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彼は打開策を探す

五月十三日

俺は転校に備えて日記をつけることにした。

この日記にはその日友達と話したことや、その人の特徴を書いていきたいと思う。友達の特徴を理解しそれにあった会話を作り出すことは友達増加の近道だろう。ところで、明日は登校初日だ。気合いを入れなくては。


五月十四日

俺は今日高校生なら大半がやっているだろう、ゲームを趣味と言い自己紹介をした。しかし人から話しかけられたのはよろしくだけ、それ以外は全くだ。

放課後一人で悩んでいたところ藤野美佐という女の子が声をかけてきた。まあ罵倒に近かったが。

俺が頭がいいことがわかった彼女は態度が少し変わり俺がクラスに馴染めない理由を教えてくれた。

それはスクールカーストトップ霧間春樹に恥をかかせたのが原因だった。


五月十五日

今日も話しかけられない。そして藤野が人と話しているのも見ない。あいつも友達がいないのだろうか。

まああんな性格なら仕方ないな。


五月十六日

今日は隣の子に消しゴムを拾ってもらえた。

ありがとうと言ったら、別にと返答してくれた。

久しぶりの会話に胸が踊る。

なお藤野が話しているのは人と見なかった。


五月十八日

今度は移動教室だから理科室に移動した方がいい言われた。まあもや話しかけられた!




「ねぇ、立花くん。この日記何?」

「おい、藤野それをどこで⁉︎ 別にいいだろ!」


最悪だ藤野に日記を見たかった。こいつのことだからからかってくるだろう。


「ところでこれを書いてて惨めにならなかった?

消しゴムを拾ってもらった? 移動教室の場所を教えてもらった? そんなの会話じゃないわよ。

なのに喜んで。」

「一応会話だ。意思疎通はできてるはずだ!」


そりゃたった一文でも会話は会話だし。

話したことには変わらないし、盛ってないし。


「それよりこの一々書いてある藤野は今日も人と話していなかったって何? 」

「本当のことじゃないか。」


本当にこいつが人と話しているのを見たことがない。

こいつの周りにはいつも人の輪がなく、騒がしいクラスの中にとても静かな小さな空間があるのはとても目立った。


「私は話さないだけよ。私バカは嫌いなの。」

「なんでそこまでバカを嫌うんだ。」

「それはまだ教えられないけれど、でも私が言うバカとは勉強ができない人を指す言葉じゃないの。

どんな分野にも秀でていないのに自分はこれまでだと勝手に決めつけ、努力をしないで今だけを楽しむ人間。私はそれが嫌いなの。」


こいつが言っていることはとても正しい。

自分の限界を勝手に決めつけ努力を怠るやつは本当に愚か者だと俺も思う。


「そうだな、それは俺も共感できる。」

「あらあなたに共感してもらえるなんて嬉しいことね。ところで立花君、なんで十七日がないのかしら?」


いや別に十七日誰とも話してないから書かなかったわけじゃないし。書き忘れただけだし。本当だから!



体育という授業はなぜペアになる種目が多いのだろうか。ペアになるときに困るのは友達がいないやつだけではない。グループに所属しているやつもそのグループが奇数人で構成されているならペアになれは嫌だろう。断じて無くすべきだ。俺はそれを失くすためだけに総理大臣になりたいなどと少し思ってしまった。

総理大臣はそんなに甘くねぇ!


俺はペアができず一人でウロウロしていた。


「あの立花くんペアにならない?」


俺にペアの誘いをしてきたのは少し気の弱そうな男だった。多分こいつもあぶれたのだろう。


「ああ是非よろしく頼む。」



「ところでなんで俺にペアの誘いをしてきたんだ?」

「何だって?」

「いやその霧間が俺をはぶるように言ってるんじゃないか?」

「うん…その通りだよ。」


気の弱そうな男子は自分が悪いかのように縮こまった。こいつも無視をしている一人なのだろうが、でもペアになろうと誘ってくれるあたり、優しいやつなのだろう。


「あのね、僕実は霧間君からいじめられているんだ。」

「え?どんないじめだ。」

「霧間くんがやっているという確証はないんだけど、例えばペンが隠されたり、シャー芯が折られていたりとかまだそんなに悪質じゃないんだけど。」

「いや悪質だろ。なんで霧間がやっているって思うんだ?」

「それね僕が困った顔をしてると霧間君たちは笑っているから。」


十中八九霧間達だろう。もしかしたらこの男の子と友達になれるのではないか?


「なあ俺がそのいじめを終わらせたら友達になってくれるか?」

「うんもちろん。別にいじめを終わらせてくれなかったって友達だよ。」

「ありがとう。ええっと…」

「まだ名乗ってなかったっけ?僕の名前は桐谷俊。

よろしくね。でも、いじめをなくすってどうするんだい?」

「ああ、それはまだ決まっていない。まずはいじめの状況みたいなのを見てみないことには。なあ辛いかもしれないが、いじめがあったらその度に教えてくれないか?その被害状況とかを知りたい。」

「わかったよ。立花くん。」

「その立花くんってやつやめてくれ。俺たちは友達なんだろ?」

「わかった、よろしく友喜!」


名前を呼んでもらえることがこんなに嬉しいなんて。

人とまともな会話をするのがこんなにも楽しいなんて。絶対に俺の知能を使って桐谷に被害が出ないようにいじめを終わらせてやる。



立花友喜は打開策を見つけた。


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