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魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
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第15話『ヒロトの意識内』

 ヒロトが意識を覚ますと、そこは真っくらな世界だった。

「っ…ここ…は」

 ヒロトは、そこで何か音を感じとる。

 ──グチュ…ニチッ…ボキッ…!

 肉をえぐり、(はらわた)をかき()ぜ、骨を(くだ)くような恐ろしい音。

 ヒロトは右を見ると、そこには異様な光景があった。


「──…はっ!?」

 ヒロトは表情を(ゆが)ませ、声を出して(おどろ)いた。

 赤い肌…逆立(さかだ)(かみ)筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の巨体、うねり立つ角。

 ──間違いない…それは赤い鬼神(キジン)だった。

 鬼神は、何か肉を(むさぼ)っていた。

 ヤツがこちらに振り返ると、ヒロトは赤い(ひとみ)にいすくめられた。

 般若(はんにゃ)のようないかめしい顔に鋭い(きば)。そして鬼神が貪っていたのが何かわかった。

 先ほどちぎれた、ヒロトの右腕だった。


『──()()だな…』

 鬼神は地を(ゆる)るがすような声で(かた)った。

(どく)(おか)された意識のなか、少女を(まも)りきったか…こんな所にとばされ、なんとも不運(ふうん)な男よのぅ…』

 ヒロトの目の前に顔をずいっと近づけ、鬼神は嘲笑(あざわら)うように言った。


 ヒロトは鬼神に何とか言葉をかけた。

「今の俺がいるのは、どこだ」

貴様(キサマ)途絶(とだ)えた意識だ…私はそこに入り、貴様に(かた)りかけている』

「…」

 ヒロトは目の前の鬼神に、なぜ自分が語りかけられているのか気になって仕方がなかった。

 そしてそれより、鬼神の食っている自分の(うで)が一番の(なぞ)であった。

『ん?…ぁあ、この腕が気になるか』

 鬼神はそういうと、ヒロトを尻目にその腕を丸飲みにした。


『──お前が助けた少女は今、お前をかついでトカゲから逃げておる』

「なに…!ラビットが」

 ヒロトにとってそれは、あまりにも意外すぎる事実だった。

『トカゲに見つかるのは…時間の問題だな』

「じゃっ…じゃあ、今すぐ助けにいかないと!」

『待てッ!!』

 今すぐにと立ち上がるヒロトを、鬼神は『呼び止めた。(かみなり)が落ちたような大音声(だいおんじょう)であった。


『貴様の力が、そこまでのものか!やつは恐ろしい強さだぞ。8()()()のことから、何も学んでおらんなぁ』

「っ…!?」

 ヒロトは鬼神の言葉に驚いた。

「なぜ…そのことを」

『覚えておらんとは言わせまい…8年前のあの()()()()()()()(くつがえ)せたのは、貴様がワシの力を解放したからだろう』

 ヒロトはそのとき、喘息(ぜんそく)のようなものに(おそ)われた。

「はあっ…!はぁっ…──ぐっ…」

 心臓を()め付けるような苦しみがヒロトを(おそ)う。彼のある苦い記憶がたちまち(よみがえ)り、頭痛に表情がゆがんだ。

『力のない正義など…無力だ!』

 ヒロトは苦しみを(たた)えて、鬼神をみた。

 鬼神の表情には、(きび)しい眼差しが浮かんでいた。

 だが、その表情に笑みが浮かぶ。


『今、お前に残るのはただひとつ…』

 鬼神はそう言うと、ヒロトに腕をかざす。

『ワシの力を──…使えッ!』

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