ポチの呪い解除
アンが投げた包丁が壁に突き刺さる
壁の一部が剥がれ落ち蠢いている
やがて壁は色を金色に変え擬態していた魔物の姿を浮かび上がらせる
魔物は壁伝いに上へと移動する
アンの声に戦闘体勢に入る俺とミストとポチ
金色に輝く体を包む雰囲気は地龍よりも手強い
斧を握る手に自然と力が入る
アンとミストは魔術を唱えだす
[焔をもって全てを燃やし尽くせ]
アンの前に焔の矢が現れる
[全ては時を止め永遠にその姿を残せ]
ミストの前には大きな氷の塊が
魔術が二人の前から魔物に向かって放たれる
焔の矢がタコの脚2本を焼き切り氷の塊がもう2本を凍らせる
タコの魔物は天井から落ちてくる
大型トラックほどの大きな身体を持ち上げ俺とアンを狙い脚を振り下ろす
間一髪俺は右にアンは左に飛びかわす。アンとミスト、俺とポチ左右に分かれてしまう
失ったはずの脚はいつのまにかもと通りに生えている
壁や地面に脚を叩きつけ剥がれ落ちた岩を吸盤で持ち上げ叩きつけてくる
叩きつけてくる脚を避けながらアンとミストは魔術を繰り出す、タコの魔物は脚を盾にしながら防ぎ失った脚はすぐさま再生している
「アン、ミスト!脚はまた生えてくるから頭を狙え!」指示を出しながら振り下ろされる脚を斧で受け止めるが、あまりの力に吹き飛ばされ壁に激突する
「坊っちゃま!」「アレックス!」「「きゃ」」
吹っ飛ばされた俺に気を取られたのか、アンとミストも脚の一撃を喰らい壁に激突する
やばいかもしれない!そんな風に考えているとポチの身体が水色に光り
『ポチの呪い一時的に解除したから頑張って』
母ちゃんの声が左耳のピアスから聞こえてくる
能力80%カットの呪いが解除されたポチは
「ククク、クークックック、ハーッハッハッハ!イマコソムーンウルフのシンノチカラヲミセテヤロウ!!ドロ!ヨクミテオケ!」
俊敏にタコの脚を左右前後にかわし壁をものすごい速さでグルグルと走っている。
まるでサーカスのバイクスタントのようにドーム状の部屋の壁や天井を縦横無尽にタコの足の攻撃を避けながら走るポチ
壁に激突していたアンとミストも立ち上がり魔術を唱えだす
タコの魔物は天井と壁を走るポチに気を取られこちらを攻撃してこない、さぁ!ポチ攻撃するんだ!
眺めているとポチは電池が切れたようにゆっくりと床に着地して壁際に歩いて行く
うん?どうしたんだ??
「オロオロオロオロオロオロオロ」
ポチが壁際で吐いていたグルグル回って酔ったようだ。馬鹿な所は変わっていない
タコの脚がポチを吹っ飛ばす。ポチはゲロを撒き散らしながら飛んでいく「ポチ.....」
頑丈なポチは放置してこちらに飛んでくる脚を避けながら斧で斬りつける
金色のタコの肌は金属で出来ているのか斧での一撃を跳ね返す。アンが投げた包丁は脚を切り落としたのに、少しショック
向こうで二人の魔術が発動する
「全てを切り裂くその刃、縦横に舞え」
アンの言葉にタコの周りに風が吹き荒れ竜巻が発生するタコの身体に無数の切り傷がつけられていく
「雷鳴を打ち鳴らし全てを灰に」
鼓膜が破れるほどの轟音が洞窟内に響き渡り視界が真っ白になる閃光により耳と目が麻痺する
ミストの馬鹿何考えてんだ!
少しの時間が過ぎ視力が戻ってくる
目の前をボロボロのタコが這いずりながら水の中に逃げていく、あの魔術でも死んでいないんだ
スルスルと水の中に入って部屋の先にある階段へと消えた
やっと目が見え出したアンとミストは
「坊っちゃま!敵は?」「アレックス!タコは?」敵がいなくなった事に気付いて辺りを見回している
「階段から逃げたよ、アンはまだ良いとして。ミスト!もう少し使う魔術は考えろよ!こっちが怪我するだろ?」洞窟の中では雷禁止の注意をして仰向けに倒れているポチを見にいくと気持ち良さそうに、イビキをかきながら寝ていたあの轟音で起きないとかどれだけ....
辺りを気にしながら俺たちは出口へと向かう
少し短めですが如何でしょうか
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