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魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
33/96

第32話『特訓スケジュール』

「じゃあヒロトくん、本格的に特訓に入るわよ」

「お…押忍っ!」

 様子の変わったカリンに、ヒロトは驚いていた。

「じゃあ、まずはこれを握ってもらえる?」

 差し出されたのは、紫色のちいさい宝石。

「何だこれ…」

「…あれ?」

 カリンは不思議そうな面持ちになる。

「本来なら、体内の魔力に反応して光るはずなんだけど」

 ヒロトを除く全員が、驚いた様子である。


 そして、カリンは申し訳なさそうに言う。

「ごめんヒロトくん…あなた魔法が使えないと思う…」

「さっきのラビットへの宣戦布告撤回していい?」

 ヒロトは穴があったら入りたかった。

 魔法とは無縁の日本人だから当然だったが、それでもヒロトはひどくガッカリしていた。

「もう俺ダメっぽいな」

「わたくしも正直萎えてしまいましたね…」

「帰ってもいいか?」


「──待ちいや」

 背を向けるヒロトを、メイプルが呼び止める。

「確かに、お前には魔力の反応は無い…やが、お前には魔法よりもすごいもんがあるやろう?」

 その時、ヒロトや生徒会は言わんとしたことを感づいた。

「鬼神のオーラを扱えれば、お前はラビットにも負けへんで」

「…つまり、俺は魔法よりもオーラで勝負ってことか?」

「そういうことやが、それもお前のオーラのコントロール次第やな」

 オーラを押さえたり放出させたりといった基本は、この通り完璧にマスターしているが、このオーラの力は、ヒロト自身でも未知な点が多い。


「ちょっとオーラ出してみ」

「おう」

 ヒロトは、赤いオーラを放出する。

 だが、メイプルは少し不思議そうな感じだ。

「…色がかなり薄うないか」

「気付いちまうか…」

 メイプルが前に見たものよりも色が薄いのは、このオーラの重要な起爆剤が欠けているからである。

 その起爆剤とは…──

「こいつに必要不可欠なポイント、怒りが足りない」

「怒り?今から私がお前に悪口を言えばええんちゃうの?」

「ダメだそれじゃあ。あの時はお前がガチでムカついたから発動したが、もうあんな手じゃ発動しない」

 あのときのオーラの発動は、初対面のメイプルに思いきり図星の罵倒を食らったために起こったものだ。

 要するに、今の平常心のヒロトに作れるオーラはこの程度である。


 だがそこで、カリンが言う。

「だけど、それでも結構の力はあるんでしょ?もともとヒロトくんの体力はすさまじいものがあるし」

「まあ、普通のパンチの5倍くらいは頑張ればいけるぜ」

「「「「「(お前の普通のパンチも恐ろしいんだが…)」」」」」

 当然ツッコむ暇もなく話は続くのだが…──。

 つまりは、ヒロトのいつもの恐ろしいパンチが、鬼神のオーラで5倍になるということだ。

「…あ、だけど勘違いしないでくれよ。ただオーラを宿したからって、5倍になるわけじゃねえぞ。こうやって…ぐっ…ギギギっ──」

 ヒロトが腕に力を込めると、身に纏う赤いオーラが腕に集まる。するとオーラの色が濃くなり、ゆらゆらと立つオーラは勢いを増した。

「…と、半端じゃない集中力でこうやって集めて集めて、やっと5倍だぜ」

「どんくらいむずいん?」

「難解の数式を寝起きで解くことくらいムズい」

「「「「「(例えがわからん)」」」」」

「まあ、すっげえムズいのよ。鬼神のオーラと隣り合わせで8年間も生きてきて、このトレーニングを欠かしたことはない」


 それを聞いて、カリンは語りだす。

「…わかりました。それでも、今までのあなたのトレーニングはすべて独学。それに加えて、あなたのオーラの仕組みは、魔力にもどこか似ているように感じる。ここは魔法の世界です。その力をよりスムーズに扱うことが出来るように、私たちが指導できるかもしれません」

「そ…そういうことなら」

 カリンは、ヒロトのオーラに更なる可能性を見出だしたようだ。

 だがそこで、カリンは別の場所を見る。


「それじゃあ私の代わりに、“指導”──お願いします」

「…?」

 ヒロトがそこを見ると、メイプルが笑みを浮かべてこちらを見ていた。

「メイプルは、持ち前の体力と身体強化能力魔法の扱いに大いに長けている。あなたの有り余るパワーをぶつけられる相手は、この人くらいしかいないと思いますしね」

「へへっ、よろしくな~」

 メイプルは笑いながら、ヒロトを見た。


「まあ、確かにこいつくらいの教師も少ねえし。…昨日から随分、テメェのこと殴り足りねえと思っててなぁ…」

 笑うヒロトに、メイプルは笑い返す。

「上等やないけェ…その喧嘩、買うたるわ」

「こいつは結構、怒りが溜まってきたわ…へへへ」

 ラビットはその目の前のやり取りに、ただ恐怖を感じるのみだった。


「さて、ラビットさんとこの二人を一緒にいさせるのは危険きわまりないわね…」

「わたくしもそう思います」

 この二人が暴れるとどうなるか、二人には簡単に想像できた。

「…それじゃあ、指導は日にちごとに交代制でいきましょう。お互いに予約制でね」

 それに二人とも了承して、この場は終了された。

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