木の家
大きな木をくり抜いて作られた家の玄関で気絶した少女が目を覚ますのを待つ
「う、う〜ん」
白髪の少女が小さな呻きをあげながら気がついたようだ
不意にミストが
「あ!そーだ、ポチちょっと散歩に行こう!」
「エ?」
ミストは抱き抱えていた少女の頭を床に叩きつけるように落として意識が戻ろうとしていた少女をまたもや気絶させる
その後、嫌がるポチの尻尾を引きづりながら玄関から外へと出て行ってしまう
俺は少女の頭を抱き抱え、たん瘤が出来ていないかと摩りながら少女が目を覚ますのを待つ
隣のアンがとても困った顔でこちらを見つめている
「どうした?」まさかアンまでこの少女に?
「いえ、坊っちゃまが触れると...そのぉ」
何かとても言いにくそうにモジモジしていた
しばらく少女の頭を摩りながら目を覚ますのを待つ
外からはポチの鳴き声が聞こえて来る
俺の側に戻りたくて暴れているのだろう
「ポチ大丈夫かな?ミストの奴何か変じゃないか?」となりのアンへと尋ねてみる
「えっと.....坊っちゃま?まだお気づきになりませんか?」アンはとても困った顔で俺に尋ね返す
ん?
気づかない??何の事だ?
「え?何の事だ?」
アンはとても大きなため息を吐きながら
「いえ、すぐにわかりますわ」と物覚えの悪い生徒に語りかけるように俺にとても優しい目を向ける
そんなやりとりをしていると
「う、う〜ん」
俺の腕の中で少女が目を覚ます
「?」
「??」
「???!」
少女は俺の腕の中で辺りを見回して俺に気付き大きな瞳を見開く
「ど、どちら様ですか?」
頬を真っ赤に染めた少女が俺を見つめながら尋ねてくる
確かに目が覚めて知らない男の腕の中は混乱するよな
「すまない、通りすがりの冒険者何だが、連れが勢いよく閉めた玄関の扉に頭をぶつけたみたいで目が醒めるまで待っていたんだ」
「謝ろうと思って。どこか痛む所は無いかい?」
「そう言えばチャイムが鳴ったから扉を開けたら?....あれ?妹がいた様な??」
「妹?」
「いえ、何でも無いんです頭を強く打って混乱したんだと思います。」少女は頬を染めながら俯きチラチラと俺を見つめている
「ごめんなさい。私は多分大丈夫ですから、そのぉ〜」目を伏せながらゆっくりと体を起こしている
「あ、ああ!ごめんごめん」いつまでも抱きしめていた事を詫びながら少女を抱き起す
「せっかくですのでお茶でも如何ですか?結界のお陰で滅多に他人と合わなくて....そう言えばどうやってこの場所が?」笑顔で話していた少女の動きが止まり、次第に驚愕の表情へと変わる
いまさら...気がついたのか?
「いや、すまない深海の洞窟の帰りにさっき言ってた連れが発見したんだ」
「え?私の掛けた精霊結界が普通の人に見破ることなんて出来ません。そちらの貴女は見たところ普通の人には見えませんが...それでも私の結界を見破るなんて」少女は驚きながら大きな独り言を呟いている
そうか、精霊さんなのか
ん?
んん??
白髪の精霊少女を見つめていると何故か既視感が
あれ?この子ミストに似てない?
俺は隣のアンの耳元で
「なぁ、この子ミストに似てない?」
と尋ねてみる
「はぁ〜〜〜」盛大なため息と共に呆れた表情のアンが
「多分、姉妹ですわ」俺の耳に息を吐きかけながら答える
「この家を見つけた連れは今はここにいないんだ外に散歩に出かけてる。そいつも精霊だから見つける事が出来たんだと思う」俺の言葉に
「え?なんだ精霊だったら分かるはずよって!そんなわけ無いでしょ!」軽いノリツッコミの後真顔で俺に食いかかってくる
「そもそも、精霊は自分の管理する場所からは動かないのよ!森、山、河、湖、それぞれが管理する場所があるから精霊を連れて歩いてるなんて嘘だわ!貴方達何か隠しているわね!」
「まさかっ!精霊攫い!!」
こちらを睨みながら身構えていた
少し短いですが
評価宜しくお願いします




