エースの気持ち
「愛菜おめでとう!予選突破だよ!」
「水野。新記録だなおめでとう!」
私は水泳部の都大会のアンカーを務めた。私の順番になりスタートするときは三位だった。私は一心不乱に泳いで泳いで泳いで泳いで。二人を抜き一位になった。
本当に嬉しかった。みんなで全国大会に行けるのが。
みんなからは私のおかげだと讃えられ大会中に新記録を出すことができ本当に嬉しかった。親友の咲は大会後一緒にファミレスに行きお祝い会を開いてくれた。その会には同期のほとんどが参加してくれ今日のMVPは私だと何度も言われ全国に出てもみんなで力を合わせて頑張ろうと何度も言い合いお祝い会は終了した。
私達は全国大会の一回戦で敗退した。
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私は最近部活に出ていない。学校帰りにゲームセンターに寄っては大して興味のないゲームに打ち込む。そんな生活が一ヶ月ほど続いている。部活に出ないのにはちゃんとした理由がある。でも私はその理由を誰にも話すつもりはない。自分の惰力を自覚し更に自分を傷つけることになるから逃げているのだ。
休部届けも出さず今日もまたゲームセンターに向かう。手持ちの千円札を慣れた手つきで両替し地味に思い百円玉を手に持ち空いている台を探す。学校からも近いところにあるゲームセンターなため同じ制服を着た人がちらほら見受けられる。百円玉をゲームに投入し、うるさい音を流しながら稼働して行く機会を眺めながら今の自分の醜い姿に嫌悪感を抱く。なら部活に行けという話だがそういうわけではない。どうしても出れないから私はここにいるのだ。
あの子がどしたんだ?お前驚いた顔で見てるけど。」
「あの子ね。水野愛菜ちゃんって言うんだけど。水泳部なの。しかも、全国に連れてったエース。」
「別に水泳部だってゲームセンターくらい来るだろ。」
「私もねそれだけだったら驚かないの。でもね水泳部の練習は日曜日以外毎日なの。」
「今日は…水曜日だな…」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。後ろを振り向くと同じクラスの相崎さんと転校生の立花が立っていた。私は驚いた。立花は多くの人の前で相崎さんを馬鹿にしたのだ、なのに親しげにデートのようなことをする間柄だとは思いもしなかった。立花については興味がある。それは恋愛感情だとかそんなものじゃない。転校して間もないころにクラスの誰もが影ながら恐れているスクールカーストのトップにいる霧間を言い負かせたのだ。私はその光景を見たときに驚き反面立花友喜についての興味が湧いた。臆することなく間違っていることは間違っていると言える彼に。
そのすぐ後立花達は私に部活を出ていないのか?何故なのか?と聞いてきた。私は素っ気なくつまらないからと答えた。そんなの理由じゃない。私は水泳が好きだし部活も好きだ。でも出れない理由があるのだから仕方がない…
私はもうこの問題に関わらないでくれと一方的にお願いし、その日は別れた。
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「ねえ、昨日部活来なかったでしょ?最近来てないけどどしたの?」
朝学校していきなり咲はそう聞いてきた。
「別に私の勝手でしょ。今はただ水泳が楽しくないから行ってないだけ。そのうち行き出すからほっといて。」
「飽きたから来なかったっていうわけ?なら退部してよ!」
私の素っ気ない返事に咲は気に障ったのか激怒した。今のは私が悪いとそう思う。でも退部しろと言われるのは私が悪いとしても嫌な気分になる。
だから早くこの話を終わらせたいと思い素っ気ない返事をしているうちに咲の機嫌をもっと悪くし喧嘩は勢いを増していった。着地点が見えない喧嘩はいつまでも続くのかと思われたが立花によって落ち着いた。咲は立花にあなたには関係ないと言った。多分私は少し咲に苛ついていたのだろう。立花は私の彼女だという謎の嘘をついてしまった。多分咲が前彼氏ができないと悩んでいたのをふと思い出し、私には彼氏がいるのだと言うことで嫌な気分にさせようとしたのだろう。
それ以来私は誰とも話すことなく学校生活を過ごした。
「なあ水野迷惑かもしれないけど…放課後少し話したいんだ。みんなが帰ったあと屋上に来てくれるか?」
昼休みになったとき立花に放課後話したいと誘われた。理由なんて分かっている。私が勝手に彼氏判定したんだ、きっとそれに迷惑したと文句を言ってくるのだろう。
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お前に前言われたんだがな、お前が部活を休んでいる理由はなんだ?」
立花が言い放った言葉は驚きだった。私は絶対に文句を言われると思ったからまるで、私が抱えている問題を一緒に考えてくれると言っているかのように聞こえた。
でも私は部活を休んでいる理由を人に言い、自分で改めて自覚するのが怖いから拒否した。断った後の立花の残念そうな顔を見ると本当に申し訳ない気持ちになった。
立花が帰って行った後一人で少し前のことを思い出す。
私が部活に出られない理由は…




