帰り道
糞尿で閉鎖された元深海の洞窟を後にして
俺達は街への道のりを大きくなったポチの背に乗り進む
心なしか少しションボリとしているポチの首をわしゃわしゃと撫でながら森の中を行く
「ドロゴメンナ」後ろを振り返りポチは耳を伏せて謝っている
「どうしたんだよ?ポチ!お前らしくも無い」
「ノロイガトケテチョウシニノッタカラダメダッタンダナ」いつもは元気に振られる尻尾も垂れ下がり悲しげに反省している
「大丈夫だよ!気にすんな。よし!アン今日の晩御飯は元気が出るものにしてくれ!」
「かしこまりました」
後ろに乗っているアンへと声を掛けて雰囲気を少しでも明るくしようと頑張る
ポチのせいじゃなくて母ちゃんのせいだからな.....
洞窟から街までは森の中の林道を行く
行きは馬車だったので風景を楽しみながらゆっくりと帰る事にする
森の中から聞こえてくる鳥の鳴き声に耳を傾けながらポチの背中に揺られていると
「ねえ?アレックスあの場所?なんだか変な感じ??」一番後ろのミストが森の中を指差しながら口にする
「え?どこが??」
俺はミストが指差す方向を注意深く見渡すが何も見つけられない周りと同じように木が並んでいる
後ろのアンも分からないようで顔を傾けていた
「ほら!あそこ!なんかへんだよ!!」
ミストがポチから降りて少しだけ森の中へと入っていく
「ちょっと!ミスト一人で行くと危ないから戻って来いよ!」俺の注意をよそにミストは大きな木の前で何か探すようにジロジロと調べているようだ
俺とアンもポチから降りてミストの近くへと向かう
林道からはそれほど大きな木には思えなかったが近くに寄ると横幅が大人五人が両手を伸ばしてやっと10メートルくらいの大きな木が姿を見せた
「おかしいな?こんなに大きな木だったら道からも見える筈だけど?」俺の疑問に
「坊っちゃま、認識阻害の魔法がこの辺りに掛けられているようですわ」アンはその違和感に直ぐに気づく
「誰かがこの木を隠しているようですわ」
「この木を??」
「アレックス!この木のほら!ここ!取っ手があるわよ扉になってるみたい!!」
よく見るとミストが指差す木の表面にドアノブが付いていた
「気をつけ(ピンポーン)」
俺の注意より早くミストは扉横についていた呼び出しベルを押した
「ばかやろう!どんな奴が住んでいるかわかんないんだぞ!居場所を隠す奴なんか碌な奴じゃないんだから!」俺はすぐに戦闘になっても良いように腰の斧へと手を掛ける
納得いかない表情でミストがごめーんと誤っている
不意に鍵が外され扉が開く音がする
「はーい、どちら様??」中から中学生くらいの真っ白な髪の毛をした美少女が現れる
「あ!間違えましたー」
[ドカァン!バターンッッ!]「うぁぁぁん」
ミストは扉を思いっきりしめるかなりの音が響き中から呻き声が聞こえてくる、間違いなく扉で顔を強打したのだろう
「おい、ミスト!危ないじゃないかなにしてんだよ!」俺はミストの隣から取っ手に手を掛け扉を開けようとする
「ち!違うの!間違えただけなの!ね?は、早く街に帰りましょ??!」ミストは慌てながら取っ手を掴む俺の手を引き剥がし笑顔で俺の腕を引き扉から遠ざけるように引っ張る
「ダメだよ!怪我してるかもしれないじゃないか!」俺は取っ手を引き扉を開ける
木の中はまるで家のようになっていて玄関に蹲る少女を抱え起す
「すまない、連れが申し訳ないことをした」
「あ!アレックス!フォレスに触っちゃダメーー」ミストが叫びながら俺の腕から少女をもぎ取るように奪い去る。
少女はその勢いで壁に頭を強打する
「フォレス?ミストの知り合いなのか??」
頭を強く打ち気絶している少女
「はぁ?ほれす?誰それ??」
俺から目を逸らしながら答えるミスト
「まぁいい、取り敢えず目が醒めるまで待とう」
俺の言葉に
「えー?だ!大丈夫だってこの子は怪我なんかしてないような気がするよ!うん」
一体ミストは何に焦っているのだろう
「ダメだ!そんなに嫌なら俺が看病するから代わるんだ」俺が少女を抱き抱えようとすると
「ダメダメ!ぜーったいにダメ!!」
ミストが頑なに拒否している
よくよく見るととても可愛い少女のようだ
一体誰なんだ??
いかがでしょうか
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