察(ていさつ)だ」

 当然ながら、ヒロトはリズレの言うそこの詳細は知りはしない。

 だが、ラビットはそこを知っている様子だ。

「この街を出て南にある森林(しんりん)ですか?」

「そう、そこだっ☆」

 わからない様子のヒロトに、二人は説明する。

「レーブルジャングルというのは、たくさんの動植物が多く確認(かくにん)されている森林です。魔物が多く出現する昨今(さっこん)、あの森は(のこ)(かず)少ない自然の宝庫(ほうこ)と言えるでしょう」

「その通り。つい最近あの森で、魔物の反応があったと報告(ほうこく)があってね、君たちにはよかったら向かってほしいんだ」

 魔物の反応──その言葉で、二人はあの北校舎での事件を思い出す。

 ラビットにとっては、魔物という存在は耳にも入れたくないだろう

「心配そうだね…だけど大丈夫だ。あそこで確認された魔物の危険レベルは、多く見積(みつ)もっても4、最高でも8ってところ。生徒会のもとで十分に成長した君たちなら、きっと楽勝だろうね☆」

「つまり、わたくしたちの任務というのは、そこの魔物の駆除(くじょ)ということですね?」

「…そういうことでもあるんだけど、もう1つあってね?」

「「…?」」

 キョトンとする二人に、リズレは続ける。

「その2つ目はちょっとだけ危険だけど、引き受けてくれるかい?」

「…一応用件は聞いておこうか」


「…その森の(おく)には面白い生き物がいてね?その名も、未解明(みかいめい)猿獣(えんじゅう)バーギラ。体長13mほどの巨大な哺乳類(ほにゅうるい)で、そのレベルは少なくとも42はあるとも言われている」

「「42!?」」

 あまりの次元の違さに、二人は驚愕(きょうがく)仰天(ぎょうてん)する。

 魔物化したオニオオトカゲのレベルが12なのだ。42など(おそ)ろしすぎる。

 当然二人は、椅子(いす)から立ち上がって反抗(はんこう)した。

「危険すぎるだろ!本当に俺たちが出向くべきなのか?」

「わたくしも同意見です!死ににいくようなものです!」

「待って待って、まずは話を聞いておくれよ」

 意地でも反抗する二人を(おさ)え、リズレは続けた。

「「…」」

 二人は落ち着いて、リズレの話を再び聞くことにした。

「なんとこのバーギラ、最近の消息が途絶(とだ)えているんだ」

「「えっ!」」

「バーギラほどのモンスターが、魔物にやられるなどと言うのは考えにくいだろう?」

(たし)かにそうだ…」

「バーギラが活動をしていたときは、その狂暴(きょうぼう)さゆえに、そこに足を踏み入れる魔物は全て駆除(くじょ)されていた。こうして魔物が()えているということは、バーギラ自身に何かがあったと思わないかい?なので君たちにはそこに向かい、調査をしてもらいたいんだ。テントや寝袋、あとは携帯食料などはこちらで用意しておくから」


 ──だが二人は、それを聞いたところで、不思議(ふしぎ)な点があったようだ。

「じゃあ、俺たちに行かせる理由があるのか?」

「んん?」

「こういうときってさ、兵とかそういうのの出番とかじゃねえの?」

 ラビットもうなずく。

「随分と(するど)いねぇ。いいよ、話しておこう」

「「…」」

 二人は、リズレの表情がニヤリとしたのを感じ取った。

「君たち二人に、生徒会のもとで修行した成果を(はだ)で感じてもらいたかったから…ってこと」

「「あぁー…」」

 二人はそれが()におちたが、なぜかリズレの様子と結び付かなかった。

「…っていうのが、(おもて)の理由」

「「!」」

 リズレは立ち上がって、二人に顔を近づける。ただ口角(こうかく)をあげて。

「で、(うら)の理由は、二人にはどぉーにか親密(しんみつ)な関係になってほしいから…ってこと」

「「はぁ?」」

 全く釈然(しゃくぜん)としない理由に、二人はあっけらかんとなる。


「…あのなぁ、俺たちがそんなんになると思うか?」

「…でも、どうにかなってくれないかなぁーって」

「…」

 ヒロトは何とも言えない表情(ひょうじょう)で静止し、リズレを見つめた。

「はぁ…なんでかなぁ…」

 ヒロトはため息をついてから、ラビットの方を見る。

「お前もそう思うだろ?ラビット」

「…」

「えっ?」

 ラビットは、ヒロトを見つめる初見の姿勢のまま動かなくなっていた。

 だが、それに加えて(なぞ)なのは、ラビットの(ほお)がなぜかほんのり赤らんでいたことだった。

「ラビット?」

「…──っえ!あっ…そうですねっ!」

 現実に戻ってきたラビットは、少しテンパった様子(ようす)でヒロトから目を(そむ)けた。

 次々と意味不明なことが起こるので、ヒロトは何とも言えない気分になっていた。


「フフ…」

 そのやり取りを微笑(ほほ)みを浮かべ(なが)めるリズレは、付け加えるように言う。

「君たちが親密になれるように、他にもう1個、ボクはサポートしてやったじゃないの」

「「えっ?」」

 二人は心当たりがなかったが、二人は次の一言にハッとする。

「ほら、君たちは部屋一緒でしょ?」

「「!?」」

 お前の仕業(しわざ)だったのか──という様子で二人はリズレを(にら)む。

 ヒロトの中には怒りが少し現れていたが、それ以上に怒りを持っていたのはこの人物だった。


 ラビットはテーブルをバンと(たた)くと、リズレの顔すぐまで近づいて睨み付けた。

「ええっ…!ちょっ!」

「全部あなたの仕業だったんですか!あなたがこの男(ヒロトさん)とわたくしの部屋を一緒(いっしょ)にしたせいで!わたくしは!わたくしはこの男に!」

 ヒロトは何かと概要(がいよう)はわかっていたため、顔を手で(おお)いうつむいていた。

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