合流
盛り上がった水面から、盛大に水飛沫を上げ空中に飛び上がる少女。
水の中から現れたのに、少しも濡れてはいない髪の毛を振り撒きながら、辺りを見回し。
背中に、メイドの格好をした女性をおぶって怒りながら叫んでいる。
クソババァと.......
「うわぁっ!」
急に目の前に現れた2人に驚き、間抜けな声をあげてしまう。
磯場で蟹を採っていたポチとおっさんは、慌ててこちらに駆けてくる。
「オソカッタナ!アン!マイゴニナッテタノカ?」
「待ちわびましたよ!二人とも!」
ポチとおっさんは、美女2人と知り合いのように話しかけている。
俺の目の前に降りて来た水色の髪の少女は
「お兄ちゃん!クソバ..ママは!どこっ?!! 」
かなりの剣幕で俺の腕を掴みながら捲し立てる
少女に掴まれた瞬間に何故か失っていた記憶が甦る
「ちょっとまて!サーラ落ち着いて、母ちゃんが拐われてお前を此処で待っていたんだよ」
サーラの背後からメイド姿の美女が俺の前に跪く
「坊っちゃま!お待たせしてしまい申し訳ございません」
美女は、目に涙を溜めて俺にしがみついてくる。
妹と同じ様に、何故か忘れていたアンの記憶が甦る
「アン、遅かったじゃないか!心配したんだぞ」
俺の言葉に、声を上げて泣き出すアン。
「サッキマデアンナンテシラナイッテイッテタ」
「左様左様、そう仰っていましたな」
2人の裏切りに、アンがジト目で見つめてくる。
「坊っちゃま?」
俺は、目を逸らしながら
「いや、母ちゃんの呪いだよ」
目を背ける俺の顔を、アンは何度も覗き込みながら小声で責めてくる
やれ、自分は忘れた事など無いだの。四六時中、坊っちゃまの事だけを考えていた、だのと
まさか、マーメイドレストランで上を目指して三人で頑張っていたなど、口が裂けても言えない。
「いや、悪かったよ。母ちゃんの呪いが、余りにも強かったんだよ!仕方無いじゃないか。」
口を尖らせて拗ねているアンに、言い訳をし続けていると
「うぅ〜〜! っもう!」
涙目で口を尖らせながら
[愛の女神ミリオンの名に於いて、我が忠誠と愛の全てを掛け主人との絆となれ。永遠の真愛]
アンが呪文を唱えると、俺の左手首が眩しくピンク色に輝き出す。
余り良い予感はしないが、黙ってされるがまま
光が収まると俺の左手首とアンの右手首がピンク色の手錠と鎖で繋がれていた.....
「おい.......アン」
「はい♪」
先程までの態度は一変して上機嫌なアンに
「何コレ?」
「私の愛です♪」
「いや、こんなの付けてたらおかしな人だと思われるよ?」
「一生坊っちゃまからは、離れません♪」
話が通じない、これは良くない時のアンだ
「いや、お風呂とかどうするのさ?」
「モチロン一緒です♪」
「トイ「一緒です♪」......」
はぁ....
「どうやって外すの?」
「外せませんよ??」
俺の問いかけに、何言ってんの?とキョトンとしながら答える
取り敢えず後回し
隣で、同じ事をしようとしている妹をやめさせる
誰か助けて.......




