第13話『魔物との戦い』
ヒロトは襲ってきた猿を迎え撃つ。ヤツの突進を避け尻尾を掴むと、地面に全力で叩きつけた。
「ギィヤァアーッ」
「うぉらッ!!」
ヒロトは猿を再び持ち上げると、振り回して壁に叩きつける。そして、ヤツは気絶した。
ラビットも必死に戦う。
「インパクト!インパクト!」
ラビットは、次々と猿を吹き飛ばしていった。
だが、ヤツもいよいよ学習しはじめた。
「キィーッ!」
猿はラビットを四方から囲んだ。
「インパクト!くっ…間に合わない!」
ラビットはダメージを受けそうになっていたが、そこにヒロトがわって入った。
「危ねえぞバカッ!!」
ヒロトは、ラビットに迫る二体の猿を両手で掴む。
「おらぁーッ!!」
猿を床に叩きつけ金的を踏みつけると、やつは悶絶してものも言えなくなった。
「ラビット!早くトドメをさせ!」
「命令しないでください!」
ラビットが腕に力をためると、その腕に槍のようなエネルギーがまとわりついた。
「エアスピアー!」
それを猿に突き刺すと、血が噴き出した2体は動かなくなった。
「はあっ…はあっ」
ヒロトは、息絶え絶えとしてそこに膝をついた。体の節々(ふしぶし)が悲鳴をあげ、汗が噴き出てくる。
彼の働きぶりに、ラビットも驚いていた。
「…魔法も使わずに、ここまでよくやれたものですね」
「ちっ、えらそうに…」
そこで、ラビットは目をそらして言った。
「まあ、助けに来てくれたことには礼を言います──…ありがとう」
ヒロトは少し驚きつつも、不敵に笑った。
「へっ…ちょっとはいいとこあんじゃん」
安堵からか、そういったやりとりが繰り返されていると、──…それは唐突に訪れた。
「「──ッ!?」」
身を大きくすくませるほどの恐怖が、突如二人にのしかかった。
「…ふふっ、君たちのその恐怖した顔…すごくいい」
何かが、二人の間を通るようだった。
それがどんな姿をしていたのかすらわからない…見ることもできなかった。
「だけど、これはまだ余興さ…」
だが、何かおぞましいものが、ニヤリと微笑んで通りすぎていたことだけはわかった。
「…!はっ…」
「今のは…いったい!?」
二人ははっとして振り返る。
だが、そこには何もいなかった。
幻覚だったとは感じられないが、にしてはあまりにも恐ろしすぎる。
唖然とする二人に、さらなる驚異が迫る。
「シャアァアーッ!」
その音の正体は、50cmの黒い蛇によるものだった。そして、その数は5匹にも及んだ。
『魔物化キラータイパン 危険レベル6』
唖然とするラビットの前に、ヒロトが出た。
すると、5匹の蛇はヒロトのあちこちに噛みついた。
「あぐぁ…っ!」
「いけないっ!」
焦ったラビットは、何とか蛇を引き離し、本気のインパクトで吹き飛ばした。
だがもう遅い。ヒロトの噛まれたところからは、おびただしい量の血が噴き出していた。
「うっ…あぁ…っ」
ヒロトを襲ったのは、強い幻覚作用と激痛に吐き気。
恐怖と激痛に歪むヒロトの表情を見て、ラビットは彼に駆け寄った。
「あぁーっ!うぁあああっ!」
「…落ち着いて!気をしっかりもってください!」
ラビットは必死にヒロトを看たが、彼はもう正気ではなかった。
すると、また新たに驚異が迫る。
「キィイイーッ」
現れたのは、3mにも及ぶ体長の、鋭い歯をもったトカゲだった。
『魔物化オニオオトカゲ 危険レベル12』
ラビットは突進するそいつにインパクトを放つが、止まることはなかった。
オニオオトカゲの突進を直にくらったラビットは、壁に叩きつけられた。
「あう…っ!!」
ラビットは想像を絶するダメージに身動きひとつ取れなくなってしまった。
「…こんな…ところでっ」
オニオオトカゲは、ラビットにさらに突進した。
「く…っ!」
ラビットが歯を食い縛る。
すると、目の前にヒロトが立ち塞がった。
「何をしてるんですか!」
ヒロトは、毒のせいで意識は正常ではないはずだった。
だが、ラビットをかばう姿勢をとっていた。
「キィイイーッ!!」
オニオオトカゲはヒロトに突進し、彼は右腕でオニオオトカゲを迎え撃とうとしていた。
「うぉおおおーッ!!」
半狂乱の様子でパンチを繰り出そうとするヒロトは、その時右腕を突き出した。
すると、突如何かがちぎれる音がした。
──ブチッ!!
「…ッ!?」
ラビットは目の前の惨状に息を呑んだ。
「がぁっ…ぁああああッ!!」
──…ぶしゃぁああーッ!!
ヒロトの悲鳴があがると同時に彼の腕が噛みちぎられると、さながら噴水のように鮮血が噴き出した。




