[閑話]母からの贈り物
アーザル商会で依頼主と会談を終えた後、宿に戻り熱い夜を過ごして翌日。
宿を引き払う準備をしながら
「これからどうするトゥルー?俺としては、温泉に寄ってから北上して王都経由で東の都から船で武王国に行こうかと思うんだが?」トゥルーは右耳に手を当て息子の盗聴に神経を集中させていた
「おい、トゥルー?」返事はない
横向きに抱きかかえる、「ひゃ!」驚いた声を上げるトゥルーに熱烈なキスをする
バタバタと驚いていたが力が抜け潤んだ瞳で「ぱぱったらもぅ♩」と囁いている
「久々に二人っきりなんだ息子はアンとミストに任せてこっちはこっちで楽しもう」
頬を染めたトゥルーが伏し目がちに
「もう、昨日もしたのに。はい」
トゥルーは胸元のボタンを外しながら両手を広げる。朝から何度も愛し合う
宿を出ると太陽がとっても眩しい、膝が笑っている。少し頑張り過ぎたようだ
ツヤツヤしているトゥルーは元気いっぱいだ
息子はやっぱり俺に似だんだな妻の腰に手を回し寄り添って街道を歩き出す東に位置する温泉に向けて
[スカラレイ]の街を出た辺りでトゥルーが強化魔術を唱える馬よりも早く走る為街中では危なくて使えない
足元が光り体が軽くなるトゥルーを右肩の上に乗せ驚くような速度で走り出す
街道を行き交う馬車や人の間を滑るように抜け驚く人々を追い越して行く
疲れる事もなく走り続けあたりが暗くなってきたので今夜の泊まる場所を探す
探すと言ってもトゥルーがここだ!と言ったところを魔術で整地して掌から小さくした我が家を出し結界を張るだけで五分もかからない
街中では宿を取るが基本外では家を出して眠る
旅行の気分は薄れるが安心感は半端ない
玄関を開けただいまと我が家にはいる
トゥルーが玄関をまたぐと家中に灯りがともり窓が開き空気を入れ替えて行く
相変わらずトゥルーの魔術は凄い、お風呂にお湯を入れ夕飯を手早く作り出す。息子の事が無ければ完璧な妻だ。
二人で夕飯を食べ仲良く一緒にお風呂に入り暖炉の前で一日の疲れを取るためマッサージをしてもらっている
マッサージをしながらトゥルーは何かブツブツと言っている息子の盗聴は続いているようだ時折急に叫びだすがもう慣れてきた
そんな旅を何日か続けて明日には温泉に着くその前の晩
不意に何か思いついた様にドタバタと走り出し台所の床をめくり訳の分からないものを部屋中に広げだす
「なにしてんだ?」
「うふふ、内緒♩」
絶対良いことでは無い!神に誓って
紙に何かを書き出し魔術の言葉をブツブツと唱えている
俺は暖炉で揺れる炎を眺めながらウトウトと眠りにつく。横で何かカチャカチャと音をさせながら嬉しそうにしている妻に不安しかない、大きなため息と欠伸を繰り返し意識が無くなったころ
「出来たぁ!」妻の大きな声に目を覚まして何が出来たのかを眠い目を擦りながら確認すると.....
そこにはもう一人のトゥルーが.......いや、正確には爆乳のトゥルーがいた。胸以外は瓜二つのハダカの人形?が立っていた。夜遅くに何してるんだ??
「何してるんだ?」
「うふふふふ!完成したわ!母ちゃん二号よ!このごーれむに息子を虜にさせて泥棒猫から取り返すのよ!」頭を抱える
「いや、ごーれむを動かす魔石なんか持って無いじゃないか?」頭を抱えながら尋ねると
懐から濃紺の掌より大きな魔石を取り出しながら
「いざって時のために海龍の魔石をパクっておいたのよ!」いや、いざって時がこれか?
「さあ!完成させるわよ!」トゥルーは魔石を手に持ち人形の前で笑っている瞳がグルグル回ってイっちゃてる
素早くトゥルーの手から魔石をとりあげ
「きゃ!ぱぱったらなにするのよ!」
「馬鹿!母親に欲情する息子がいるか」
「だって!このままじゃ!アー君が!」
「だめ!」
「だってぇ」
「絶対だめ!」
「もぅ!分かったわよ!」
ぱぱの意地悪とブツブツ言いながら髪の毛や顔を取り外している
「私じゃなければ良いんでしょ?」
あれ?何かやってしまった感じがする
「はい!魔石返して」
そこにはトゥルーに少し似た顔と長い水色の髪の毛をした少女が立っていた
胸に魔石を組み込みながら
魔術を唱えだす、「貴女はアレッサンドロの妹よお兄ちゃんが大好きで大好きで仕方ない妹!お兄ちゃんに寄ってくる女の邪魔をする為にこの世に生まれたの良い?絶対にお兄ちゃんに手を出したらダメだからね??」魔石に金色の文字が浮かび上がる。嫌な予感しかしないが?
「瞳を開けなさい[生命の息吹]あなたは今日からサーラよ」
閉じられた瞳が開き紺色に輝く瞳をこちらに向けて挨拶する
「はじめましてお母さん、お父さん、サーラです。お兄ちゃんはどこ??」
辺りを見回して不安な表情をしている
「少し待ってね[記憶転写]これでいいわ。」
サーラは瞳を輝かせて
「ママパパ!ちょっとお兄ちゃんの所に行ってくる♩」そう言うとトゥルーが用意した服をバタバタと慌てながら着て出掛ける準備をしている
済まない息子よお前の周りにややこしい娘が行くことになりそうだ
「サーラ、貴女には私の魔術を使いこなせる様に記憶を転写していますお兄ちゃんが困っていたら助ける様にね!このピアスはママとポチと繋がっているから何か困ったら助けてを呼びなさい」
「はい!ママ」弾ける様な笑顔でこたえ俺の方を向く
「ん?」
「パパはなにも言ってくれないの?」首を傾けて聞いてくる大きく空いた胸元からはみ出す爆乳が眩し過ぎる
「パパ!」トゥルーが俺の視線に気づいた様に睨んでくる
「あ、ああ、気をつけて」やっとの言葉を絞り出す
もう一度謝っておこう息子よややこしい娘がお前の元に行く許してくれ
少し短めですがいかがでしょうか
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