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ゲーム内で勇者でも、  作者: 新藤広釈
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その2の2の2


その2の2の2


 戦いの終わりは、開始と同じように自然とはじまり自然と終わった。

 普通は開始のベルなどがあってもいいものだが、そうしたものは一切ないのだ。だが相手は30分ぐらいで潮を引くように下がっていった。攻め手は時間を決めて撤退を決めていたのだろう。

「守り側はキツイな」

 このゲームはデスポーン、撃破されたからと言ってすぐに復活できる仕様ではない。修理工場でゲーム内マネー「エクス」を使い1日かけて修理する。修理費はかなり高く、ただでさえカスタムで「エクス」を使っているというのに、その出費は辛すぎる。

 相手は資金が豊富で、自由に攻撃、撤退ができる。これではこちらの精神がすり減っていく。

「ほんと、どうやって勝つんだ?」

 苦笑しながら目的の機体を探した。しばらくすると急に吹雪がやんでレーダーが回復してどうにか見つけることができた。

 撤退戦。

背を向けて逃げる敵。これを好機と襲い掛かるプレイヤーは少なくない。そして、更にそれを狩るプレイヤー。

 それを更に狩るプレイヤー。

 今までは消極的な衝突だったが、今は無防備に衝突しあう、非常に混沌とした戦場。その中で、同じように巨大な機体使用しているプレイヤーに近づく。

『手伝わせてもらう』

 青い狙撃手と赤い格闘機だ。

 赤い格闘機が長刀を振り回し敵の足止めをし、青い狙撃手が敵を撃破していく。二体だけで完成されているチームで、彼らは返事が返ってこない。迷惑でしょうがないのだろう。

 まさしく、それこそ望み通り!

 ドッスンドッスンと進み、巨大な盾を地面に突き立てた。

 それだけで、攻めてきていた敵が急に戦いづらくなる。赤い格闘機は当然こちらの遮蔽物を利用できるが、あちらが利用しようとすると移動させられるのだ。

 青と赤のプレイヤーは意図をすぐに理解すると、利用して最新機の敵を効率よく撃破していく。

 ひと段落つく頃に、〔湯豆腐〕は彼らに話しかける。

『君たちに協力してもらいたいことがある。敵の兵糧地を探しに行く。この混乱した状況なら見つけられるはずだ』

 二体は自然と近づきあい、動きを止める。

『俺はレイラの要請で動いている。君たちのような優れたプレイヤーには是非、我らがクランに協力してもらいたい』

 彼らは遂に顔を見合わせた。

こちらには聞こえないように話しているのだろう。

『もちろん! クランのために協力するわ!』

『私も武人として敵に背を向けることはできない!』

 二人とも女性キャラクターのようだ、明るい声が聞こえてきた。


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