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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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道中何事も無し

キーノサッキを治める貴族のもとへ

ある知らせが舞い込む


「なんだと?下級龍がいない?」

「は!いつもは山頂付近を飛んでいる姿が今日は一匹も見当たりません」


下級とは言えいちおう龍種

知能はそこそこ有り縄張りを主張する


そんな龍が縄張りから居なくなる?


「それがどう言う意味か解って報告しているのだな?」貴族は強い口調で報告者に問う


「は、ですが事実でごさいます。如何致しましょう?」膝をつき命令を待つ


「少し待て、住民にも知らせるな。もう一度調べる」


「承知致しました」報告者は一礼して部屋を後にする


下級龍が姿を見せないのは自分達よりも上位の種族が近づいているため


最近の湯治客の子供が行方不明になる事件が多発しているのと何か関係が


貴族は大きなため息をつきながら冒険者ギルドに連絡を入れる


ゴールドフッドを出て湖を過ぎると

山間にとても見事な滝が出てくる


地元では天滝と呼ばれ見事な落差で周辺に虹を作り観光客を楽しませる


馬車から流れ落ちる滝を眺めていると

ミストが膝の上に乗ってくる


馬車の中では小学生位の大きさで右の窓左の窓を行ったり来たりしていた


「うわ!凄いねあんな高いところから水が落ちるの始めてみたよ」どうやら始めて湖から離れるらしい


「ちょ、ミストじっとしとけよな馬車が揺れたら危ないだろ」落ち着いた旅が子連れの旅へと変わる


「ミスト!坊っちゃまに迷惑かけない!」

アンに捕まり小脇に抱えられて椅子へと座らされる


今日は紺の少しゴシック調のドレスに蜘蛛の刺繍の入ったエプロン、青紫の髪をシニョン風に結っている眼鏡もキマっててとても綺麗だ


「だって始めての旅なんだもんアンのケーチ!ブース!デーカパーイ!」見た目通りの悪口を吐く


「あらあら、どの口かしら?そんな悪い言葉が出てくるのは?」笑顔だが目が笑っていないアンがミストの両頬を抓りながら横に引っ張る


「いた、たたたた、たふけへころう」

ミストは俺のことを小僧と呼ぶ自分の見た目は?


両頬をはらしながら俺の腹に抱きつき泣き真似をしている


そんな賑やかな中馬車はゆっくりと目的地へと進む。


休憩に寄った小さな村では

山で狩った獣の革を使った鞄を村の人々が売って歩いていた


山鹿の鞄の出来は丈夫でなかなか良い

一緒に馬車に乗っていた商人が仕入れていたので

間違いは無いはずだ


俺は肩から掛ける鞄を一つ買う

アンが自分のポーチがあるのに?と不思議がったが


見ていて欲しくなったんだから仕方ない

鞄の一つも持ってない旅行者は怪しいからな


そんな言い訳を自分にして

お昼御飯の用意をするアンをミストと二人眺める


ミストは料理全般まったく出来ないそうだ

家事をした事がないらしい、まぁ精霊だしね


何を今まで食べていたのか聞くと

特に何も食べないでも生きていける

精霊は大地から栄養を分けてもらっている


「だから偉い!」ドヤ顔で大人の姿になるミスト

少しイラッとしたので胸を揉んでやる


この世界にセクハラなんて言葉は無いはず


顔を真っ赤にしたミストが涙目で

「あばばばば!えっち!」と両手で胸を隠して

小さくなっていく


あはははと笑いながら背中に冷たい視線が突き刺さる


振り返るとアンが

「まぁ!坊っちゃま楽しそうですわね」

なぜか背後に般若が見える


目をこすり頭を振り

「一緒に旅する仲間だし仲良くしないとね」

と子供のふりをしてとぼけてみる


「責任とって」ミストが何か言っているが聞こえない


「坊っちゃま、手を出しても構いませんがアンが

[始めて]ですからね」なぜか始めてを強調しながら笑顔、目は笑っていないとても怖い


昼食は山菜と魚の塩漬けのグラタン

魚は燻製に近い味でベーコンのような風味がする

ガーリックトースト

クルトンとチーズの入ったサラダ


ミストは何度もお代わりをする


デザートはパウンドケーキにキャラメルをかけホイップがたっぷり乗っている。紅茶と一緒に


パウンドケーキのしっとり感にキャラメルの香ばしさホイップの軽い甘さ。ケーキ屋か?


優雅に紅茶を飲む横で欠食児童がひとりバクバクと物凄い勢いで食べていて「雰囲気も何も無いな」とひとり愚痴る


村を出て少しすると大きな河にぶつかる

[サイクルヒル]この河に沿って南下すれば海にたどり着き海の側に目的地の街[キーノサッキ]がある


街自体は大きく無く

温泉宿が軒を連ねる鄙びた街


観光資源は温泉と下級龍への対抗処置で街に置かれた大きな発射装置。龍に向かい槍を飛ばす


龍に当たらずに落ちてきたらどうするんだろう?

などと考えてしまうが見ないことにはどんなものかわからない


幅100メートル程の河の岸辺を河に沿って南下する

満腹のミストは俺に抱きつく格好でグッスリ寝ている


見たまんまの子供である


アンは隣で買った本を読みキモい笑顔で

「まぁ!」「いやだわ!」などと奇声を上げている


俺は向かい合わせに抱き付いているミストの背中を一定のリズムでトントンと叩きながら外の風景を楽しむ



ゆっくり流れる時間はとても贅沢なものだな

前世では感じることの出来なかった幸せに包まれながら


あれ?そう言えばアンに俺は転生者だと話したっけ?まぁべつにいいかなどと思いながら


微笑みながら眠るミストの髪をなでる、可愛い。

母性なのか?


やがて街に到着する事を行者から知らされる


あれ?龍は??などと思いながら

どんな街なのか想像を膨らませる


少し短めですが如何でしょうか



もしよろしければ評価&ブクマお願いします


ご意見頂ければ嬉しいです


誤字脱字はこっそりと直していきますので

お許しを

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