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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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精霊攫いの真骨頂

八人掛けほどの大きなテーブル

材質は変わった淡い緑色のマーブル模様の石


いつもの見慣れたテーブルの上には、これまた見慣れたデザートが所狭しと並べられていく


最初に出した20種以上のデザートを一瞬で平らげるフォレス、負けじと新しいデザートを繰り出すアン


一つにまとめた青紫の髪の毛をはためかせ、黒縁眼鏡の奥の瞳は試合を楽しむアスリートのよう

額から流れる汗が見ていて眩しい


しかし.....


どれだけ食べるんだ??

「森の木の実のリーフパイで御座います」アンが説明と共にバスケットに入れた山盛りのパイを置く


「ふむふむ♩このサクサクの歯ごたえ♩濃厚な香りの木の実♩甘さを抑えた大人の味ね♩」

批評を口にしながら笑顔でもしゃもしゃ食べるフォレス


ちなみにミストは黙って黙々と食べている

俺は早々と満腹になり眺めるだけだ

足元のポチも3本目の大きな骨を齧っているふわふわの尻尾が忙しなく振られているので喜んでいるのだろう


「キート芋を蒸してパイで包みました。同じくキート芋のタルトで御座います」


「なんとなんと♩このお芋さんはただ蒸しただけじゃないわね?」フォレスはニヤリと笑いながらアンを見つめる


「流石で御座います。キート芋にクリームと少々のお酒を風味に使いコラッタ薔薇の花びらから採れる香料をパイにほんの少し混ぜて御座いますわ」何やらアンがいつもと違い長々と説明している


俺とミストは旨い!美味しい!。しか言わないから嬉しいのだろう。もう少し褒めて上げなければ


「こちらのタルトには、三種類の卵の黄身のみを使用してコク、香り、奥行きを出して御座います。」

「ふむふむ♩濃厚な中に奥行きを感じさせるサクサクのタルトにこのお芋がよく合う♩」



こうして三時間ほど二人の闘いは続きフォレスは森イチゴのジャムをのせたヨーグルトを食べている

「こちらで本日のデザートは以上で御座います」

やりきった清々しい笑顔のアン。額や頬を伝う汗は輝いて見える


「くぅ♩最後にさっぱりとヨーグルトなんて!あなた!ただのメイドではないわね?」

口の周りを盛大に汚した中学生位にしか見えないフォレスが口にする言葉を微笑ましく眺めている


隣で満足したミストがお腹をさすりながら眠そうにしている


「わたくしわ、アレックス様のメイドで有り妻ですわ」なぜか急にもじもじしながら頬を両手で挟みくねくねしている


「え?」フォレスは不思議な顔をしてミストをみている

「ミスト?あなたこのハーフエルフの妻になったって言ってなかった?」


「ん?第二夫人」眠いのかめんどくさそうに答えるミスト


「ええ!?由緒ある精霊の娘が第二夫人?そんなことが父にバレたら.....」急に顔を青ざめるフォレス


「だってアレックスといたらこんなご飯が毎日食べられるんだもん」何か悪い?と言いたげなミスト


「こんなご飯が毎日...ごくり」大きく喉を鳴らしながらフォレスは表情を険しくしていく


次第に辺りは暗くなり始める

「もう日も暮れるわ。今夜は私の家に泊まると良いわ」椅子から立ち上がり俺達を家へと招待してくれる


大きな木

中は三階建てのお洒落な部屋が木をくり抜いて作ってあった

玄関から部屋へと繋がる廊下には様々な弓が飾ってある


リビングには丸いテーブルと揺り椅子が有り編みかけの靴下が置いてある。


客室は無く三階の物置を少し片付けてアンが寝床の準備をしている間二人の話に耳を傾けている


やれあの時ああだった、いやこうだったと姦しくも仲の良い二人を眺めながら姉妹っていいなと思いながら死んだ兄の事を思い出す


そういえば、兄も間違って寿命を終えたんだな。

この世界に来てるなんて事あるんだろうか?

そんな事を思い出しながらアンの用意したベッドへと体を投げ出す。ミストは久しぶりに姉と眠るらしい枕元にはポチ、となりにアンを抱き締めながら遠い兄の記憶を何となく思い出す


会えるのならもう一度会ってみたいなぁ

遠のく意識に懐かしい兄を思いながら眠りにつく



翌朝、ドタバタと階下の音に目覚めると、フォレスが何やら片付けを行なっていた

「おはよう」俺は声をかける

「おはよう、よく眠れた?」笑顔で答えるフォレスは額に汗をかきながら片付けをしている


朝早くから元気だな、感心しながら三階に戻るとメイド服に身を包んだアンが俺の衣服を用意していた


しまった...着替えを見逃した


衣服を着替え寝ぼけているポチを起こし二階へ未だ寝ているミストにキスして起こす

ミストはぐずりながらも少し嬉しそうに「おはよ」と俺の首に腕を回し挨拶を交わしてくる


三人でいつもの散歩に出かける

森は静かながら鳥の鳴き声と風に揺れる木の葉の音が心地いい、森林浴を味わいながら散歩を終え木の家へと戻る


アンの作る朝ご飯を食べながら今日の予定を話し合う。急ぐ旅でも無いが心配を掛けると行けないので昼前には街へと戻るとフォレスに告げる

「わかったわ」案外あっさりと受け入れてくれる

妹の事を許してくれたのだろうか??


そろそろ行こうかとアン達に話して世話になったとフォレスにお礼を告げ玄関へと向かう


昨日、廊下に飾ってあった弓は一つも見当たらない?それどころか生活に必要な小物などが部屋から消えていた


なぜか、少し嫌な予感がする


玄関の扉を開け見送りに来てくれたフォレスにお礼を告げる


「ありがとう、また機会があったら寄るよ」

「お世話になりました」

「お姉ちゃんまたね」

「ワン」


俺たちの言葉にフォレスは反応を示さず玄関の扉に鍵を掛けている。扉の隙間を指でなぞると扉自体が無くなる


嫌な予感がする


「さて♩私も付いていくわ」



如何でしょうか


多忙な為更新が遅れますが頑張りますので


見捨てないで下さい


評価良ければお願いします

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