予定が狂う
「ねえ、相崎さん一緒に帰らない?」
「え?藤野さん、私を誘ってくれるなんて珍しいね。」
「まあ一緒に帰りたくなったのよ。ねえ、立花くんも帰りましょ。」
「ん?わったよ。なら桐谷帰ろうぜ。」
「分かったよ。」
この会話は外から見たら友達同士の会話だろう。
いや外からに限らず中から見てもだ。多分相崎と桐谷は少しの違和感を感じるものの、新しくできた友達なのだと思っているだろう。でもそれは少し違う。
この違和感の正体は純粋に友達同士ではないからだ。
霧間の件で全く作戦が立たなかった俺と藤野は仕方なく応急策を用意した。それは相崎が霧間の告白を断りクラスでの居場所がなくなるならば作ればいい。
俺たちが友達になればいい。そういうことだ。
こんな何にもならない友達と断言できないそんな策しか考えられない自分を情けなく思う。
「聞いてる?聞いてる友喜?」
「ん?相崎どうした?」
平然を装いましたが名前呼びでドキドキしてます。
仕方ないよね。だって思春期だもん。
「帰りにまたカフェ寄って行きますか?」
「そうだなそうしよっかな。ちなみに他の二人は行くのか?」
「私はパス。色々忙しいのよ。」
「僕も行けないかな。」
てことは俺と相崎の二人だけ?デートやん!デートやん!
「じゃあここで別れましょうか。」
「そうね。じゃあデートだと思って発情してる立花くんさようなら。」
「発情しとらんわ!」
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「チョコレートチップフラペチーノください。」
「かしこまりました。」
言えたぞ。これで俺もリア充の仲間入りか?
魔法使いになれました。
「トゥーゴーパーソナルリストレットベンティツーパーセントアドエクストラソイエクストラチョコレートエクストラホワイトモカエクストラバニラエクストラキャラメルエクストラヘーゼルナッツエクストラクラシックエクストラチャイエクストラチョコレートソースください。」
さすがです。大魔法使い様。
「おいしいね。」
「俺のはうまいが。お前のはよくわかんねぇ。ていう前も聞きたかったんだけどなんでそんなん覚えてんの?俺の妹も覚えてたけど。」
「友達がね面白そうだから頼もうって言っててその流れで覚えたの。」
なんだよその流れ。それ勉強に使えば成績よくなんだろ。
「妹さんも同じ感じなんじゃないの?」
「いやあいつは違うと思うぞ。あいつ記憶力だけはやばくて大体のものすぐ見ただけで覚えるから。」
「え!凄くない?羨ましいよ!」
「だよな。天性の才能ってやつだ。」
本当に俺は妹の能力を妬んだことがある。でも、本人があんな性格だから仲がいいまま保たれているのだろう。
「明後日か…」
「告白か?まあ明日もあんだしそんな落ち込むなよ。」
「そうだよね。あっ…飲み終わっちゃった。」
「早いな!お前爆食かよ。」
「それ女の子に普通言う⁈」
こんなどうでもいい会話をするのに転校前は憧れてたな。ていうか俺の友達作ろう計画はどこいった。
いや今は相崎と友達になろう計画だと思えばいい。
「じゃあ帰るか。」
「うん。」
徒歩で家に帰る俺と駅を利用する相崎は逆方向でカフェを出てすぐに別れた。夜たわいもない会話をしたことを思い出し少し嬉しくなりながら寝た。そんな楽しげな生活が続くはずもないのに。
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朝登校すると少し学校の空気が騒がしいのを感じた。
「霧間くんが相崎さんを呼び出したって。告白かな。」
「えーそうなの?相崎さんいいな。」
クラスでは霧間が相崎へ告る話で騒がしくなっていた。
なんでだ?告白は明日だろ。
「ねえ立花くん!どうするの?」
「なあ、藤野これはどういうことだ!まだ時間はあったはずだ!」
「知らないわよ。霧間くんが我慢できなくなったんじゃないの!とにかく体育館裏に呼び出したらしいから早く見に行きましょう。」
体育館裏とはなんともベタな。
駆けつけた時にはもう相崎が断った後だった。




