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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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『閑話』一方その頃母は

真夜中に突然誕生した娘?と別れた翌日、俺達は温泉街へと到着した


いつもの通りトゥルーは魔物の生息する山の中腹を勝手に整地して家を建てる


中腹にしたのは景色が良いからという理由からだ

家からは見下ろす形で温泉街が広がっている


家の周りには強力な魔物避けの魔術が施され

家から伸びる一本道の先は温泉街へと続いている


当然道を舗装したのもトゥルー

元々が魔物の領域なので誰からも文句は出ていない


領主の貴族を除いては



「ふぅ〜、やっぱり温泉は気持ちがいいなぁ〜」

露天風呂に浸かると大きな独り言が勝手に口から出てくる


息子達と別れ旅の途中で産まれた?娘を見送って立ち寄った温泉街


トゥルーがいたく気に入り街を取り囲む山の中腹に居を構えて毎日温泉巡りを楽しんでいる


泉質は同じなのだが其々の温泉宿が趣向を凝らした温泉は趣きが有りこの街に長居するのも悪くは無いかと思っている


別に急ぐ理由もない訳だから、息子の無事を確認出来た時点で島へと帰っても良かったのだが、たまには夫婦二人きりでの旅行も良いものだ


温泉に浸かりながらこの街を囲む山々を眺める

山頂付近には下級竜が巣を作り縄張りを守っている





そんな下級竜の襲撃とその後のゴタゴタを思い出す



下級竜などトゥルーに掛かれば蚊蜻蛉の如く排除は可能なので気にする事なく家を建てたが


下級竜からすれば、やはり縄張りを荒らされたと躍起になって襲いかかってくる


大半の下級竜はトゥルーに退治され何匹かは山頂へと逃げ帰って行った


トゥルーは俺の昼ご飯のシチューを片手で混ぜながら空いた左手をキッチンの窓から出し光の矢を放って40匹近くの下級竜を退治していた


片手間にも程がある。下級竜とは言え大の大人が4人並んで両手を広げた程の大きさがありそんな大きさの下級とは言え竜が40匹も家の周りにをバサバサと飛びながら威嚇の咆哮を上げているのだ


ポチならば気絶していただろう

トゥルーはシチューの味見をしながら何事もない様子で処理していく


光の矢が頭や胸へと刺さって落ちてくる下級竜を魔術で収納していく全ての下級竜を駆除するのに5分と掛かっていない




◆◆◆◆◆


その光景を町から眺めていた温泉街の住人は驚愕していたに違いない


魔物の領域に何処かの馬鹿が勝手に家を建て縄張りにしている下級竜に襲われている、そんな報告を受けた冒険者ギルドの職員は呆れた様子で仕方なく領主へと報告に向かう手遅れなのは分かっているが万が一下級竜達がこの街に向かってくる可能性があったからだ



ギルド職員の報告に顔を顰めながら大きくため息を吐く領主


「で?どうしろと言うのだ?そんな奴を助けに下級竜の群れに向かうなど馬鹿げた事など出来るわけがあるまい?」


「ですが、何もしない訳にもいかないでしょう?下級竜が街へと襲いかかってくるやも知れませんし警戒しながら様子を見ませんと」


「ふぅ〜仕方あるまい、ただしそのものがもしも奇跡的に無事ならばその時はそれ相応の罪に問うとしよう」

領主は嫌々ながらもその重い腰を浮かせて職員と共に部屋を出る


昔から少ないながら魔物の領域に侵入して被害が出る事はある。その都度国王より預かっている警備隊の出番であるがその被害は堪ったものではない


今回の話では、魔物の領域に家を建てたらしい

狂人でもあるまいし一体何を考えているんだと憤懣遣る方無い


執務室を出て廊下を歩きながら付き従う部下へと指示を出していく

「第1隊及び第3隊を招集して現地確認を行え、但しなるべく近寄らずに下級竜を刺激する事は控えよ」

「はっ!」

命令を受けた部下が廊下を走り出したところで此方に向かって走って来る兵士が姿を見せる


「報告致します!下級竜に襲われていた家から下級竜の姿が消えたと町の住人が報告してきております」


「ん?何だと?一体どう言う事だ??」

「さぁ?私が此方に来る前は30匹以上の下級竜が家の周りを威嚇しておりましたが?」


「取り敢えず、様子を見に行くしかあるまい。第1隊だけで良いついて来い」

領主の言葉に屋敷内は慌ただしくなりすぐに屋敷前に隊列を整えて出発の命を待っている


「行くぞ!」

「ハッ!」


屋敷前から見える山の中腹に建つ家には下級竜の姿は見えない、一体何処に行ったのやらと不審に思いながら報告に来た住人へと聞き取りを開始する


「どうやら、下級竜は何者かに撃ち落とされた様に次々と落下しその姿は突然と消えて行ったようです。残りの何匹かは頂上へと逃げ帰った模様です」


この男は一体何を言っているのか?

いや、言っている事は分かるのだが馬鹿げている

「下級竜を撃ち落とすだと?」


領主は胡乱な目で報告する男と住人を見つめる


「取り敢えず、あの屋敷へと向かうしかあるまい」領主の言葉に兵達は隊列を整えて進む


いつのまにか山の中腹から温泉街へと一本道が舗装されていた、単に斜面を慣らしたのでは無く緩やかな石段と手すりが設えられ踏み幅が広く馬が楽に通る事が出来る立派な道が。領主の自分も知らないうちにいつのまにか造られたのか?こんな魔物の領域にいつのまに


しばらく緩やかな石段を登って行く

目の前にはとても普通の屋敷と言うよりも農家の家が現れる


家からは昼食なのかとても良い匂いがこちらに流れてくる


部下の一人が玄関へと向かいドアをノックし住人へと声を掛ける


中からはとても気の抜けた声で返事が聞こえ一人の女性というよりも女の子が姿を現わす




◆◆◆◆◆◆◆





トゥルーと向かい合いながら昼飯のシチューを口にする。トゥルーは息子の事となるとアレだがそれ以外は完璧だと思う


俺の方を笑顔で伺うトゥルーにとても美味しいと返し機嫌よく食べ始めるその時


[トントン]


誰か訪ねて来たようだ?

この街には知り合いなど居ない、一体誰だろうと思案顔のトゥルーは

「はーーい」いそいそと玄関へ向かい対応する


「ぱぱぁ〜」

トゥルーの呼ぶ声に玄関へと向かう、一人の兵士が話を聞きたいからついて来て欲しいと言う事らしい


昼食中だがまぁ魔術でまた温めて貰えば良いのだから「分かった」と一言答えて兵士の後をついて行く


物々しい装備の兵士が隊列を作り整列していた


そんな中から馬に乗った明らかに偉そうな貴族だろう男が前に出てくる


「おい、貴様誰に断りここに家を建てたのだ?この街の領主たるワシに挨拶もなく許される行為だと思っておるのか?」


「はぁ?世界の常識では魔物の住む領域は誰の支配でもないのでは?」少し面倒だが下手に出て釈明してみる


「馬鹿モン!この山は我が家の祖先が竜から奪い取った物として国より預かっているものだ!直ちにこの家を明け渡すが良い!本来ならば重大な罪として裁かれる所を空け渡せば勘弁してやろう!」


だから貴族は嫌なんだ一体何様のつもりで命令しているのか?そんな風に考えていると隣のトゥルーは


「ちょっと!あんた何様なの?私の家を明け渡す?馬鹿言ってんじゃ無いわよ!この土地があなたの土地なら退けば良いんでしょ!頭おかしいんじゃないの?」

激おこで捲し立てている


「きっ!貴様誰に向かってそんな口を叩いている!ええい!構わん!ひっ捕らえろ!!」興奮で口から泡を飛ばしながら馬の上で叫ぶ貴族



「さっきから、貴様貴様ってうるさい!そっちこそ誰に向かってそんな口聞いてるかわかってるの!」

あ!やばいトゥルーが切れそうだ


俺は二人の間に割り込み


「待った待った!先ずは名乗ろう、俺の名はケビン・ランフォード。こう見えて貴族だ」胸元から貴族の紋章が刻まれたネックレスを取り出す


「なんだと?!うん?その紋章は...武王国の?」

馬の上から覗き込む様に目を凝らす貴族は興奮を抑えながら問いかけてくる


「なぜ、武王国の貴族が我が領土に勝手に家などを建てるのだ?此処は先祖伝来の我が領土である!」


「ああ、悪かったよ少しの間温泉を堪能したらこの場所は明け渡すその間契約料金を払うそれで許してくれないか?」


「その約束忘れるでないぞ?しばしの間貸し出す事は構わん、あとで役所の者を連れて参ろう。それとだこの屋敷が竜に襲われているとの報告を受けて我らは参上したのだがどうやって追い払ったのだ??」


「龍?ドラゴンなんて居ないわよ?こんなチンケな山に(笑)馬鹿言ってんじゃ無いわよアンタ?」

トゥルーの辛辣な言葉に額に血管を浮き上がらせる貴族は隣に控えている女性に怒鳴り散らしている


「おい、おい、トゥルー」

「ん?なぁに?ぱぱ」


「ワイバーンは一応下級竜になってるんだ」

「え?ワイバーンってあのワイバーン??」


俺たちのやり取りを聞いていた貴族は嫌らしい笑みを浮かべて


「なんだ?貴様ワイバーンも知らんのか?何処の田舎から来たのだ、ふんっこの街はワイバーンが出没する為この国の精鋭兵が各地より集められ防衛しているのだ!良く死なずにいたものだな」


流石に俺もカチンと来た

「おい、トゥルー見せてやれ」

「ん?何を?あっ、ワイバーン?」


トゥルーに頷きながら早く出すように促す

「ハイ!こんなのが龍だとか笑っちゃうわね」


トゥルーが魔術で取り出したワイバーンを領主の前に投げ出す


「え?」「え?」「あれ?ワイバーンじゃ?」

ザワザワと騒めき始める兵士


大きく口を開いたままの貴族

「この....ワイバーン.......は一体どうやって...」

やっとその言葉を絞り出した貴族に


「は?私が魔術でチョチョイのチョイよ?あと40匹ほど有るけど全部出す?」

ドヤ顔で貴族に尋ねているトゥルー


貴族の隣の女性が

「もしや、黄緑の悪魔と最近噂の海龍を退治された冒険者の方ではありませんか?」


「悪魔.....?天使でしょ?」

トゥルーは目が笑っていない笑顔で女性へと詰め寄る


「も!申し訳ございません」

女性は涙目になりながら謝っている


「なんと!あの黄緑の悪、天使殿でしたか!」

急に態度を軟化させる貴族


「幾らでもこの街に滞在していて下さい!お金も勿論頂きませんから」



分かりやすい貴族に嫌気がするが有り難く滞在させてもらおう




温泉最高!

更新遅くて申し訳ない


もし良ければ評価お願いします


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