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魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
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第12話『ラビットの危機』

 ヒロトは、北校舎までたっぷり走って、息を切らしていた。

「はあっ…はあっ!」

 昇降口(しょうこうぐち)から西階段を上り、北校舎につなぐ(はし)までを全力走破したヒロトは、北校舎に足を()み入れた。

「…──っ!?」

 瞬間(しゅんかん)、ヒロトは体を(むしば)むような悪寒を感じ取った。

 外が暗いせいで光の()し込まない廊下(ろうか)は、ヒロトの恐怖を強く(あお)る。


 この北校舎のスピーカーは、なぜか全てが破壊(はかい)されていた。

 こうした理由も方法もわからないが、これではラビットには避難(ひなん)通告(つうこく)が通じないはずだ。

「どこなんだ…ラビットの野郎!」

 ヒロトは恐怖(きょうふ)を押し(ころ)して、そのまま(おく)へと走っていく。

 すると、突如(おそ)ろしい音が(ひび)いた。


「ギュアアーッ!!」

 (さる)のような叫びだ。

 すると暗闇(くらやみ)(おく)から、小さな影がこちらに走ってきた。

「なっ…──ぐあっ!」

 その影の正体は、白目を()く黒い猿であった。

 そいつは、ヒロトの右腕に必死にかじりついていた。

『──魔物化マッドモンキー 危険レベル3』

「くっ…うぉおーッ!!」

 なお、ヒロトは左腕でそいつを力ずくで引き(はな)し、地面に全力で叩きつけ金的(きんてき)()みつけた。

 猿は悶絶(もんぜつ)しその場に息絶(いきた)えたが、ヒロトの右腕からは血が(したた)っていた。


「くそっ…魔物ってのは…こういうやつか」

 ガンダーの話を今一度思い出す。

 ヒロトはなおさらラビットが危険だと、奥へとさらにスピードをあげて走った。



「──ここには誰もこない…思う存分ヤろうぜ」

「…はい」

 下卑(げび)た目でラビットの服に手をかける教師に、洗脳されたラビットは抵抗(ていこう)もできず、できることはただ返事(へんじ)だけだ。

「へへ…──ん?」

 突如、教師は異変に気づく。


 何かがこちらに近づいてきていて、そいつはこの木製(もくせい)のドアを強く(たた)いていた。

 ──ドンドンッ

 だが、教師は余裕(よゆう)そうな表情だった。

「(大丈夫だ…声さえ出すことがなければ、簡単に見過ごしてもらえる)」

 そうしてずっと静かに堪え忍ぶ教師。

 ──バンバンッ

 扉の音が変わった。

「…ん?」

 ──バキッ!バキッ!

 (とびら)が形を変えて、教師は嫌な予感を感じとる。

「…ッ!?やめろぉおーッ!!」

 ──バキィイイッ!

 (とびら)が音を立てて(こわ)され、その奥からヒロトがお出ましした。


「──てめぇ…!このクズがぁあーッ!!」

「ふごぁッ!?」

 ヒロトのパンチを直にくらった教師は、悲鳴をあげてそこに(たお)れた。

 ラビットの洗脳が解ける。

「あれ…わたくしはいったい…」

「くそっ…洗脳が」

 教師は顔をしかめたが、ヒロトは焦燥(しょうそう)(あらわ)にして声を荒げた。


「ここにいたらまずい!はやく逃げろ!」

 ヒロトはそういうが、二人は釈然としない様子だった。

「魔物が出──」

 ──ドォオーンッ

 ヒロトが再度忠告をいれると、それを(さえぎ)るように爆音が(ひび)く。教室の(かべ)が一気に破壊(はかい)されたのである。

 そして(こわ)された壁の向こうには、先程の猿が15匹も現れた。

「うっ…うわぁああーっ!」

 その光景を見るやいなや、教師は(なさ)けない悲鳴とともに教室を飛び出し、北校舎への入り口の錠前(じょうまえ)を締め切った。

「はぁ!?──ふざけてんのかテメェ!開けろ!」

 教師は錠前を開けようとはしなかった。

「くそがぁあーッ!」


 ヒロトが万事休(ばんじきゅう)すかとなったとき、彼に猿のモンスターが肉薄(にくはく)した。

 するとヒロトの前に、ラビットが立った。

 ギュウン!

 ラビットの魔法で猿は吹き飛ばされ、(かべ)に力なくうなだれた。

「ヒール!」

 ラビットのおかげで腕の傷が(ふさ)がった。

「弥上ヒロト!あなたも体力なら充分でしょう!少しは(たたか)ってください!」

 ラビットは正気に戻っていた。

「ちっ…!言われなくてもやってやるよ!」


 ヒロトはラビットに張り合うように、魔物に向き直った。

「あいつの動きを止めるくらいは、あなたでも余裕(よゆう)なはずです!」

「なめんなよっ!」

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