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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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青空の魔女

昔々

まだこの大陸が五つに別れる前


青空を思わせる様な水色の髪を足元まで伸ばし天使の様に微笑む一人の魔女がいました



魔女はこのせかいに新たな希望である魔法をもたらしました


全ての生きる者は幸せを謳歌し平和に暮らす筈でした


しかし大陸には様々な種族が生息し大陸の覇権を得る為に争いあっていました


争いを止めない者達に怒り魔女は大陸を五つに分けました


争い合う者達は魔女の力を恐れて力を合わせて魔女を討伐する事を決めました



長く続く悲劇の始まりでした

ある種族は半数以上が犠牲となり、またある種族は絶滅間際に追い込まれ甚大な被害を被りました

大陸の生態系そのものが崩れ落ち支配層が順に姿を消したのです


当時数だけは多いが弱小な人族を除いて



こうして、元居た種族達を押しのけて人族の覇権を推し進める要因の一つとなったのです



しかし、人族も魔女を恐れていた事は間違いなく戦うのでは無く抵抗しない事を選びました


緑豊かな東の大陸を砂漠に変えられても

樹木が生い茂る北の大陸を氷の世界に変えられても



人々はただ恐れ敬う事で魔女の怒りを買わない様に暮らしました



「これが、今に伝わる〔青空の魔女〕の物語ですわ」

アンは青い顔をしながら俺に説明してくれる


「....こわっ。かあちゃん、そんな人が本当に父ちゃんを治してくれるの?」

大陸を分断する様な叔母さんとか...


「え?.........だ、大丈夫よ。マイ、あ!お姉ちゃんは悪い人じゃないのよ?世間の人の勘違いって言うか......」

かあちゃんは何故か?しどろもどろになりながら説明している



「世間の人の勘違い?じゃあ叔母さんはどんな人なの?」


「お姉ちゃんは、マイって名前なんだけど、人々がもっと豊かな生活を送る事が出来たら争いは無くなるんじゃないかって、その当時一部の種族とエルフの専売だった魔術をもっと簡単に使えるようにと魔法を発明したのよ?」


アンが言っていた事だな


「魔法が発明されて暮らしはとても豊かになったわ。生活は便利になり、怪我や病気は簡単に治る様になったの」


「あれ?すごく良い人じゃない?マイ叔母さん」


「ええ!かあちゃんにとっても自慢の姉だったもの♩」


ふむ、人々の生活基準の底上げをした魔女は何故ここまで後世に悪名だけを残したのか?


「しかも、お姉ちゃんは他人を傷付ける事を極端に嫌がっていたから治癒魔術のスペシャリストなのよ!光の矢も殆ど打った事がないくらいなんだから」

あれ?話が合わない


「え?でも昔話だと沢山の種族に甚大な影響を与えたって??」


まぁ?昔話って曖昧な内容がさも本当の様に描かれるものだが


「.....うん、だから勘違い?なのよ....」

何故かモジモジしながら答えるかあちゃんに俺のこれまでの経験が嫌な予感を呼び起こす....まさか





話を整理すると、叔母さんは世界の平和を願い生活基準の向上を目指した。叔母さんの得意な魔術は治癒魔術で攻撃魔術はほぼ使えない。なのに後世へはこの世界を破滅へと誘うような魔女として伝えられている.....?


猿や犬を連れて鬼退治に出かけた桃太郎より酷い


そんな風に考えて頭の片隅に浮かぶ嫌な予感に目を向けないでいると父ちゃん改め黒骸骨が筆談を始める



《その話は半分は本当で半分は勘違いだ。父さんがアレックスのお爺ちゃんに聞いた話によると.....》





父ちゃんの説明ではこうだ



その昔、双子の姉妹が居た、双子は生まれつきの才能で様々な魔術を行使する事ができた。


努力型の天才の姉

才能の塊の妹


姉は世界を心配し全ての人が幸せに暮らせるように悩んだ


小さな頃から長い年月を掛け魔術の理論を読み解き魔法へと変換する


全ては人々の為完成した魔法は世界へと広がり姉は二つ名を得る〔青空の魔女〕と


妹は自分の欲望の為に生まれ持った才能を注いだ

姉の魔術理論をその才能でいとも容易く読み解き強力な魔術へと変えながら


あれが欲しい、これは気に入らない。我儘放題

気がつくと大陸は5つに割れていた


昼寝の邪魔をした争いをこの世から消す為に


これで、やっと眠れると思いきや怒った者達が自分を討伐に来た


喧嘩上等、全ての者を返り討ちにして悠々自適に暮らし始める


生き残った僅かな者達は口々にこう言った

あれが〔青空の魔女〕だと


その後、姉は妹の行いに驚愕して自分の名が人々へ恐怖を与えるものだと知り愕然としながらその姿を隠す


悠々自適に過ごしていた妹は悪行を知った母親の逆鱗に触れ実家へと監禁される。父親に騙されて魔王軍へとその身を預けるまで












...............やっぱり


当の本人は

気絶から立ち直ったポチのお腹を撫でて現実逃避している


「うりゃうりゃ〜どう?ポチかあちゃんのお腹さすさすわ〜」

ポチは余程嬉しいのか尻尾が千切れんばかりに振っている


「かあちゃん」

「うりゃうりゃ〜」


「かあちゃん!」

「ほれほれ〜」


「か.あ.ちゃ.ん!!」

「もう!なによ!」


「全部かあちゃんのせいじゃないか!」

「もう、昔の事じゃない〜かあちゃん覚えてな〜い」



しらばっくれてる最悪だ



ところで.......

「アー君、そこの膝ついてるおじさん誰?」


そう、かあちゃんが現れてからずっと片膝をついて顔を伏せている親父ことミストとフォレスの父親


名前は....聞いてないな


「ミストの父親だと思う」

「へぇ〜、あれ?そう言えばミストちゃんは?」



「なんか、任されてた湖をほっぽらかして遊んでたからお姉ちゃんに見つかって連れて行かれたんだよ」

「ふむふむ、どこも妹は大変だ」


いや、絶対に妹が悪い


「で?あんたは何してんの?」

かあちゃんがおっさんに話しかけ


「お忘れで御座いますか?トリンシァ様?私で御座います!焔の精霊で御座います」


「ん?誰??」

「トリンシァ様の御命令で南の大陸にあった火山を海に沈めてそれを見守っている焔の精霊で御座います!ほら?昼寝するのに暑苦しいとか言って海に火山を沈めたじゃないですか?マグマ溜まりごとトリンシァ様が移転させたやつですよ!」

「ん?ん〜〜?覚えてないや」


「え!えーー!いやいや、ほら私の妻に無理やり頼んだじゃないですか!そのせいで私は火山から動けなかったんですから!ひどいですよ!」

「てへぺろ」





なんだ?此処はかあちゃんの被害者友の会か?


如何でしょうか


宜しければ評価お願いします

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