やっと合流
「イラッシャッセー!!ご新規二名様ご案内お願いしマーース!。お次ぃ〜、三名様でお待ちの〜ドルンガ様〜8番テーブルご案内ぃ〜」
俺は今、マーメイドレストランで受付を任されている。最高の接客を来店されたお客様へ!合言葉は、一生懸命笑顔で接客。
ポチとイフ(おっさん)はバックヤードで次のステージの準備に取り掛かっている。
イフの出す火の輪をポチがくぐる
ありきたりの火の輪くぐりでは無く三回に一回はポチが火ダルマになり店内の水路へと転がり落ちる
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何かを忘れている気がするが、毎日が充実している
港で、何か?を待っていたのだが
空腹に耐えられずポチが捕まえた手のひら大のフナムシに口をつけようとしたところを
[ユーリ&グランサーラ]の従業員に声を掛けられ人としてのプライドを何とか保つ事ができた
因みにイフは
「坊ちゃん!エビ!目を瞑って食べればエビですよ!」威厳や尊厳など腹の足しにならないと即座にカブりついていた
港で何を待っていたのか思い出す事ができないので取り敢えずレストランで下働きをさせて貰う
仕事終わりには一応港へと足を運ぶことを日課にしつつ俺達は一流のウェイターとエンターテイナーを目指して日々与えられた業務に真摯に取り組んでいた
レストランに拾われて早二週間、それなりの業務と芸を身に付けた俺達は更なる高みを目指している
今日は久しぶりの定休日、日払いで支払われる僅かなお金を手に街をぶらつく
昼飯を軽く食べた後やる事も無いので港へ
何故か他の港からの船便が途絶え閑散とした港から沖合をぼんやり眺めている
ポチとイフは近場の磯で小さな蟹や貝を採って今日の晩飯にすると意気込んでいた
全く思い出せない......
何か大事な用事があったような?
まぁ思い出せない事なんて大した用事では無いのかも知れない
そう、ぼんやり想いにふけっていると
「アンタチオソイナ、マイゴカ?」
口に加えた小さな蟹を俺の前に置きポチが問いかけてくる
「アン?誰だっけ?」
「ン?アレ?ドロハココデアンヲマッテイルンジャナイノカ?」
首を傾けて俺を覗き込むポチ
アン?
「いや、特に誰かを待って居るんじゃ無いけど。思い出せないんだなんで此処に来ているのか」
「ン?アンガキタラボスヲタスケニイクッテイッテタジャナイカ??」
「ボス?......か.......母ちゃん!」
何故、忘れていたんだろう?母ちゃんが拐われた事をアンの事は思い出せないが、また何か呪いのせいだろう
イフに尋ねた所アンとサーラを此処で待っているらしい
何故か船が到着しない二週間も....
俺達は港の寄合場へと行き理由を尋ねる
どうも、二週間ほど前から沖合の磁場が狂い磁石を見て進む船が真っ直ぐに進めなくなっているらしい
どう考えても母ちゃんが何かしたんだろう
俺は何も言わず惚けながら大変ですね〜と寄合場を後にする
さて、どうするかと途方に暮れながら沖合を眺めていたら
水面を盛り上げながらこちらに向かって来るものが見える
まるで昔見た映画の魚雷が進む映像のような
船泊まで来たそのものは、爆音をあげながら水飛沫を撒き散らし空中へと飛び上がる
「ク ソ バ バ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぉぃああ!!!!!!」
コロナにお気をつけて下さい




