人魚の誘惑
ポチへと掛けられたら呪いは
能力カット80%という鬼仕様の呪いだった
月狼って弱いもんだと思っていたら
母ちゃんの呪いのせいだったみたいだ
ただ、この呪いを解くと
本来の凶暴さが増して非常に危険なので
ポチには悪いがこのままでいてもらう
俺に掛かっていた呪いの反動のせいで
欲望に歯止めが効かない状態にある
その状態を抑制するピアスを母ちゃんに貰う
左耳に穴を開けてピアスを通す
水色の涙型の小さな宝石が付いたピアス
アンがピアスに何か描いてあると言うので
外して見て見ようとすると
外れない?あれ?母ちゃん?
「ふふふふふあーっはははは引っかかったわねそれは私の命を依代に極上の呪いが施された解呪不可能な呪いのアイテムよ!!」ずっこける
「何考えてんだよ母ちゃん...」呆れる俺に
自分の右耳を見せて
「そのピアスはこれとリンクしているの!アー君が喋る言葉は常にこのピアスを通して母ちゃんに届きます!」母ちゃんの右耳には同じピアスが
「あなたが生まれた時からずっと考えて作り上げた究極の呪いの装備品よ!」
何が究極の呪いの装備だ!
「単なる連絡用の装備だろ?なんで呪い装備品にするのさ!」
「うふふふ、アー君が愛の言葉を囁くのも母ちゃんに筒抜けだからね!」母ちゃんが最悪な事を言い出した
「信じらんね!」
「しかも!母ちゃんの声がピアスから出ます!起動ボタンはこっちにしかありません!うふふふ」
何考えてんだよ母ちゃん
「離れていてもいつも一緒♩」
母ちゃんに嵌められ耳に呪いのピアスを付けたまま取り敢えず宿を取りに行く
母ちゃん達と一緒の宿屋は嫌なので違う宿を探す
頭にはポチを乗せたまま、嬉しいのかずっと尻尾を振っている
後ろから付いてくるアンとミストはいつもの元気が無い母ちゃんに負けたのが応えているようだ
「どうしたんだよ二人とも元気出せって!」
「坊っちゃま、申し訳ありません。お守りする事が出来なくて不甲斐なくて不甲斐なくて」
「今度は絶対に負けないから」
二人共かなり応えたみたいで唇を噛みながら悔しそうに答える
「大丈夫だよ、今回は不意を突かれたから負けたんだよ」『不意じゃなくても負けないよーだ』
母ちゃんの声がピアスから聞こえる
くっ!五月蝿い
「アン!ミスト気にすんな!俺の妻になるんだろ!母ちゃんにはああ言ったがお前達二人とも纏めて面倒見てやる!いや!あと8人くらい増やして母ちゃんの度肝抜いてやる!」
「あっという間に孫だらけにしてやるぜ!」
『ひ!ぱぱ!!アー君が悪い事言ってるからちょっと行ってくる!』ふふ母ちゃんでも止められないぜ!ハーレムだ!
「坊っちゃま♩」「アレックス♩」「わん♩」
「いや、ポチお前は無理だ雄だしな」
「きゃ!きゃいん」ポチが前に回り込み俺の顔をを舐め回す
「ちょっとまて、お前さっき自分のお尻舐めてたじゃないか!く、くさ!」嫌がる俺の顔を執拗に舐め回す
アンとミストが少し離れていく
「おい、お前達何故逃げるんだ?」
「いえ、ぼ坊っちゃまそんな事は」
「あはは、アレックスそんな訳ないよ」
「ポチ!新しい家族だ!二人も歓迎してやれ!」
ポチをアンに投げる、アンの顔をこれでもかと舐め回す「きゃー!く、くさい!」
アンがミストへと投げ飛ばす
「いやーアレックスたすけ!く、くさ!」
みんなに臭いと言われ少し傷付いたポチがトボトボと俺の方に寄って来てゆっくりと俺を登り遠くを見つめながら大きなため息を吐く
『自分達だけ楽しそうにして!』
母ちゃんの声が悲しげなポチのため息と混ざり合う
海岸沿いに建つ宿屋に行き部屋を取る
部屋から見える浜辺には沢山の人とトップレスの人魚が
天国はこんな所にあったんだ!
芸術的な人魚の上半身を眺めながらアンが用意する紅茶を飲む
「おれ!ここに住む!」そんな独り言が勝手に口から溢れる
「坊っちゃま?まだまだ色々な島がございますからね?」目が笑ってない笑顔怖い
「やっぱり人魚のおっぱい見てるんだ!」
ミストが失礼な事を口にする
「馬鹿野郎!人魚の上半身を含むこの景色に俺は惚れたんだ!」『うわっ!やっぱりぱぱの息子だ』
「はいはい坊っちゃま窓はお閉めしますね?」
ら、楽園が!!
アンが頬を膨らませ
「坊っちゃま?近くに幾らでもございますから!」と自分の胸を突き出してくる
ミストも
「あたしのも恥ずかしいけど好きにしていいよ」
「人魚も仲間に入れていい?」
俺の問いに
「坊っちゃま!」
「アレックス!」
二人の気迫のこもった睨みが返ってくる
その日は初めてアンとミストの全てを
(上半身)見せてもらった
中々見応えのあるものだった
幸せってこんなに近くにあったんだな
少し短めです
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