出発
左手をピンク色の鎖で繋がれたまま
お店へと向かう
目的を思い出したからには、出発しないと
すれ違う人達の冷たい視線はなるべく気にしないで
右腕に抱きつく妹にも、諦めました
無抵抗主義万歳
人魚レストランの店長に、店を辞める事を告げ
少ないながらも日当を受け取り、仲良くしてくれた仲間達に、別れの挨拶を告げる
何故か皆、憐れみを浮かべた眼差しで俺を見ていたが気にしたら負けだ
左手首に鎖で繋がれた女性、右腕に抱きつく少女、日頃のショーのおかげで虎模様に焦げた犬、真っ赤なおじさん。
これは、なんの罰ゲームですか?
簡単な旅の準備を整えて街を後にする
何故か、アンとサーラの二人は楽しそうに買い物をしていたが、俺は何を買ったのかすら覚えていない。
街道を、ポチの背中に乗りながら進む
まるで赤ちゃんを抱くようにアンに抱えられながら
アンとサーラに挟まれて街道を進む
.......殺すなら殺せ!と思わないでも無いのだが
いかんせん、4つの柔らかい幸せに包まれて
このままでも良いんじゃね?と思ってる自分もいた
最初の野営地に着き、テントを用意して料理を作る際、俺とアンを繋ぐ鎖は自由自在に伸び縮みしていた。
アンの意思で伸び縮みするようだ
さすがにトイレの時は鎖を伸ばしてもらう。
野宿なのでお風呂は無し寝るのは3人と一匹
おっさんは、寝る事はほぼほぼ無いらしく、火の番を自らやっている。
特に何も起こらないまま、キーノサッキの町へと帰って来た、だが、この町は強制退去させられているので、後ろ髪を引かれつつ先を急ぐ
あー温泉入りたい
入ってアンとキャッキャウフフしたーい
「坊っちゃま?」
「なに?」
「義母様を攫った相手に何か目星でも?」
「いや、急にだったし。全く心当たりがないよ。」
「どうなさるおつもりですか?」
「う〜ん、ぶっちゃけあの母ちゃんが危機的状況に陥ってる想像が出来ないんだよな〜」
「........たしかに」
「しかも、父ちゃんも一緒だし、放っていてもそのうち帰って来るような」
「では、まずはミストとフォレスですね」
「そうだね、まだ思い出せないけど待たせてるんだから急がないとね」
「きっと、すごーく怒っていますわ、直ぐに迎えに行くと坊っちゃまおしゃったから...」
「まぁ....呪いだから....ねぇ?、仕方ないじゃん?」
ポカポカ陽気の中、ポチの背に揺られ、アンに抱えられながら街道を進む
青紫の髪の毛は光を受けキラキラと輝き、こちらを微笑みながら見つめるアンの笑顔に、此処が天国なのかと、ぼんやりぼんやり微睡み幸せに身を任せる




