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天才のいじめ脱出

いじめとは集団で個人を傷つける行為である。

どの集団にも階級が存在しており、そこの頂点に立つ者は自分の下にいるものに自分の理想を提案という名で押し付ける。ではいじめをする集団の頂点に立っているのは誰なのか。イケメンで人からモテる奴か、

喧嘩が強く人から恐れられている奴か。

どれも違う。いじめをする集団の頂点はいつも誰でもない。強いて言うなら空気だろう。その集団の空気が先導しいじめを引き起こしているならば、パッとみ権力を持っていると思う奴に制裁を与えたところで何もならない。もしいじめを終わらせたいのであればそこに流れる空気までもを変えなければならない。



「ねえ友喜、こんな感じなんだけど。」


桐谷から見せられたのは壊されているシャーペンやシャー芯などだった。一見そこまで悪質なものとは思えないだろうか?いいやそれはない。いくら安くても故意的に人のものを壊す行為は遊びの度を超えている。


「これはひどいな。なあこんな状態がいつから続いているんだ?」

「二ヶ月くらい前からだよ。」


すごい長いな。こんなの続いたら胃に穴が開いてもおかしくないよ。ていうか二ヶ月も嫌がらせを続けられるなんてどれだけ飽きないんだ。買ってきたゲームを二週間後には少し飽きだしてる俺とは違うな。


「ていうか原因は何なんだ?」

「それがわからないんだ。いきなり学校に行ったらいじめが開始されてたって感じで。」


それはやばすぎる。ていうか物事には全て理由があるはずだろ、その理由さえを悟られないようにいじめるってどんなエキスパートだよ。全く誇れないよ!


「理由は勿論俺もわからないしな。それより物を壊されるのはいつもどの時間帯なんだ?」

「決まった時間はないんだよ。ただ僕がいるかどうかだけ。」


ていうかいじめっ子ってなんだかんだ言っていじめてるやつのこと考えてるよな。だってさそいつがその場にいなくなった瞬間道具をいじるんだろ、てことはまだどっから行かないのかなってワクワクしながら待ってるってことか。流石にそれは歪んだ愛すぎる。


「時間は決まってなくても場所は教室でいんだな?」

「それは間違い無いと思う。」


なら方法はいくらでもある。だがいじめをなくすには空気自体を変えなくてはならない。それにはいじめをしているという事実を公開の場でばらす他にも、なぜいじめをしているのか理由もばらさなくてはならない。いじめをする原因となったことを明確にしそれにアプローチしなくてはならない。


「しつこいようだがいじめられてる原因はわからないんだよな?」

「ごめん。」

「いやいんだ。じゃあ二ヶ月前に何かあったか覚えているか?」

「二ヶ月前だとソードアンドガンが発売されて僕はそれをずっとやってたと思うけど。」

「ちなみにそのゲーム霧間もやってたのか?」

「いややってなかったはずだよ。」



二ヶ月前に発売されたゲームソードアンドガンはネット対戦を基本としたVRゲームである。もしそれを霧間もやっていたとしたら何らかの理由で桐谷に腹を立てたとも考えられた。


そんな一筋縄にはいかないか。


「あら立花くん、こんにちは。」

「よう。」

後ろを振り向くと藤野が立っていた。


「なんだか最近桐谷くんと仲がいいみたいじゃない。」

「ああ、友達になったんだ。」


友達になったと堂々と言えることがこんなににも嬉しいなんて。やばいどんどん友達いないやつの考え方になってる。


「私が気づいてないと思ってる?」

「何にだ?」

「いじめを解決することと引き換えに成立する友情など友情じゃないのよ。何かと引き換えに得た関係はその何かを失ったときに壊れるものなのよ。」

「つまりお前は俺がもしいじめを解決するか、もしくは解決しなくても俺と桐谷の関係は壊滅していくってことか?」

「ええ。そう言いたいのよ。」


ていうかこいつはどこから情報を得ているんだ。

話し相手なんていないはずだろ。もしかして俺のポッケに盗聴器が?


「まあ言いたいことはそのことじゃないの。来月にある模試わかるわよね?」

「ああ河合荘が実施する全国模試だろ。それがどうしたんだ?」

「それで私はあなたより上の順位を取るわ。」


何この少年漫画にいそうなライバルは。少年漫画は努力、勝利、友情の三要素にライバルのいきなりの勝負申し込みを入れたほうがいい。うん、長いから却下。


「なんだ?いきなり宣言だけしに来たのか?」

「いいえ。屈辱なのだけれど私は実は日本史が苦手なの。全く頭に入らないのよ。いつもは土壇場で覚えるのだけれど。」

「で、何?俺に教えて欲しいの?」


もちろん俺は藤野に日本史を教えることくらいできる。ていうか全国二位なんて順位取るには日本史も常人よりもはるかにできているはずだが。まあ本人はまだ満足していないのだろう。


「ええ、でもタダでとは言わないわ。あることを教えてあげる。」


スリーサイズか?言ったら軽蔑の目で見られそうだからギャグでもそんなこと言えない。


「何をだよ。」

「それは桐谷くんがいじめを受けている理由よ。」


なぜこいつが知っているのかはわからないが、それを教えてもらったらいじめ解決に大きく近づく。


「わかった。交渉成立だ。で、なぜなんだ?」

「ええ、それはね桐谷くん理由なんてないのよ。」

「は?」

「いじめということに明確な理由を求めるのは間違っているの。何かをしたからいじめられるだけじゃない、そこにいるからそれだけでいじめられることがあるのよ。それが桐谷くんってわけ。」

「それならなんでそんなにいじめが長続きするんだ。」

「彼の性格に問題があるんだわ。彼は嫌なことを嫌と言えないの。だからやってていいんだと思うんだわ。」


こいつは何を言っているんだ。いじめられている側の性格に問題がある?そんなのいじめてる側の言い訳じゃないか。


「そんなのただの言い訳だ。」

「ええ、でもそれが現実なの。解決できそう?」

「厳しいかもな。」





藤野美佐はこの数日後荒れた教室の中にいる敵意をむき出した霧間と不敵な笑みを浮かべた立花を見ることになる。



「立花くん何をしたの⁉︎」

「それはな、俺は…






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