家族会議
あまりにも沢山のことがありすぎた
海岸の洞窟での事
その後、ミストの姉との遭遇
姉と一緒にミストは湖へと向かう
ミストとフォレスの父親との遭遇
町に帰還後、両親との再会
父親の変わり果てた姿と、かあちゃんの過去の暴露
ここ二、三日沢山のことがありすぎて消化不良気味だ
取り敢えず落ち着くためにアンに皆んなに紅茶を出してもらいこれからの事を話し合う
ミストの父親だけはブツブツと文句を言い続けていた
「全く、忘れてしまわれるなんて信じられない!何百年私はあの火山に閉じ込められたと思っているのですか!」
ミストの父親は、テーブルの端に腰掛けブツブツと独り言を呟きながら悪態をついている
少しうざい独り言を聞き流しながら、鼻歌まじりのかあちゃんは俺の隣に腰掛けアンが出す紅茶を飲んでいる
俺の反対に腰掛けた父ちゃん?は出された紅茶とクッキーを口にしているのだが......
口から入った紅茶とクッキーは、そのまま何もない喉を通り何故か?心臓のあたりにある大きな瞳にビシャビシャと掛かっている
肋骨の間に、瞳が閉じ込められている?のも謎だが、何故かその閉じ込められている瞳は生きている?ようにぎょろぎょろと動きながら真上から溢れ落ちてくる紅茶とクッキーを避けている
「父ちゃん?紅茶とクッキー全部落ちてるよ」
俺の言葉に父ちゃんは、ん?と言う感じでこちらを振り向き、ハッ!とした感じでこいつはうっかりだなぁ〜とジェスチャーで表現している
右手を口の中に差し入れて左手で頭を掻きながら昭和?な表現で、かあちゃんと二人でキャッキャウフフしている
何故だろう?こんなに深刻な状況なのに悲壮感を全く感じられない
まるで冒険に出る前に感じていた実家の暖かさが、懐かしい感じがする
いつも、はちゃめちゃなかあちゃん、普段はかあちゃんの言いなりの父ちゃん。父ちゃんの人間の大きさは感心を通り越して感動すら覚える
姿形は変われど自慢の両親だ
「わしが何百年溶岩だけ!溶岩だけを食べながら過ごしたと思ってるんですか!」
......まぁ自慢出来ない部分もあるが
かあちゃんは目でアンに合図を送りデザートでミストの親父を黙らせる
「さてと、取り敢えず落ち着いた所で今後の行動を決めるわよ!」ブツブツ言ってる親父は放置して、かあちゃんが突然立ち上がり話し始める
「ぱぱを元通りに戻すために。先ずは、かあちゃんのお姉ちゃんを探すわよ」
「かあちゃん?叔母さんは、どこに居るのか分かってるの?」
「そうねぇ、大体の見当はついているんだけど、[愚者の塔]か[過食の洞窟]のどちらかに隠れてると思うのよねぇ」
かあちゃんの言葉を聞いたアンが顔を痙攣らせながら応える
「愚者の塔に過食の洞窟ですか!?そのような危険な場所へ坊っちゃまをお連れするなど正気とは思えませんわ!!」
「え?まぁ確かに両方とも広いっちゃ広いけど危険では無いわよ?ねぇぱぱ?」
アンの言葉を不思議に思ったのか首を傾けて父ちゃんに尋ねる
骸骨の父ちゃんは、うんうんと頷きながらかあちゃんに同意している
それを聞いたアンが
「愚者の塔に過食の洞窟ですよ?未だに踏破されたことの無い未踏破の遺跡と洞窟ではありませんか!普通の冒険でもあの場所には足を踏み入れる事もしませんわ!」
アンの強い口調に、やれやれと首を振りながらかあちゃんが答える
「大丈夫よ私もぱぱも強いから。弱いあなたとは違ってアー君も私が守るから」
ふふん!とドヤ顔のかあちゃん
悔しそうに歯を食いしばるアン
「ぐぐぐ、いえ、坊っちゃまのお側を私は離れる事はございませんわ!妻として当然の事ですから!」
今度はアンのドヤ顔
かあちゃんは歯を食いしばり
「んぎぎぎ!ま、まぁ付いて来たければ別に構わないけどね!ふんっだ!」
やれやれと俺と父ちゃん?は頭を振る
「どちらにせよ、この島から今は出る事が出来ないから先ずは化け物鮫をどうにかしないと」
俺の言葉に
「あ、それなら大丈夫よ」
まるでなんて事ないように応えるかあちゃん
「サーラいつまで隠れてるつもりなの?そこにいるんでしょ??」
かあちゃんは、自分の斜め後ろ何もないところに向かって声を掛ける
『うふふふ、さすがはママ』
何も無いはずの俺の目の前から女の子の声が聞こえてくる
少し更新が遅れてしまいました
よろしければ評価頂けますとヤル気に繋がります




