自称妹登場
「サーラいつまで隠れてるつもりなの?そこにいるんでしょ??」
かあちゃんは、自分の斜め後ろ何もないところに向かって声を掛ける
『うふふふ、さすがはママ』
何も無いはずの俺の目の前から女の子の声が聞こえてくる
かあちゃんが声を掛けている方向とは全く逆の、俺の目の前から知らない女の子の声が聞こえてくる。
突然の事に、声が聞こえた方へ目を凝らす
何も無い空間を見つめていると、目と鼻の先僅か数十センチの所に、フェルトペンで自画像を描くように、顔の輪郭が描かれ身体全体が現れて無色の線に色と立体感が付き、一人の少女が姿を現わす。
「うゎぁっ!」
突然目の前に、それこそ息が掛かるほどの近くに現れた謎の少女に驚きの声を上げてしまう
座っていた椅子を立ち、数歩後ずさる。
「誰っ?」
多分魔法だろうけどこんなに近くに居て気付かずにいるなんて
俺と少女の間にアンが体を割り込ませ俺を守ろうとする
「申し訳御座いません、坊っちゃま全く感知出来ませんでした。」
アンは俺を背中に隠し唇を噛みながら悔しそうに謝っている。
俺の身に危険が降りかかる事を見抜けないで居た事が許せない見たいだ
「アン、その子は大丈夫よ。」
見当ちがいの方向を指差していたかあちゃんが手のひらをグーパーしながら少し恥ずかしそうにアンへと告げる
「かあちゃん知ってるの?そう言えばさっき名前呼んでたけど、サーラ??」
よく見ると少女は俺と同じ水色の髪の毛を腰のあたりまで伸ばし、どこかかあちゃんに似ていた
「なぁに?お兄ちゃん」
名前を呼んだ俺に意味不明な言葉が返って来た
「坊っちゃま?坊っちゃまの妹御なのですか?」
アンが戸惑いながら俺に尋ねる
「いや、俺は一人っ子のはずだ妹は居ない」
記憶に無い妹なんて有り得ない
戸惑う俺に
「あ〜、アー君、サーラは正真正銘、あなたの妹よ」
かあちゃんの爆弾発言が飛び出す
まさか........
まさか...父ちゃん?!
俺の驚愕の視線を感じたのか元父ちゃん事、骸骨は違う違うと懸命に首を左右に振りながら否定している
「ケビンガボスイガイノメス二ウマセタノカ!ヤルジャネエカ!ケビン!」ポチは尻尾を振りながら父ちゃんにトドメを刺している
「父ちゃん.....」
漆黒の骸骨は両手を振りながら否定している。その様子を俺とアンはジト目で見つめる
「うふふ、ばかねぇ、ぱぱがそんな事するわけないでしょ?」かあちゃんの言葉に安堵しながらも疑問が出てくる
「じゃぁ?俺に妹なんて居ないよ?誰なのこの子??」
「正真正銘アー君の妹よ?私が作ったのよ!凄いでしょ♪」かあちゃんは自慢気に応えるが謎は深まる
「かあちゃんが?作った??産んだんじゃ無くて??」
「そうよ!私が作ったの!つまりは、ごーれむなのよ」
「ごーれむ?えぇっ!この子ごーれむなの?ていうか、かあちゃんごーれむ作れるの??」
「うふふ!初めて作った割に良く出来てると思わない?」
テーブルの上で四つん這いになり、俺の目の前に隠れていたのは意味が分からないが
確かに説明されないとごーれむだとは分からない。
完成度で言えば間違いなくアンと遜色のない出来だと思う
俺は手を伸ばし自称妹?の頬を触ってみる
自称妹?の頬はぷにぷにと柔らかく体温を感じさせる温かさがある
瞳は作り物には見えない程精巧に再現され何故か蕩けるように潤んでいる
作り物のはずの頬に赤味を帯び頬を触る俺の掌をそっと自分の掌で覆い上目遣いで
「お兄ちゃん♡」
ん?何か背中に嫌な汗が
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