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魔法学園と鬼氣使い(ヤンキー)  作者: みっしゅう
第1章『全てはここから始まった! 最強の日本人ヤンキー 異世界の魔法学園に転移!』
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第10話『立て続けの違和感』

「ふぅ~、食った食った」

 食堂での昼食の(のち)、ヒロトは満腹(まんぷく)(はら)をさすっていた。

 相変わらずの食いっぷりに二人は(あき)れ、ヒロトの後ろをついていった。

 だが…──

 ヒロトはそこを通る一人の少女と目があってしまい、不機嫌(ふきげん)そうに舌打(したう)ちした。


「くそっ…またかよ」

 そこで、またラビットと会った。

「…!──弥上ヒロト…」

 だが、なぜだか少し様子がおかしかった。

「…」

 みんなは階段のほうに向かうのに、彼女だけはそのルートから(はな)れているようだ。

「…?おいラビット!」

「…なんです?問題生さん」

 お嬢様(じょうさま)を呼び()てにしたことに(あせ)る二人だったが、ラビットは気にしていない様子であった。


「授業はそっちじゃねえだろ」

「…北の校舎に用があるんです。あなたたちのクラスの先生に呼ばれたですよ」

 だが、3人は違和感を持つ。

「うちの先生、今日いなかったぞ?」

「は?」

 実際あの教師は、今日10組のみんなの前に(あらわ)れなかった。いかにも不自然(ふしぜん)だ。

「本当だって。それおかしくねえか?」

「…私は間違いなくあの先生に()ばれましたので。ではさようなら」

 ラビットは3人から目を(そむ)け、北校舎にむかっていった



 昼からの授業がはじまった。

 10組のみんなは、変わらずガンダーの授業を受けていた。

「で、ここで空気中に蔓延(まんえん)する魔力が強く作用(さよう)して──…ん?」

 ガンダーが授業を中断(ちゅうだん)(まど)の外を見る。

 空は(あつ)く黒い(くも)(おお)われ、稲妻(いなずま)がたっていた。

「どうなってるんだ…さっきまであんなに晴れていたのに」

 不思議(ふしぎ)なこともあるものだ──10組全員は不穏(ふおん)そうに暗い空を見上げ、ざわめいていた。

 すると突然、ふぅっ…と教室の()かりが消えた。

「え?何…?」


 その時のことだ。

 ひたっ…と、廊下(ろうか)を誰かが裸足(はだし)で歩く足音がした。

「…」

 ヒロトを含むクラスメイト、ましてやガンダーさえもが、廊下からおぞましい力を感じ取っていた。

 その場は、沈黙(ちんもく)に支配される。

 聞こえるのは、稲妻とその足音だけ。

 その間15秒。だがその時間が1時間にも感じられるほど、すさまじい恐怖(きょうふ)があった。


 やっと明かりが戻り、恐怖は消えた。

 水中からやっと上がり、呼吸にありついたような感覚だった。

「何だったんだ…」「本当にこわかった…」

 10組はどよめきだっていた。

 ガンダーは外を注意深(ちゅういぶか)く見渡したが、何もいないようだった。

「何もいないようだな…ん?」

 ガンダーは違和感を感じ取った。

 …廊下の窓がひとつだけ開いていたのである。

「なぜ…(かぎ)は常時かけてあるはず…」

 コウとキサクも、ヒロトに声をかける。

「何やったん…ホラーすぎるわ…」

「ヒロトも感じたのか?」

「ああ。ちと恐ろしかったな…」

 ヒロトすらも恐怖を(かく)しきれない様子であったことに、コウとキサクは(おどろ)いた。


「ガンダー先生、何か感じませんでしたか?」

「今、廊下を何か邪悪(じゃあく)な魔力が…」

 廊下に出たガンダーに他のクラスの先生がかけよる。どうやら他のクラスのみんなも、今さっきの違和感(いわかん)を感じ取ったらしい。

 すると、全校舎に突如サイレンが響き渡った。

警報(けいほう)!学園内に異常(いじょう)な魔力を感知!魔力の現在位置、(ひがし)の階段2F!生徒は全員、そこに近づかぬよう、先生の指示に(したが)避難(ひなん)してください!』

 それを聞いて、学園は騒然(そうぜん)とする。全ての生徒が驚き避難した。

「ついてこい!絶対に後を(はな)れるんじゃないぞ!」

 ガンダーのにこやかな目は、今や(かげ)もない。

 彼がドアを開けると、なだれ込むように生徒が飛び出した。


 全員が外へ出ると、その向こうには生徒が地獄絵図(じごくえず)のようにごった返していた。

 逃げるのに必死なあまり、9,8組は喧騒(けんそう)支配(しはい)され、みんな押し押されていた。これでは逃げられない。

「くそっ…これじゃあ逃げられねえ…」

 万事休(ばんじきゅう)すか──ヒロトが息を飲んだ。

 すると、新たに放送が流れる──…


『えー…待ってください。先ほどまで計測(けいそく)していた魔力が、突如姿を消しました…』

 喧騒(けんそう)は消え、()わりに沈黙が空気を支配(しはい)した。

「え…?もう大丈夫なん?」

「ぽ…ぽいな」

 コウとキサクも唖然(あぜん)としていたが、生徒は再び落ち()きを取り(もど)した。

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