第22話『はや一週間後』
ヒロトとラビットの一件のあったあの日から、はやくも一週間が経った。
異常な魔力の感知の一件もすっかり風化され、傷ついた北校舎も元通りになっていた。
だが10組だけは、変わりきった部分があった。
「ここだけだな。担任がいないの」
ガンダーは教卓から10組を見わたす。
それには10組のみんなも同意だった。
「あの先生ラビットさんにセクハラしようとしたんだっけ」
「まじキショいわ」
コウとキサクは、ため息をついた。
「本ッ当に下らねえよ、生徒を置いてきぼりにして、一目散に逃げるなんてよ…」
「ヒロトが言うと説得力が違うぜ」
「あそこで生き残れたの奇跡やからな」
10組のみんなは、ヒロトがなぜ生き残っていたのか不思議がっていたが──
「ラビットさんに感謝せなあかんなぁー」
マーニの言うように、10組のみんなにヒロトは、「ラビットに助けてもらった」と話している。もしも変に疑われることがあれば、鬼神のオーラがバレてしまいかねない。
「でも、いくらラビットさんとは言え、レベル12の魔物を倒せるものなのか?」
「…うーん、案外いけるんじゃない?」
疑うアシュに、サルマは中途半端ではあったが憶測でそう返した。
だが、ヒロトがラビットに救われたのは事実だ。
因みに、その後ラビットと廊下ですれ違うことは多くなり、ラビットはなぜかテンパりぎみだったが、挨拶も多く交わせるようになった。
ガンダーはそこで話題を変える。
「今日は学園の伝統行事、A·Tだ。私たち教師は行けないがな」
10組は皆、バカにテンションが上がっていた。一人を除いてだが。
「オーディ…何だ?」
そこで一人首をかしげるヒロトに、10組の全員がひっくり返る。
「なるほどな…そういえばお前ラビット家も知らなかったもんな」
コウはあきれて説明する。
──A·Tとは、この学園においての新入生の実力を試すための行事らしく、スタジアムを貸しきり、カリンを筆頭とした9人の生徒会に新入生が希望で組手を申し込んだものが、そこで優秀な成績を修めれば生徒会に一目置いてもらえるという。
「そういうのって、一体どんなやつが希望するんだ?」
「さあ、とにかく強いやつが出てくるんじゃねえの?」
余談を終えて、10組はバラけて各スタジアムに向かった。




