サーラの実力
考えるのは一先ずやめた
少し離れた場所で、父ちゃん?がポチ相手に遊んでいる
父ちゃんが、自分の肋骨を投げてポチにとって来させている様子を妹?に左手を恋人繋ぎされながら眺めている
妹?はテーブルの上に四つん這いに乗り鼻先が触れそうな距離でうっとりと此方を見つめている
手を離して欲しいが
何故か目がやばい感じにキマッているのでそっとしておこう
ポチは明らかに違う骨を咥えて尻尾を全力で振りながら戻ってくる
喋れない父ちゃんはジェスチャーで笑いながらとても楽しそうだ
なんだろう?
平和なのかな??
ドンッ!!!
アンが俺と妹の間に身体を割り込ませながらテーブルの上にサーラの分の飲み物を用意する
「サーラ様、お飲み物を用意致しました。こちらへどうぞ!主人からすこーし離れて頂けま.す.か!」
サーラの身体を俺から引き剥がすように抱きつきながら隣の席へと移動させる
「あっぁぁ!お兄ちゃん!!」
サーラは慌てたように俺に抱きつき肩の上に頭を乗せる
妹の引き剥がしに失敗したアンは妹の反対の席に座って抱きついてきた
両方から美人と美少女に抱きつかれているのに何故か嬉しくない
なかなか話が進まないので一旦思考をやめてこれからの事をかあちゃんに尋ねる
「で?かあちゃん。これからどうするの?」
「んぎぎぎ!っえ?あぁこれからね、取り敢えずこの島から出て魔王国へ向かうわ」
「何度も言うけど、バケモノ鮫が島の周りに住み着いているから今は移動出来ないよ?」
「あぁ、それはサーラが解決するから大丈夫よ。サーラ?バケモノ鮫の駆除をしてきてちょうだい?」
「ママのお願いじゃやだ。お兄ちゃんにお願いして欲しいな」
「んぎぎぎぎぎ!!!」かあちゃんが怒りから歯軋りしている
「サーラ頼むなんとかしてくれ」
隣でこちらを見つめる妹にお願いをする
サーラはこちらを見つめて俺の両手を握りしめて
「........うふふ、うふふふふ。わかった♪ちょっと行ってくるね、お兄ちゃん♡ちゅっ」
俺の左頬にキスして立ち上がるサーラ
立ち上がったサーラは青白い焔を体に纏い、まるでロケット花火の様にバシュッと物凄い勢いで大空へと飛んで行った
「大丈夫なの?かあちゃん?」
俺の問いに
「く〜!えっ?あぁ、大丈夫、大丈夫よ。あの子は水陸両用で作ってあるから。主に海中での戦闘だと無敵に近いんじゃない?。海龍の身体能力に私の魔術が合わさってるからね」
「かあちゃんの魔術と.....海龍の身体能力?」
どんなバケモノなのそれ
かあちゃんの説明に顔を引攣らせながら苦笑いしていると
ドグァーーーン!!!!!!!!!!!!!!!
鼓膜が破れるんじゃ無いかと思うほどの爆発音が遠くから聞こえてくる
爆発音に続く様に大気が震えビリビリとした衝撃が体を襲う港の方から人々の叫び声や歓声が聞こえてくる
まさかとは思いながらアンの出す紅茶を飲んでいると
港の方向から小さな黒い影がこちらに向かってくる
あれ?この距離であの大きさ?飛行機より大きいんじゃ??
訝しく思いながら眺めているとグングンとこちらに向かってくる
あっという間に目の前まで迫ってきた黒い影は巨大と言う言葉では足りないくらいに大きな鮫
空港で見たことがあるジャンボ機並みに巨大だった
そんな巨大な鮫を頭上に掲げながら、こちらに向かって飛んでくる妹
「ご苦労様。サーラ」
まるで近所にお使いを頼んだ様な調子でかあちゃんは声を掛け、どこかから包丁を取り出す
包丁はひとりでに鮫へと飛んでいきスパスパと冗談の様に解体していく
かあちゃんの魔術で空中に固定されて解体される鮫を呆気に取られながら眺めていると
「おにーちゃん、サーラちょっと疲れちゃった♡」
左側に抱きついてくる
「もう!」
アンが口を尖らせながら俺を自分の方へと引っ張る
二人に綱引きの様に引かれながら、かあちゃんが鮫を解体する様子と、父ちゃんの肋骨が何本かが明らかに人骨に変わっているのを眺めながら紅茶を口に含む
ミストの父親はかあちゃんの指示で解体された鮫を火力を調節しながら焼いている。
焼けたそばから、かあちゃんの手元に消えていく洗濯機の様な大きさの鮫肉
もう、ちょっとやそっとじゃ驚かない自分の境遇に小さなため息がもれる
さてと、鮫問題が解決したようだから帰るか
エデンに話をしに行かないとな




