男の夢?とスライムの勝負は?
ゴールドフッドのお祭りが近づき
あちこちで浮かれた声が聞こえ出す
職人は最後の最後まで己の技術で真剣勝負を繰り広げる
ただ一本の武器の完成を夢見ながら
目が覚めると、そこには全ての男性の夢と希望の塊が二つ。何が詰まっているんだろう?と優しく揉んでみる
最高に柔らかい、スライムか?スライムなのか?
一人自問しながら無心で揉み続けると
アンが目を覚まして
「もぅ!坊っちゃま♩」と嬉しそうに微笑む
ごーれむだけど、前世とは全く違うリア充人生だなぁ
などと、しみじみ思い返しながら揉む、揉み続ける
「もぅ、ちゃんと責任とって下さいよ♩」
と可愛く囁いてくる
優しく頬を撫で、吸い込まれそうな瞳を見つめる。
う〜ん、ごーれむでもいいや、こんなに美人に愛さられるなら。頬にキスして身支度を整える
「坊っちゃま、キスは口にするものですよ」
と頬を膨らませてこちらを睨む
「時期が来たらね」笑顔で切り抜ける
昨日教えられた店に向かう
アンはどこか不機嫌な様子なので組んでいる腕を引き右頬にキスする
「もぅ!坊っちゃま人前で」とても嬉しそうだ
こじんまりとした店に着き、名前を呼んで店に入る。
「おはよー?ミランダさんいますか?」
店の奥から、髪がボサボサ目の周りにクマが酷い娘が出てきた。「あぁ、いらっしゃい、ごめんなさいね散らかっていて」
言葉の通り、店はとんでも無く散らかっていた。
床には失敗作と思われる武器の試作が転がっているしテーブルには食べかけの物が散乱していた。
アンが「このような所にいると坊っちゃまが病気になってしまいますわ!」と片付けを始める。普段は超優秀なメイドなのだ
ミランダは申し訳なさそうに
「すいません、助かります片付けが苦手なんで」
と、アンに頭を下げている
アンはブツブツ言いながらも、テキパキと片付け、
話が出来るようにテーブルと椅子の上のゴミを片付ける。
「昨日の続きなんだけど、新しい武器を作って欲しいんだ」早速本題に入る
「依頼は嬉しいんだけど、新作のイメージが未だに固まっていないんだよ」申し訳なさそうにミランダが答える
「どんな武器を作るつもりなの?」大まかなイメージを訪ねる
「そうだね、今までの武器に無いような、斬新な物で剣のように斬りつけレイピアのように刺す事が出来て相手の攻撃を受けることが出来る、なんて...夢物語だけどね」
「実現するには、硬さと柔らかく粘る、二つの相反する鉄が必要なんだよ」悔しそうに唇を噛んでいた。
昔テレビで見た刀の作り方にそんな場面があったような気が?確か
「二つの鉄を使えば?」
「え?」
「いや、相反する鉄を作り挟んで一本の剣にしたら?」適当に答える。素人だからこその発言だ
すると、ミランダは
「相反する鉄を挟んで一本にする?」遠くを見つめながら呟き瞳に輝きが灯る
「ごめん、ちょっと試してみたい」
そう言い残して奥の工房へと消えて行った
片付けの終わったアンが
「坊っちゃま、再訪された方がよろしいかと?」
俺は頷きながら店を後にする
さて、どうしようかと街を目的もなく歩く、アンがいるため苦痛を感じる事なく街の散策を楽しみ、川沿いのカフェに入り紅茶を飲みどうしようか考えていると
にやけ顔のイケメンが声を掛けてくる
「おい、坊主良いゴーレムだな金貨8000枚で売ってくれないか?」
迷う事なく即答で
「断るね、たとえこの国のすべての金貨を積まれても手放す気なんて無いよ」と男前に答える
にやけ顔が「ほう、惚れてるのか?」と驚いた顔で尋ねてくる
即答で
「ああ、べた惚れしてる」とニヒルに笑っているつもりの顔で答える
アンが嬉しさのあまり壊れそうになっている
「ぼぼぼぼぼ坊っちゃま♩♩♩♩♩」瞳に涙を浮かべながら力一杯抱きついてくる
ステータスの差を忘れているようだ
俺はギブと呟きタップする
にやけ顔が肩を竦め
「ゴーレムにも愛されてるらしいな、これほど愛されてるなら無理強いはしないさ」と気障な台詞を吐く
殴りたい衝動に駆られるも、にやけ顔をよく見るとどこか懐かしく感じる。昔何処かで会った事があるのか?不意にそんな事を思う
「おい、坊主名前は?」
「アレックス」
「んん?....アレックス?」
何か思い出したのか顎に手を当ててくれ小さく呟いている
「親父の名は?」
「ケビン」
「あぁ、そうかあいつの子供か」
「おじさん、父ちゃんの事知ってるの?」
「誰がおじさんだ!お兄さんと呼べ!お兄さんと!コホン...ああ知ってるよ。そうかケビンの息子か、お前趣味が良いな、あいつとは全く違う!ゴーレムにメイドの衣装を着せるなんて!分かってる。何か困った事があったらギルドで俺に言付けろワーグナーだ。じゃあな!」
にやけ顔は一通り喋り、ウインクをして満足そうに去っていく
一体誰だったんだ、それと俺の頬に自分の頬をスリスリしているアンをどうしようか考えながら
紅茶を飲み現実逃避する
「アンは、アンは!一生離れませんわぁ」
他のお客の視線が痛いが、まだパンケーキを食べ終わっていないからな。
それにしても、金貨8000枚か....新作のゴーレムが買えるのかぁ、などと思ったりはしない、うんしない
ギルドに寄り、新しい依頼を斜め読みする。
未だにアンは頬をスリスリしていたが、気にしたら負け「坊っちゃま、アンは...もう壊れてしまいそうですぅ...」などと言っているが、え?まだ壊れて無いのというのが俺の本心だ
依頼の中に、『峠にスライムが出たので討伐して欲しい』との依頼が駅馬車組合から出ていた。
お世話になったので受けようと思う。
けっして、うちのスライムと、どちらが柔らかいのか気になった訳では無い。断じて....
街道沿いに峠にでて少し歩く、やっと頬スリスリをやめたアンが、背後から覆い被さるように抱きついている。
非常に歩き辛いし他人の視線が痛い。
しかし、天にも昇る心地の顔をしたアンに止めるように言えない。背中に当たる『スライム』が気持ちいいからではない!たぶん
峠を少し下り目的地に着く、辺りは何も無い峠道と斜面。斜面の上から、(ずるっずるっ)とスライムが下ってきた水色じゃ無いんだ、などと考えていると。
背中に抱きついているアンが
「邪魔をするな!」と指から火の玉を飛ばす
ポン!と弾けて終わり....揉み、いや観察してみたかった。アンに「スライムに興味があるから少し倒すのは待って」と、お願いする。
その後現れたスライム、灰色で『ポヨンポヨン』している、を手に取りその柔らかさを確かめる...
冷んやり冷たくて、これはこれでなかなか良いかも
と何かと比べていると。
背後から首を伸ばしたアンがジト目で、
「坊っちゃま?なぜか手つきが『イヤラシイ』感じが致しますが?一体何とお比べになられているのですか?」これが、噂にしか聞いたことのない女の勘という奴か!と焦っていると
アンが急に
「えいっ!」と俺の!俺のスライムを崖下に向かって遠投してしまう
「ああ!俺の『ポヨポヨ』がぁ〜!」つい口に出してしまう
アンが
「坊っちゃまの『ポヨポヨ』はワタクシが!二ついつも持っていますから」笑顔なのに目が笑っていない
「たまには違(坊っちゃま!)問題有りません」
その後現れるスライムは悉くアンに瞬殺され
俺の掌には冷たくて柔らかい余韻だけが残る
泣いてなんかないやい!
ギルドに完了報告して少ない報酬を受け取り
宿屋に、日課をこなして寄り添いながら眠る
明日は何をしようかな
如何でしたでしょうか?
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