次の街へ
森の奥深くに逃げ込んだ地龍の亜種
ギルドは森への出入りを当面見合わせるように
告知する。
高ランクのPTが全滅した事を重く見た結果である。
それに伴い2度無傷で帰還し情報を提供した少年のランクを上げるべきでは?との声が上がる
その声は未だ確固たる実績がない事を理由に1ランクだけ、つまりGからFへと普段通りの昇格にかき消された
彼らは何も知らない少年は何一つ何もしていない事を
地龍の母親に襲われた翌日
ギルドに行くと森への出入りは禁止になった事と
俺のランクがFへと上がった事を聞かされる
「アレックス君おめでとう!これで初心者から抜け出せたね」Fランク駆け出しと呼ばれる
「ありがとう、地龍はどうなるの?」
森への出入りが禁止されると殆どの依頼がパーになる
「王城へ連絡されて返事待ちだけど多分高ランクのPTと軍隊の混合部隊での討伐隊が結成されるんじゃ無いかな?1カ月くらいは森への出入りは出来ないと思うよ」
森へ入れないとなると王都にいても大した依頼が受けられないな
その間に周辺の街にでも行こうと思い
職員に面白い街は無いかと聞くついでに観光名所
「面白い街かぁ〜南西にある街は様々な職人が腕を磨いて新進気鋭のブランドなんかが誕生する
周りにはこの国一番の鉱山があり一見の価値ありだね。」
「さらに南の海沿いには温泉が有名な街が有り
街を囲むように聳える山には下級龍が住む街には
下級龍に対抗する備えがしてありこれも一見の価値ありだな」
「その街の西にはリゾートで有名な港街がある
海中を優雅に泳ぐ魚人族は必ず見たほうが良い」
ありがとうと礼をして旅の準備の為に
買い物に向かう。小さなテントと雨具など
アンが食材の補充をしたいと言うので市場に寄り
様々な香辛料や野菜果物、魚介肉、などを購入する。腐らないのか心配していると。ポーチの中は魔術で時間が止まっているらしい便利だな
買い物を終え準備をし宿屋に別れを告げて
南門から南西の街へ旅に出る
旅人の姿はまばらだが荷馬車や駅馬車などが出ている。駅馬車の一つに乗り込み南西の街を目指す
三日かかるらしい。
馬車の中は俺達を含めて8人そこそこ窮屈に乗り込んでいる、行商人や親子連れ、なぜか、世紀末に出て来る雑魚キャラのような見た目がヒャッハーで醜悪な漢二人そして俺達
ヒャッハーが俺達をちらちら見ながらニヤニヤしている悪い予感しかしない。案の定
「おい、姉ちゃん!そんなガキ放っておいて俺たちと楽しもうぜ!」ヒャッハーとか言っている
アンは俺の顔を両手で挟み自分に向け
「坊っちゃま目が腐りますわ、わたくしの方を見ていて下さいね♩」と煽っていた
「クソアマ!痛い目にあいてぇのか!おい!行者馬車を止めろ!!」ヒャッハーが叫び馬車が無理やり止められる
「まぁ坊っちゃまこわいですわね〜」と笑顔である
「降りろ!クソアマ」とアンの腕を掴む
「汚い手で私に触れるな」と腕を捩上げゴキ!と音をさせその場で回し蹴りを繰り出し漢二人を馬車の外へ
「行者さんゴミは降ろしましたのでしゅっぱつしんこ〜ですわ」と満面の笑みで告げる
皆の顔が明らかに引き攣っていたが馬車は再び動き出すヒャッハーを残して。
夕暮れに差し掛かり馬車は停留所に停まり
ここで野宿をするようだ、俺達の馬車の他に3台の馬車が停まる20人ほどの集まりで個々にテントやハンモック、はたまた地面にゴザを敷き野宿の準備を進める。
俺達も俺はテントを用意しその間にアンが夕食を作る、とても良い匂いが辺りに漂い他の人々が
アンを注目していた。あの調理台はどこから?
などと聞こえてくる。
テントが出来上がり満足していると
「坊っちゃま御夕食の準備が整いましたわ」
とアンが知らせて来るテーブルの周りには人垣が出来ている。
「皆さま申し訳御座いませんが坊っちゃまが御食事致しますので!」と強い口調で皆を解散させる
テーブルには市場で購入した魚介のムニエルやポタージュ果物が入ったサラダなどが並びとても良い匂いがする。
スズキによく似た魚のムニエルは香辛料を効かせた食欲を刺激する味でとても美味い。
オレンジや林檎の入ったサラダは酸味を効かせたドレッシングがかけられてムニエルの脂っこさを消す
ジャガイモのポタージュは滋味溢れ優しい味
美味い!今日も美味い!と食べていると視線を感じ左斜めを見ると男の子が涎を垂らして此方を凝視していた。
「少し食べるかい?」と俺が聞くと
首が取れるんじゃ無いかなと思うほどブンブン振って大きく口を開けていた
俺が仕方ないなと魚をフォークに刺して口に入れようとすると
「坊っちゃま!なりません!!」アンが血相を変えて席を立ち自分の分を子供に分け与える
「坊っちゃまのあ〜んはこの!アンが!!」
と口を開けて目を閉じていた
可愛いので頬にキスしてみた
「ま!坊っちゃま!」と両手で頬を挟みクネクネしていた、うん怖い
その後子供にも食事を振舞ってやりデザートの シフォンケーキを食べ満足そうに
「ありがとうお兄ちゃん!」
と笑顔でお礼を言われる
兄貴はいたが弟は居なかったので始めての経験
うん悪く無いな悪く無い
その後後片付けも済ませてアンの魔術で身体を綺麗にしてもらいさっぱりしたところでテントに入る。
アンは服を脱ごうとしていたが
「いや、外はまずいでしょ?」と俺の一言で口を尖らせながら渋々エプロンドレスのまま寝転んだ
アンは腕を伸ばし俺を手招きし
「坊っちゃまどうぞアンの腕をお使い下さい」と
アンに腕枕され右腕に包まれて寝る
逆じゃないかな?などと思いながら眠りに落ちた
深夜、沢山の蹄の音と馬車を引く馬の怯えた鳴き声で目を覚ます
少し短めですが
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