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藤野美佐はいつも頭の良さを求めている。

相崎は霧間の告白に真正面から気持ちを伝えて断りたいと思っている。しかし同時に断ることで霧間がクラスメイトに圧力をかけ自分の居場所がなくなることも恐れている。そしてそれを打開するため俺に相談をしてきた。三日後までに告白の返事を要求された相崎は早急に打開策が必要となった。


何も思いつかない。最悪だ。今回相崎は真正面から気持ちを伝えたいと言っている。ということは最初は俺が彼氏のふりをするなど案が浮かんだがそれでは真正面とは言えない。


どうすればいい。あと三日で完璧な策を思い浮かべなければ!


「ねぇ、ねぇ、立花くん。」

「うあっ…びっくりした!何だよ藤野。」

「桐谷くんの時の約束忘れてないでしょうね?」

「日本史を教えるってやつだろ?」

「今日でいいかしら?」

「え?」


流石に三日というタイムリミットがある以上そんなことに時間は使っていられない。でも息抜きしてまた考えるというのも効果的か。


「わかったよ。じゃあ今日の放課後でいいな?」

「ええ。じゃあ駅前の図書館でいい?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

授業中必死になって考えたが何一つ策は思い浮かばなかった。

「じゃあ立花くん行くわよ。」

「へいへい。ていうか俺駅前の図書館行ったことないんだけど、道わかんねぇよ?」

「え?駅のすぐ近くにあるじゃない。」

「俺徒歩通学。」


わざわざ編入するために引っ越したため、せっかくならと学校に少しでも近いところにしたのだ。いやそんなのを理由にしてはダメか。本当は元の学校の近くに住んでいたくなかったんだ。


「立花くん?何ぼーっとしてんの?もうそろそろ着くわよ。」

「この図書館か?随分静かだな。」

「珍しいわね。いつもはもっと人の出入りが多いはずなのにって今日休館日じゃないの!」

「何だよそれ!休館日把握してないのかよ!」

「仕方ないじゃない。せっかく勉強モードに入っていたのに。ん?そうだ立花くんの家でやればいいじゃない!」

「ぶぉふ!」

「何よ変な声上げないでくれる?気持ち悪い。」


悪かったな。というかどうする藤野が家に来るって断じてダメだ。女の子どころか友達さえも家に呼んだことないんだぞ。ハードルが高すぎる。


「ごめんな、藤野。家は無理だ。それにお前だって男の家に行くなんて嫌だろ?」

「自意識過剰ね。家に行くことが性に結びつくのは男だけよ!そんな妄想してないでとっとと家に案内して。」


いやいや男をなんだと思ってるんだ。偏見だ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ついに家の前に着いてしまった。もうこの際全て諦めよう。どうせ藤野のことだラブコメ展開にはならないだろう。うん、本当に藤野が言う通り俺は自意識過剰なのかもしれない。でも男の子だもん。仕方ないもん。


「立花くんって一軒家なんだ。あれ何人家族だっけ?」

「五人だ。姉と妹がいる。」

「楽しそうね。」

「そんなことない。」


本心だ。今の俺の家はとても気が休めるところではない。母と姉は俺のことを避けている。いや俺も同じく避けているか。唯一美来だけが優しくしてくれる。

それが救いになっているのだが。


「ただいま。」

「お邪魔します。」

「お帰りお兄ちゃん。ってお兄ちゃんが彼女連れてきた⁉︎」

「いやそんなんじゃねぇよ!」

「私は少しショックだよう。でもお兄ちゃんこのままだと一生彼女とかできなそうだから、ここは応援しよう。」

「だかそういうんじゃねぇって!」

「そうよ妹さん。私は断じてこの男と関係なんて持ちたくないわ。まあ立花くんは頭はいいから友達にはなっているんだけどね。」


地味に傷つく!ていうかもし俺がバカだったらこいつは俺と友達にさえなってくれなかったのか。


「まあそこまでいうなら信じますかね。あと妹さんっていうの堅苦しいんで美来でいいですよ。」

「わかったわ美来ちゃん。よろしくね。」


何をよろしくするんだ。もうお前は家に呼ばないからよろしくせんでいい!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ここが立花くんの部屋ね。文房具と参考書以外何もないじゃない。あ、一応ゲームはあるのね。なんかつまらない。」

「うるさいわ!男子高校生の部屋なんてこんなもんだろ。安心しろこの部屋には変な本など一切ないから。」

「聞いてないんだけど。じゃあ早速日本史の勉強を始めましょう。」

「ああ、それはいいんだが。今前回の模試の結果持ってるか?どこが間違ったかわからんことには弱点がわからん。」

「持ってないわ。」

「そうか、なら教えられないかもな。」


どこが苦手かもわからないやつに物など教えられない。もし足し算を当たり前のようにできるやつに、

数学を教えて欲しいと言われて足し算から教える効率の悪いやつはいない。


「でも間違えた箇所は覚えているは大門四の十三番と十八番の二問よ。」

「よく覚えてるな!ていうか二問しか間違えてないのに苦手とか言ってんのか?嫌味かなんかか?」

「じゃああなたは何点だったの?」

「満点だった。」

「それこそ嫌味じゃない。驚いたふりなんかしちゃって。」


フリなんかじゃないんだが。


「ていうかそのレベルなら俺が教えることはないぞ。十三番は記号の問題だしそれはじっくり一つ一つの選択肢を読めとしか言いようがない。」

「そう。まあ褒め言葉として受け取っておくわ。」

「なあ一つ聞きたいことがあるんだ。お前はすごいバカが嫌いって言ってるよな?でも桐谷や相崎、あとうちの妹と普通に会話をしているのはなぜだ?」


「私の思うバカってね自分の現状に満足し、大した特技もないのに努力をしない人のことを指すって前も言ったわよね。そうした時に桐谷くんは自分がいじめられているという状況をあなたに勇気を出して相談して打破しようとした。それで、彼は努力ができる人だと思ったわ。相崎さんに関してはあなたもすぐに天才だってわかるよ。」



こいつが言っていることはとても正しいと思う。でも相崎が天才?あいつは変なカフェのメニューを覚えてることしかすごいと思ったことがないのだが。


「で、あなたの妹は頭がいいとか関係なく、なんかあの子すごい性格良さそうだから。だからなんかあの子だけは頭の良さとかで判断しようと思えないの。」


うちの妹が大絶賛やん。


「そうか。」

「まあ大した事教えてもらってないけど。私の考えた相崎さんの今の状況を打破するのに最適な作戦を教えるわ。」

「何だと!教えてくれ!」


「それはね…


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