彼女の思い
嫉妬という感情は恐ろしいものである。
人の成果を正直に讃えることができずそれを相手への
悪感情に持って行く。そしてその相手が何か失敗した時待ってましたと言うように罵倒、侮辱をする。
その行為は個人で行うものではなく集団で行われることが多い。いじめが起こる原因に嫉妬というものは大きく関係している。
なぜ頑張った人が辛い目に合わないといけないのか。
醜く私利私欲のために生きている人間にその答えは出せるのか?
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俺の呼びかけに応じた水野は作り笑いをして自分の今の感情を誤魔化そうとしているように感じた。その顔を見て力になってあげたいと感じない人間を見てみたい。俺はその顔を見た時水野の悩みを解決する手助けがしたいとそう思った。
「なあ水野迷惑かもしれないけど…放課後少し話したいんだ。みんなが帰ったあと屋上に来てくれるか?」
「あ…うん。勿論…」
俺は放課後会う約束をしたが、誘った時の返事はぎこちなく俺が問題に介入するのを少し戸惑っているかのように思えた。今はクラスメイトの前だったから俺を拒否しなかったという可能性があるため放課後もう一度俺が悩みを解決するのに協力していいか聞いてみよう。
キーンコーンカーンコーン
昼休みの終わりを告げるベルが鳴り生徒たちは自分の席に戻って行く。俺は哀愁を漂わせる水野の背中を名残惜しく見たあと自分の席についた。俺の席は藤野、桐谷、相崎全員と席が離れているため近くに友達がいない。俺は分かりきった進みの遅い授業を聞き流しながら学校が終わるのを待った。
長ったらしいホームルームが終わり生徒達がみんな帰り出した後俺は屋上へ向かった。屋上のドアを開けたところそこにはもう一人の少女が立っていた。
「本当に来てくれるとな。少し驚きだよ。」
「まあ断る理由はないしね。で、要件は何?」
水野は少し不機嫌そうな様子で会話を進めている。早くこの会話を終わらせたいのか、それとも八つ当たりかは分からないが今は慎重に気に障らないように話を進めていくべきだ。
「お前に前言われたんだがな、お前が部活を休んでいる理由はなんだ?」
俺はたしかに水野を救いたいそう思った。だがそれは俺が水野と接している時間が他の人よりも多いからだ。もしかしたら水野が本当に部活をサボりたいから休んでいるのなら退部しろと言われてもしょうがない。でももし何か重大な理由があるのなら水野の力になってやりたい。初対面同然の相手にここまで思うのは俺らしくないが一応俺は転校当初の夢を捨てていない。これは友達を作る過程で必要なことと思えばいい。
「それをあなたに言ってどうなるの?たしかに私は休みたいから休んでいるわけではない。だからといって私の問題があなたに関係する理由にはならない。もっと話がややこしくなるだけ。だから私はあなたに本当の理由を教えたくない。私のことを心配してくれているのは嬉しいけれどでも大丈夫だから。」
水野は多分よっぽどのことがない限り俺を頼ろうとしない。彼女にはそこに関して強い意志がある。なら無理に詮索するのはかえって彼女の迷惑になるだろう。俺の自己満足に付き合わせてはいけない。俺はそうかと言って屋上を後にした。
あの時もう少し水野について真摯になっていれば、あんなことにはならなかったのかもしれない。




