旅はまだまだ
緑が生い茂る林道を、ポチの背中に乗り
アンとサーラに挟まれながら、ゆ〜っくりと進む
頬に柔らかな感触
この世の幸せを詰め込んだバラ色の世界
アンの青紫の髪の毛が木漏れ日に煌めく
まるで、天使の様な微笑みで、俺を見つめている
はぁ、何も考える事も出来ず、幸せにただ、ただ揺られている。
うん、何かがおかしい
溢れんばかりの緑、木漏れ日の中に青紫に輝く髪の毛。
まるで、天使の様な微笑みで俺を見つめるアン
「なぁアン」
「はい❤️なんでしょう坊っちゃま?」
「この、鎖の効果って何?」
突然の俺の問いに、明らかに挙動不審になりながら
「こここここここここっ効果?はぃ?そ、そそそそそそんなもの御座いませんことよ???」
盛大に目を逸らしながら、これでもかと吃りながら答えるアン
一つ理解できない事がある
「俺ってさぁ、母ちゃんの『加護』のお陰で魔法は効かなかったんじゃないの?」
そう、最近あまりにも考える事が出来ず流れに流されていた。明らかに何かの魔法に掛かっている
「そう、坊っちゃまは、お母様からの『加護』のお陰で魔術は一切効果がございません!」
何故か憤慨しながら答えるアン。隣でサーラも、うんうんと頷いている。
「じゃぁ?この鎖はなんなの?母ちゃんの『加護』を掻い潜って効果が有るなんてアンもやるじゃん」
少し煽て話を聞いてみる
さすが、ウチの嫁はすごいなぁ〜と聞こえるか聞こえないかで呟きながらダメ押し
「うふふ、そうなんです!ず〜っとお母様の『加護』を打ち破る方法を考えていましたの❤️。
この鎖はお母様に倣って呪..コホン『愛』ですわ!!」
ふむふむ、母ちゃんは俺に呪いを追加する為に、呪い耐性を付与していなかったんだな、その事をヤバイ、メイド『犯罪者予備軍』にバレてしまったと
「で、効果は?」
「え〜っと思考能力判断能力低下、感受性増大。繋がれている相手に全てを委ねるになってます。えへへ」テヘペロしながらウインクしている
うん、予備軍ではなく犯罪者だな
「それにしては、効果が甘い様な気がするけど?」
「それは坊っちゃまが小さな時から、お母様の馬鹿げた呪い....コホン『愛』に包まれているせいで、自然と耐性がついているのですわ」
まぁ、そう言えばそうか。
何百もの呪いを、子供の時からずっと受けていたら、耐性も上がってるわな笑
まぁいっか
「キーノサッキを出てから、そろそろ一週間位経つけど後どのくらいで着く?」
微睡みながらも、大体の時間は把握している。
そんな、俺の問いにアンと、サーラは態とらしく目を逸らしながら下手な口笛を吹き出した。
「うん?え?おい、後どのくらい?」
俺の問い掛けに、ポチとイフが申し訳なさそうに応える
「マダウシロニマチガミエテルゾ」
「坊っちゃんとの時間をもっと過ごしたいからと、アン様とサーラ様が牛歩で行けと、と〜っても怖い顔で。まだ、一キロも進んでいやせんぜ」
おい




