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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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初ダンジョンと地龍

王都の北から遥かに伸びる大森林

様々な物資を人々にもたらす豊かな森


その森には様々な魔物達も住処を作り


ある者はユニコーンの群れを

ある者はナイトメアを

またある者は地龍を目撃したとギルドに報告する


そんな森の中にある大きな岩にぽっかりと大きな穴が急に姿をを表す。

新しいダンジョンの誕生である。


悪い夢から目覚める

辺りは暗くいつもの部屋のベッドによこたわっていた


そうか、あまりの事に気を失って倒れたのか

少し情けないなと溜息をつく


部屋の片隅で、アンが俺の服にアイロンのようなものを当てシワを伸ばしていた。毎晩あんな風にしてくれているのかと思うと、嬉しくもあり申し訳ない気持ちもある。心の奥で愛しさが生まれつつあるようだ


不意に目が合う

「申し訳ございません、坊っちゃま起こしてしまいましたか?」

服を畳みこちらに歩み寄る


「いや、いいんだ。いつもありがとう。」

ベッドに横たわりながら礼を口にする


満面の笑みで

「坊っちゃまの為ですから、今日は色々ありましたから早く寝ましょうか」とベッドの横に座りロングブーツを脱ぎおもむろに服も脱ぐ


「おい、何故服を脱ぐ?」

ジト目で尋ねると


「だって、この方が間違いが起こり易いでしょ♩

坊っちゃま♩」と天使の笑顔でとんでも無いことを口にし俺の頬にキスしてベッドに入ってくる


理性が吹っ飛びそうな匂いと柔らかさ包まれながら

まぁ呪いのせいで間違いは起こらないんだけどな




翌朝、目が覚め隣を見るとまだアンは寝ているようだ。青紫の長い髪の毛の美しさに見惚れながらまつ毛長いなぁなどと感心して頬をぷにぷに触っていると不意に目が開き目が合う


「坊っちゃま、他の女性にはこんな事しちゃダメですよ」と笑顔で俺の手を両手で挟む


少しイチャつきながら身支度を整え、昨日の犬探しを再開する。


最初から、アンの魔術で動物から聞き込みを行う、すると、一羽の鳥が良く似た犬を見かけたと教えてくれる。


早速その場所に案内してもらい、王都を流れる下水の入り口付近に佇んでいた犬を発見する。


アンが事情を尋ねると、飼い主から買って貰ったお気に入りのボールが下水に落ちてしまい途方に暮れていたそうだ。


新しいボールを飼い主に買ってもらう事を約束して飼い主の元に連れて行く。


依頼を達成して、ギルドに報告を済ませる。

まだ、昼前なのでこのまま次の依頼を受けようとボードを見に行く。


様々な依頼があるが、捜索系が値段の割に結構大変なので、仕方がないが採取か魔物討伐依頼でも受けようかと依頼書を斜め読みしていると


[高ランク限定 海龍の調査、討伐隊の募集 金貨200枚] と左端に出ていた。龍を見てみたいなぁ

などと考えているとギルドの職員さんが


「その依頼は書いてある通り高ランクの冒険者限定なんだB以上の熟練冒険者のみの募集なんだ」

と声を掛けてくる


「あ、いえ、龍に興味があっただけです」


「そうか、まぁこの国にも龍はいるにはいるけど下級龍しか確認されていないからね、海龍みたいな災害クラスは特に珍しいよね」

海龍の依頼の下に


「王都北の森ダンジョン調査」

報酬も書かれていない依頼があった


不思議そうに眺めていると

「あぁ、ダンジョンの調査かい?新しく北の森に、ダンジョンが生まれたらしいんだ、新しく生まれたダンジョンは階層も浅く魔物も弱いし宝物も少ないから熟練の冒険者は依頼を受けようとしないんだ」


「報酬は調査した階層で決まるから、探索後に決まるのさ、未知のダンジョンだからどんな魔物が出るか分からないから、新人には向いてないね」


そうですねと頷き、同じ森で採取と魔物の素材収集の依頼を受ける。オレンジキノコ30本と一角森兎の角5本だ


軽く持ち物を揃えて森に向かう

長い年月を感じさせる鬱蒼とした森は、背の高い木々が立ち並び昼前なのに薄暗く人の侵入を拒んでいるように見える


手入れされていない森だが歩くのに邪魔な草などは少ない、日が差し込まないせいだろうか?


倒木があちこちに有り

腐り果てそこには色々なキノコが生えていた


毒キノコの見分けが付かないからオレンジキノコ以外は回収しないでいようと思っていると


アンがテキパキとキノコを回収してポーチに入れている


「毒キノコの見分けがつくのか?ていうか、ポーチが汚れない?キノコ臭くなるぞ?」

俺は道具屋で買った小さな袋を肩に下げてそこに回収品を入れている一緒に袋に入れようか尋ねると


「このポーチは魔道具ですので、ほぼ無限に物が入りますわ、大きな物も入りますし小さなものも壊れる事はございません!坊っちゃまのお荷物もアンがお持ちします」と俺の肩の袋を持ちそのままポーチに入れる便利な魔道具だな

まるで未来の猫型ロボのようだ


順調に、キノコを回収して一角兎を二匹仕留めた

時間もお昼頃のはずなので飯にしようか?と街で買った黒パンをポーチから出してもらう

「坊っちゃま!これから御食事はアンが用意致します!」と鼻息荒く宣言しているので


「じゃあ頼もうか」と笑顔で応えると


「はい♩」と、とても良い笑顔で

キッチン台を出し、テーブルを出し、椅子を出す...

そのポーチは何次元ポケットなんだ?と突っ込みたい気持ちを抑えて、椅子に座って待つ


アンはキッチン台に、様々な調理器具と調味料を並べて次々と兎の肉を料理して行く


キッチン台から、水や火が出ているのは魔術なんだろうなと深く考えずに森の静けさの中次々と出来上がる料理を眺めている


先ずはサラダ、さっき取ったキノコと兎それから草原で集めた薬草が混ぜられたキノコサラダ


少しの苦味がアクセントになりチーズが香るドレッシングが掛かっている、美味い


次にスープ兎の肉の硬い部分から取った出汁でつくるコンソメスープ。オニオンと野味溢れる兎肉が良く合い、これまた美味い!


メインは兎に様々なキノコを詰めて焼いた丸焼き

キノコに兎の旨味が染み込み少し癖のある兎には様々なハーブが揉み込まれている

最高に美味い!


これは、王都で店を出せるレベルだな

などと感心していると


〆のデザートがでてくる

ふわふわのクリームがのったパンケーキと紅茶


前世ではあまりデザートは食べなかったのだが

美味い!濃厚なクリームと甘さを抑えたパンケーキが絶妙なバランスで、ここは森の隠れ家レストランか?と勘違いするような気持ちにさせる


実際はただの森の中だアンと向かい合わせで

食事を終える。アンはこちらを伺いながら


「坊っちゃま如何ですか?お口に合わなかったでしょうか?」と、おずおずと尋ねてくる


「いや、最高に美味かった王都で店をだしていてもおかしくない腕だな!」と、手放しで褒める


「ありがとうございます♩これで坊っちゃまのお嫁さんに...」いや、そんなことは一言も、言っていない紅茶を口にして考えないようにする


「ですが、今回は材料がありませんでしたのでわたくしの腕前のほんの一部しかお見せ出来ておりませんもっと良い材料があれば坊っちゃまも虜にしてみせますわ」天使の笑顔で宣言する


肉が兎だけなのが納得いかなかったようだ

十分すぎるほど美味しかったと褒めて


その後も二人でキノコ狩りと兎狩りに熱中しながら少し森の奥に入ってしまった


少し奥まで入りすぎたかな?などと思っていると

目の前の大きな岩にぽっかり開いた入り口の様なものが見えてきた。


あ、これがさっきギルドで聞いたダンジョンか?と人生初のダンジョンに見入っているとキノコ採りに夢中になっていたアンが転げて入り口からダンジョンに「きゃぁ!」と姿を消す


仕方ないのでダンジョンに入って倒れてべそかいているアンを抱き起こし入り口へ向かう


「申し訳ございません」

「いや、怪我はないな?」


「はい♩わたくしを傷物に出来るのは坊っちゃまだけ....」

「頭以外は心配ないようだ」などと呆れながら出口に向かうと、「うん?」背後に気配を感じ振り返ると紅くデカイトカゲがこちらを伺いながら近寄ってくる。トカゲは唸りながら長い舌を伸ばし

牙を見せて威嚇している。


あれ?出来たばかりのダンジョンは弱い魔物しかいないんじゃ無かった?などと緊張感なく考えて

明らかにやばそうな魔物からどうやって逃げようかと考える。その時


アンが俺の前に出て

「坊っちゃま!地龍の子供ですわ!」と嬉しそうに叫ぶ


龍なのか?子供とは言えその前脚だけで

俺より大きく太いぞ!といよいよどうやって逃げるか算段していると不意にアンが地龍に近づき


おれが危ない!と声をかける前に

地龍の右脚の踏みつけを避けて懐に入りポーチから包丁を取り出し


「地龍は最高のメイン食材ですわ!坊っちゃまの胃袋はわたくしの物になる事間違いなし!」

と固そうな鱗が並ぶ右脚付け根に滑らかに包丁を入れて熟練の職人のように縦にまるでシーツでも切り裂くように切り込みを入れ、付け根の関節を手早く外して右脚をこちらに持って帰って来た


戦闘はダメでも食材ならお手の物なのか?


唖然とする、俺と地龍。

地龍は自分の右脚をながめて驚愕をその顔に表して鳴き声を上げながらダンジョンの奥へと逃げて行く。右脚を俺の前に置いたアンが


「あぁ!地龍の心臓はそれだけで最高の精力剤になるのに、待て待てぇぇ」

と奥へと追っていこうとする。


声をかけて引き留めダンジョンに入るには十分な準備とギルドへの報告が義務になっているだろ!と無理やり出口へと引っ張って行く


精力剤で何する気だコイツは

その後回収した地龍の右脚を肉と革と骨と爪に

分けてポーチに入れホクホク顔で街へと戻るアン


俺に美味しい食事と革の良い部分で胸当てを作り残った革と骨と爪を武器屋に持っていきお金に変えると嬉しそうに話している


その可愛いさに少しやられた

これはリア充でいいのか?いや良いんだろう



その後、俺たちがもたらした地龍の報告は

冒険者達を強く刺激する。


手負いの地龍の子供など宝箱が目の前に落ちているような物だと一種のお祭り騒ぎになり


皆こぞってダンジョンへ足を運び 欲に塗れた願望を満たそうと冷静な判断を見失う


その奥に怒りに震える地龍の母親が待ち構えているとも知らずに






如何でしたでしょうか?


もし宜しければ感想、評価などいただけますと

やる気漲ります。

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