出発
屋敷の二階からはまるで洋物ポルノの如き
嬌声が木霊している
他人の情事の邪魔など無粋な事はするつもりもないので大人しく嬌声が鳴り止むのをお茶を飲みながら待つ
女性の大きな咆哮が聞こえてくる
どうやら終わったようだ
屋敷のメイドに伝えエデンを庭先へと連れて来てもらう
父ちゃんには申し訳ないがもう一度ローブを頭から被ってもらう
これ以上厄介ごとは御免だ
しばらくして、何かやり切った雰囲気のエデンが庭先へと姿を見せる
「どうした?アレックス何か急ぎの用があるとか」
「あぁエデン、その前に紹介するよ俺の両親だ」
エデンはテーブルでお茶を飲む母ちゃんに挨拶をして不審そうな目で父ちゃんを見る
「お父さんは何故ローブで姿を隠しているんだい?」
「あぁ、流行りの病で他の人に感染したらいけないからさ」
「ふ〜ん、まぁいぃか!で?どうした??」
「あぁ、急なんだけど、父さんの病を治す薬を探しに一緒に旅に出る事にしたんだ」
エデンは少し戸惑いながら
「うん、そうなのか。まぁ仕方ないが知っての通り、今この島から出る事は出来ないぞ?どうする?」
「それなら、心配は要らない化け物鮫は今さっきこの妹が退治してきたから大丈夫だ」
俺は左腕に抱きついている妹を顎で指す
「妹?....ま、まぁいいさ。それじゃ指輪はどうする?鮫が退治されたんなら漁が再開されるが?」
完全に忘れていた.....
「あ、あぁ指輪は、そ、そうだな...どうしよっか?」俺の瞳を覗き込むアンから視線を外しながら平静を装う
「母ちゃんは〜腕輪が良いな〜」
「サーラはお兄ちゃんがくれるなら何でも」
二人が勝手に話に混ざってくる
「母ちゃん、俺は少しここで指輪を作って貰ってから後で母ちゃん達を追い掛けるよ!だから母ちゃん達は先に[イーグノ湖]へミスト達を迎えに行ってて欲しいんだ」
「ヤダ!ヤダヤダヤダヤダヤダ!!」
友人の目の前で駄々を捏ねる我が母を冷めた目で見つめる
直ぐに追いかけるからと何とか説得をして
母ちゃん、父ちゃん、オッサン、ポチ(母ちゃんに無理やり)には先にミストを迎えに行って貰う
両腕から離れようとしない妹とアンは俺と一緒に2、3日後に向かう約束をして
港には久し振りに島から出る事が出来る人が溢れ返り賑わっていた
「じゃあ!アー君直ぐに来るのよ?」
「分かってるよ」
「サーラ!お兄ちゃんの事任せたからね?」
「大丈夫、この世界にお兄ちゃんと二人きりになっても私が守ってあげる。二人で新しい家族を作って...」
「やっぱりヤダ!母ちゃんも一緒に残る!」
「ちょ!もう無理だって!ほら船が出ちゃうから!」騒がしい俺達の隣には沢山の雌犬がポチを見送りに?来ている
なぜか?早々に船へと乗り込み姿を見せないポチ
唸り声を上げている雌犬達
通りでポチは母ちゃんと一緒に行く事に文句を言わなかったわけだ
船は最後の荷物を乗せロープを解きゆっくりと進み始める
「じゃあ!アー君直ぐに来るのよーー!サーラ次会った時覚えてなさい!!バーカベーだ」
大の大人が子供のような悪態をつきながら遠ざかって行く
雌犬達は唸り声を上げながら船を追いかけて行く
さてと、取り敢えず指輪の注文に行くか!
更新が遅れて申し訳ないです




