彼なりの誠意
藤野が味方になってくれると言ってくれた時本当に嬉しかった。俺はいい友達に恵まれた。でもあの時の俺は何で相崎を罵倒したのだろう?相崎を守るため?そんなんじゃない。俺はただ相崎に否定して欲しかったんだ。俺が相崎を友達として拒むと言ったその言葉に傷ついて欲しかった。相崎が自分は俺と友達になりたいと公衆の面前で言って欲しかった。そんな独占欲で俺は相崎を罵倒した。
独占欲は人間の誰しもにある気持ちだ。そして人を独占したいくせに自分は独占されたくないと言う人間の醜い部分だ。誰しもその気持ちが醜いものだと思っているから隠す。嫉妬の気持ちも独占欲の一種の形なのにそれを甘酸っぱい気持ちと恋の証拠だとそうポジティブに表現する。俺は醜いと思っている気持ちを相崎に押し付けた。それは何よりも俺が不誠実な証拠だろう。
だから俺は不誠実な俺は誠実であろうとする相崎の隣にはいられない。それが独占欲で相崎を困らせた罪滅ぼしなのだから。
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「ねぇ立花くん少し話があるんだけど。」
「ん?どした?」
「あなたは今相崎さんとの関係を完全に切ったそう思っている?」
「思っているそう言いたいところだが…断ち切っていないんだろうな。今でも相崎とすれ違った時は話しかけようか迷うし、多分あっちもそう思ってる。」
「相崎さんがそう思っていると決めつけるのは自意識過剰じゃないかしら。」
何こいつは俺を傷つけにきたの?そうだよ!俺は自意識過剰だよ!
「そうかもな。でもそうであってほしいと思ってる。」
「ならなんで仲直りしようとしないの?」
「俺が相崎と仲良くなっちゃいけないんだ。俺は不誠実だから。」
藤野は何かを考えているように黙った。藤野は頭がいいから多分俺が不誠実な理由を分かっている。その上で俺の言っている意味を考えてくれているんだ。頭がいいやつは抽象的なことを言っただけでも意味を理解してくれるから話していて楽だな。
「ねぇ立花くんあなた何か勘違いしていない?相崎さんが誠実な人間って言いたいんだろうけどそんなのありえないわ。彼女は告白を最初から誠意を持って伝えようとしていないのよ。」
「それって…どう言う事だよ?」
相崎はしっかりと告白を断った。それは誠実だからだ。そうじゃないのか?
「彼女はねあなたに頼った時点で誠実な人間じゃないのよ。」
「酷いこと言うなよ!」
「最後まで話を聞いて。彼女はね霧間くんとあなたが敵対関係にあることくらい分かっていたはずだわ。なのにあなたに相談した。それってあなただと霧間くんが告白に断られるならと真剣に考えてくれるだろうって無意識に思っていたってことなの。彼女がもし本当に誠意を持って告白を断りたかったなら霧間くんを好きでも嫌いでもない人に頼むべきだった。だからね彼女は誠実な人間なんかじゃないの。だからあなたが自分は不誠実だからと気に病むことは無いのよ。そんなことで落ち込んでいるくらいなら仲直りしてきたら?」
藤野は本当に正しい。こいつが言っていることは本当に的を射ている。そして何よりも彼女は人との関係を計算的に考えている。そう感じる。
「ありがとうな。お前に言われて何か気が晴れたよ。本当に誠実な人間ってやつはお前なのかもしれないな。」
「嬉しいけどそれは違う。私は何度もあなたの前で誠実ではない態度を取っているでしょ。馬鹿だからと言って人を嫌うのは誠実な人間?」
「そうだったな。馬鹿大っ嫌いなお前が誠実なはずないよな。」
「言ってくれるわね。」
「じゃあ行ってくる。」
俺は仲直りをしたいと思う熱が冷めないうちに相崎の元へ駆けた。
三番目の友達ともう一度笑いながら話せるように。




