模試当日
昨日水野は学校を休んだ。水野が休んだ理由はクラスに居づらくなったからではないかという声が時々聞こえてきた。誰しも水野へのシカトをしている自覚があるからそう思ったのだろう。水野と同じ部活の柏木はただ平然な様子だった。多分本人は内心少し罪悪感を感じているだろう。水野のシカトの発端は柏木との喧嘩だ。だとしたら罪悪感を感じてもおかしくはない。
俺はお見舞いに行こうともしなかった。こういうところでお見舞いに行くべきなのだろうが俺には次の日に模試が控えていた。流石に模試の前日くらいは猛勉強したい。結局水野のお見舞いを行こうと思うこともなくその日は下校した。相崎は水野が休んでいる理由は悩みのせいなのではないかと言ってきたがだとしても俺にはすることがない。相談に乗るといっても必要ないと言われたのだ。だからこれ以上することがない。
模試の復習はほとんどの範囲がやり方を完璧に覚えており時間が長く感じた。勉強しながら時々水野のことが頭に浮かぶ。一応お見舞いに行っといたほうがよかったのではないかと後の祭りのように思われる。俺が罪悪感を感じる必要はないはずなのに少しの罪悪感が胸にある。その罪悪感は俺の集中を削ぐ役目を果たし明日の模試に支障をきたさないか少し心配になる。そんなことを思いながら勉強をしていき、睡魔に負けるかのように俺はベッドに向かった。
薄れゆく意識の中俺は水野のことを忘れただ明日の模試への不安が押し寄せてきた。この時点で俺が真剣に水野と向き合っていないのが丸わかりなのだがその時俺はそんなこと考えつきもしなかった。
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受験票や文房具、参考書を鞄に入れたことを再度確認して俺は家を出た。そのまま二駅先の塾まで向かう。俺は塾には通っていない。独学でここまで頑張っている。あり得ないと思うかもしれないが中学の後半はやけくそになって勉強しかしなかった。みんながテレビを見て笑ったり、恋人と一緒に甘酸っぱい時間を過ごしている間に俺はただパンを動かしていた。それが為になって今の成績がある。
電車に揺られながら参考書を読み返す。あっという間に駅に着き、駅のすぐ近くの塾に着いた。意外と時間がギリギリだったのか着席した五分後に試験監督から注意事項の説明などが始まった。毎回同じ内容の説明事項を聞き流し雑念をできる限り捨て目の前の試験に集中する。一限は数学である。数学は問題数が多く一つの問題に時間をかけすぎると思う全問解くことができない。だからこそ集中力が必要となる。
回答用紙と問題用紙が配られる。その一分後くらいに試験監督の合図とともに教室は沈黙に包まれる。皆が集中し目の前の紙に向かう。
俺はもうやり方が全てわかる問題を計算ミスをしないように慎重に解き進める。
凄くつまらない簡単なテストと思いながら数学を終え、国語、英語、理科、社会の順にテストが終わって行く。社会の時間中は藤野は日本史が苦手とか言ってたなとか思いながら解いていた。
テストが終わりみんなが落胆した表情を浮かべる中一人平然とした顔で家に戻る。
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疲れたまま寝てそのままいつも通り学校に向かう。いつも通りクラスメイトはグループに固まって話している。
水野はまた学校に来なかった。




