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魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
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第24話『生徒会一同集結』

「──あっ、生徒会の人たちだ!」

 サルマはスタジアムに現れた8人を見て、立ち上がる。

 彼らが入って来たと思うと、観客の生徒たちから拍手はくしゅき起こった。

「まあ、ヒロトはわからないだろうが…一応説明しようか?」

たのむ」

 この流れで自分が説明役になることをさっしたコウとキサクは、ヒロトにわかりやすく説明してくれた。

 先頭にいるカリンは知っているが、他の7人はまったくわからなかった。


「──さて、今年こそは実力者がそろってるのかな」

 背中にさやを背負ってる男は、ソード──この学園で、剣技けんぎの魔法で彼の右に出るものはないという。

「見たところ昨年さくねん通りって感じッスけどね」

 狐目きつねめの男は、ピース──トリッキーな戦法を持ち味にたたかう、ソードとかたを並べる実力者だ。

「…昨年よりかは、ましであってほしいところだけど」

 緑のかみの大人しい女の子は、フラワー──繊細せんさいな魔法のあつかいならカリンすらも認めている。

「実力者が出てきてくれたら、こっちからもあばれがいがあっていいよねー!」

 青い髪の活発そうな女の子は、チーサン──魔法は一見大胆ながら、なぜかすきがないという。

「フフ、私は素敵な男性の相手さえ出来ればそれでいいんですが…」

 変態のようなニオイのするその女性は、スズーカ──その性格ながら、魔法の実力は超一流だという。

「何か変態のニオイがする気が…」

 そんな彼女におびえる様子の少女は、アキニーム──おしとやかな彼女は、なぜかは知らないが男子用の制服を着ていた。

「こんな戦い面倒だし、早く終わらせたいな…はぁ…」

 あまり乗り気でなさそうな、エルサント──彼女はため息をつきながら、ぶつぶつとこぼしていた。


 生徒会と聞いてたよりになりそうな感じを予想していた観客かんきゃくの生徒らは、何だかなんとも言えないような様子だった。

「何だか団結しきってないって感じだけど…そっくりさんか?」

「いや、そんなはず…ないよな?」

「う…うちに聞くなやっ」

 困惑するスタジアムの中で、後ろからチャレンジャーらが続々と現れる。チャレンジャーらは、2組3組など上位クラスの生徒ばかりであった。

「上位クラスのやつらばっかりや…」

「結構いい勝負するかもな」

 だが、ヒロトだけはそれを否定した。

「いいや?のうあるたかつめかくすってな…──あいつらがいくら優秀なクラスにいたって、戦いに付いていけるとは思えない」

「え?どうして…」

「見てりゃわかるさ」



 結局、ヒロトの予想は的中した。

 上位クラスの生徒らは、ただのお調子者といった感じだった。

「ふっ、所詮しょせんは能無し犬の遠吠とおぼえってか」

 だがチャレンジャーの実力がとぼしかったとはいえ、生徒会の実力には目を見張るものがあった。

 技のえ、しなやかな動き──全てにおいて完璧かんぺきであった。

 ヒロトは今まで数々の喧嘩けんかを受けてきたゆえの慧眼けいがんが、今回の戦況を始まる前から読んでいた。

「ヒロト…すげえな」

 10組のみんながおどろくなか、一人意外な人物が挙動きょどうを変えていた。

「ん?どうした?マーニ」

 サルマはマーニに心配そうに声をかけた。

「いや、なんもない」


 ──ヒロトは生徒会一同をながめて何か不思議そうな面持おももちだった。

 生徒会の実力に大いに盛り上がるスタジアムが急にしずまった。全員が違和感を感じ取ったのである。

「生徒会ってさ、9人のはずだったろ」

 10組のみんなは、驚いて人数を数える。ヒロトのいうとおり、やはりそこには8人しかいなかった。

 だが、なぜか何の知らせもない。

 どういうことだと騒然そうぜんとする観客の生徒たち。


 すると、スタジアムに一人の人間がやって来た。

「いやあ悪い!遅くなったわ!」

 そこに現れたのは、そこそこ高身長の語気の荒い少女だった。

 カリンがそこに走っていく。

「もう、遅すぎ!そろそろ隠せなくなってきたからヒヤヒヤしてたんだから。早く位置について!」

「わかった!わかったって」


 ──コウとキサクは、その人物に驚いていた。

「あっ、あの人ってまさかやけど…」

「メイプルさんだな…」

 2人はそのメイプルという少女について、ヒロトに説明してくれた。

「彼女はメイプル──生徒会屈指の実力者だ」

「あの人風紀委員でもあってな、あの人がおる限り、この学校に悪いやつはおらんと思う」

「…じゃあ、前の7組のやつらは」

「…もうおらんと思う。この一週間で70人も退学になったらしいし」


 そう言えば、まだカリンとメイプルはチャレンジャーが出てきていない。

「なあ、何であの二人にはチャレンジャーがいないんだ?」

「いや…あの二人は…」

「さすがに無理やろ…」


「──メイプル、私もそうなんだけど、あなたにチャレンジャーがいないのよ」

「まったく…腑抜ふぬけてんなぁ」

 メイプルが嘆息を漏らしてベンチで休むチャレンジャーを見据みすえると、彼らはすくんで腰が抜けてしまったらしい。

「これだけで、あのメイプルってのがどれだけの実力者かってのがうかがえるな」

 ヒロトの慧眼は、彼女と他の生徒会のレベルの差を感じ取っていた。

「せやなぁ…別に目立ったやつもおらんし──」

 メイプルはついに1組の辺りに目を向ける。

 すると、彼女は一人の実力者に指をさした。

「あんたや」


 その指がさしていたのは、驚愕きょうがくするラビットだった。

「わ…わたくしですか!?」

「ああそうや!新入生での実力トップクラスのあんたと、戦いたい言うとんねん」

 突然の暴挙ぼうきょ騒然そうぜんとするスタジアム。ヒロトもラビットが指名されたのには、身を乗り出すほどの驚きだった。


 ラビットがいやそうに降りてくる。

「大丈夫や。手加減はしてやる」

「は…はあ」

 すると、メイプルとカリンは何か目配めくばせをした。

 ラビットはそれを見逃さなかった。

「実は、戦いたい相手はもう一人おんねん」

「2vs1ってこと?」

「せやせや」

 メイプルは、自分が戦いたいという2人目を捜しだした。


「ふっ…」

 ひとつニヤリとしてからメイプルが指をさす。

 その先にいた人物に、ラビットも、10組の皆も、そしてこのスタジアムの全員が驚いていた。

「──弥上ヒロト…お前や」

 ヒロトは、嬉々としてかがやくそのひとみ見据みすえられ、ひたい汗脂あぶらあせをぬぐった。

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