粗探し
「別に好きな人のこと手伝って欲しいなんて思ってない。
それにあなたに頼まなくても牧田に頼めばいいし。」
「牧田?」
「恋愛関係の情報に詳しいんだ、あいつ。
だから大してクラスに馴染めていないあなたよりよっぽどマシ。」
牧田という謎の障壁ができてしまった。
たしかに大してクラスに馴染めていないやつに恋愛相談なんかできるはずないよな。
「牧田ってやつは男なのか?」
「うん。てか同じクラスだけど。」
しまったー。俺大してクラスの奴らの名前覚えてないんだよな。
「ああ、いたかもな。でもそいつ男なんだろ。簡単に情報漏らしたりしそうで危ないぞ。」
「そんなことないよ。評判いいもん。あと噂をバラすのは男よりも女の方が多いよ。いつも蹴落とし合いだから。」
評判いいもんって何だよ。どんだけ頼られてるの牧田。
顔も知らんけど。
「なんか情報屋みたいだな。」
「まああながち間違いではないかもね、あいつ金とるから。」
「は?」
「だからあいつ協力料とかそんな感じで金取るの。」
何だよそれ。学生限定ビジネスじゃないか。
もし俺がクラスに馴染める奴に生まれ変わったらそれやろ。
情報屋とか結構いいじゃん…
「でもそいつ金取るんだろ。なら無償でやる俺の方がよくない?」
「金取るって言っても昼飯1回分だし、あとあなた無償とか言ってるけど愛菜の家の場所との交換じゃん。」
なんだ学生からしたら恋の手伝いが昼飯一回分っていうのは安いのか。
やばいな学生。って俺も学生!
「じゃあ何したら家の場所教えてくれるんだよ。」
「何したらって何しても嫌だ。だってあなただって今私と愛菜が喧嘩中だって知ってるでしょ。」
こいつは仲直りしようと思わないのか。
友達が休んでいるのに心配だと思わないのか…
「お前さ。なんて最低なやつなんだよ。
普通元々仲良くやってて同じ部活でなのに何で
喧嘩したくらいであいつは最悪だみたいなこと言えんだよ。
おかしいだろ。友達だったんじゃないのかよ。
あーあ、まあ水野もあんたみたいな奴と縁が切れて良かったのかもな。」
言いすぎた!まあいいか。大してこいつは傷つかないだろ、と思ったらなんか下俯きだしたんだけど。結構心に響いちゃった⁉︎
「分かってる…」
「ん?」
「そんなの分かってる!私だって愛菜が心配だよ。
あんたなんかより断然ね。私は家が隣でずっと仲良くて部活も一緒で本当に本当に親友だったの。
少しのぶつかりから今こんなに大げさになって私だって戸惑ってる。本当は仲直りして前みたいに笑い合いたい。だけど仲直りを切り出す勇気がない。
だから今はほっといてよ。そっとしといてよ。」
「そうやって言ってここまで放置してきたんだろ。
なら今すぐ行動に移せよ。」
「無理だよ…」
「やっぱり大して友達だと思ってないじゃないか。」
「うっさい…」
そう言い残して柏木は鞄を取り走って教室を出た。
このままじゃなにも解決しない。水野の様子もわからないままだ。
これが正しいことかは分からない。だけど…
俺はばれないように柏木の後を追った。
なぜかというと…
あいつはさっき言ったんだ
「家が隣でずっと仲良かった」と。




