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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
15/86

王都とゴーレム

古き良き歴史を残す

旧王都、「アルテミオ・フランキー」


街の至る所に花が咲き

人々は歌い活気に満ち溢れる古の都


街の大通りは石畳みが敷いてあり

行き交う馬車は陽気なリズムを奏でる


そんな大通りを外れ裏路地に入ると

どこか怪しげな店が建ち並ぶ通りがある


露店や店先にゴザを敷いて品物を並べて客を呼ぶ

通称「盗人市」掘り出し物を探しに沢山の人がやってくる、そんな喧騒のなか

一軒の店がポツンと存在する

「魔導人形の店レイナードクーリ」


店の中には沢山のゴーレムが並び

目覚める時を待っている。


そんな店の一番奥に未だ現れない理想に夢を抱き

永き刻を待つゴーレムが

PTを組んで、はや一カ月が過ぎようとする頃

毎日、依頼を受けてこなし一切の無駄使いをしないで貯め金貨25枚を何とか貯める事に成功する。


仲間達に旧王都に行って来ると言うとレナトが


「僕達も一緒にいくよ!」

と、答えてくれた。心強い


何やら、貯めたお金で新しい装備を買いにいくらしい。旧王都までは徒歩で20日馬車で5日掛かるらしい。丁度旧王都までの護衛依頼があったので

護衛しながら王都へと向かう事にする。


ギルドの受け付けで依頼を受けていると、

エルヴィスに会い「街を出るのか?」と声をかけられる。


「エルヴィスさん!王都で買い物です、ゴーレムが欲しくて。」その後少し話しをする

この国にずっといるつもりなのか?一度エルフの里に行ってみてはどうだ?などなど


俺は世界中を旅する目的なので必ずエルフの里にも行くと話す「里に行くのならカーリーを必ず訪ねて欲しい。会えばわかる」そう言い残し去っていく


翌日準備を終えた俺達は待ち合わせ場所の東門へとやって来る。護衛は俺達の他に2組のPT

3人組と二人組計9人で行われる。


3人組は剣士一人と弓師二人

二人組は弓師二人のPTだ


緊急時の連絡方法や対処方法を取り決め

護衛隊のリーダーを3人組の一人に任せる。


荷馬車は4台、二人づつ乗りこみ交代で警護にあたる、3人組のリーダーが馬に乗り先行する


3人組は慣れているのか、とても手際良く

見晴らしの良い道を進む。俺は色んなことがあったせいか油断する事なく馬車の外に気を配っていた。


その時リーダーの合図で行者が一斉に馬車を止めた何事かと見回すと遠くからこちらに向かってくる魔物の姿が見えた。ゴブリンだ


ゴブリンは生息する場所によって強さが格段に違うがこの辺りのゴブリンは雑魚だ亜種でも大したことは無いそれなのにとても好戦的で人間を見つけると向かってくるとても厄介な存在だ


戦闘準備をして待ち構える。

まずは弓師が、矢を放つジャンルカ以外

とても優秀な弓師のようで4体のゴブリンが倒れる

残りの2体がこちらに向かって来る


残りの2体をリーダーがあっという間に斬り伏せる

時代劇の主人公のようだ。カッコいい


これでもランクDらしい、変態さんより下なのは

何故なのか?謎だ


その後は特にトラブルもなく野営を繰り返して

旧王都へとたどり着いた


その足でギルドに向かい依頼達成報告をする。

報酬は金貨18枚これをPTで割りそれを個人で割る


他のPTとはその場で別れ

「どうする?」レナトが尋ねてきた


「取り敢えずギルドに寄ってお金を下ろしてから

ゴーレムを見に行くよ」


「じゃ、俺達は武器屋巡りをするから、終わったらギルドで待ち合わせしよう」


ミランが

「王都はスリが多いから気を引き締めろよ」

フラグをたてるな!と思うも


「ああ」と短く答える


一人でギルドに向かい受け付けでお金を下ろして

ゴーレムが買える店を訪ねる


職員の若い男が

「ゴーレムの店なら大通りのバッキンガムが有名だね」金ピカのイメージがよぎるがお礼を言い

街の簡単な地図を貰う


教えてもらった場所に着くとそこには、まさに

バッキンガムな建物が、金ピカの店内に

ミニスカの女性が接客をこなしている

ゴーレムが並べられたまさにショールーム


恐る恐る入ってみる

「いらっしゃいませ〜本日はどのような御用ですか??」

戦闘に使えるゴーレムを探している事を伝える


「戦闘用ならこちらですね〜

こちらはキャウンタック社の新作ですよ」

何でも外装はオリハルコンをふんだんに使って

可動部には魔石を配し人間と同じ可動域を実現

心臓部の魔石にはランクAの森四つ首竜を使用して

格闘スキルが65もある万能タイプらしい


赤く流線型のフォルムは男心を擽ぐる

近未来的なロボットだ、欲しい!これ欲しい!


「これ!幾らですか?!」と興奮して尋ねる


「はい!こちらは1年間の定期メンテナンス付きで

金貨7500枚です!」満面の笑みで女性が答える

高い!高すぎて笑えて来るコイツ見た目が子供の俺に何て物勧めてんだ!!


「すいません、もっとお手頃なゴーレム有りませんか?」意気消沈しながら尋ねる


「そうですね〜こちらは去年の作品ですが

新作より少し劣りますがその分お安くなって

金貨6000枚ですね〜」目眩がする

その時レナトの言葉を思い出した。最初は中古


「こちらは中古のゴーレムは扱っていますか?」

そう尋ねると


「申し訳ございませんお客様

当店は最新の物を取り扱うショップなので」

と、他の店を紹介して貰う


東門近くのサンダーズゴーレムは中古も扱っているらしい

お店に入ると厳つい親父が「らっしゃい」と

まるで気難しいラーメン屋の雰囲気だ


店内は明るく様々なゴーレムが

所狭しと並んでいる


親父に中古の物はあるかと尋ねると

あっちだと親指で指す


雑多な雰囲気のコーナーがあり色々なゴーレムが

置いてある。最新式に比べるとかなり見劣りする

不恰好なゴーレムが数多く並べられている


首から説明書きを下げてあり

そのほとんどがEランクの魔物の魔石を使い

スキルも15〜20までの初心者用だ


盾スキル所持のゴーレムは居ないか探していると

親父が「坊主、どんなゴーレムを探してんだ?」

と声を掛けてくる。


俺は「盾スキル所持かそれに代わるスキルを持っているゴーレムを探してます」と答える


すると親父がゴーレムの山から

一体取り出して「盾ならコイツがお手頃だな

盾スキル17他に槍スキルが12だ」


お!希望するゴーレムが見つかった

「お幾らですか?」少し高くてもギルドに

借金しても良いかと思いながら尋ねる


「コイツは金貨75枚だな、一応の整備は無料でしてやる」俺の顔色が曇っているのに気付いた親父が


「なんだ?金が足りないのか?」と聞いてくる

無言で頷くと


「幾ら持ってんだ?」


「金貨26枚」


「流石に三分の一じゃぁ譲れないぜ?

ここのゴーレムは一番安い物でも金貨60枚はする

うちの店より安い所は商品のほとんどがスクラップだ部品を取るためだと割り切らないと修理代のほうが高くついちまう」親父が困ったように

説明してくれる


俺は「ありがとう」と肩を落として店を出ようとすると


「まぁ無駄かも知れないが大通りの裏側にある

古いだけが自慢の店を見てみると良い

スクラップも多いが何とか動く機体も置いてあるだろう」と優しく声を掛けてくれた


ほぼ、諦めた感じで教えてもらった場所へ

バッキンガムの裏側にあった

店先には「魔導人形の店レイナードクーリ」

と年代を感じさせる古ぼけた看板が出ていた


店内は広いが薄暗く高い天井には照明はあるものの灯りは無く代わりに蜘蛛の巣がはりついている

カビ臭く埃っぽい歩く度に床が軋み

何か呪われた館のようだ

奥から愛想なく禿げた親父が出てきたが俺を

見て冷やかしかと思ったのか挨拶もせずに

仕事に戻る


薄暗い店内にはいくつものゴーレムが並べられていたが、片手が無いものや片足の物ばかりで

まともに動きそうに無いものばかりだ

値段は金貨15枚前後


半ば諦めながら店の中を見て歩くと

何故か視線を感じる

「ん?なんだ?」

奥は暗くてよく見えないので近づいて行くと

店の一番奥の棚と棚の間に椅子がありメイド服を着た女性が座っていた。


暗くてよく見えないので近寄ると

まるで、ハリウッド女優のように

鼻筋が通り大きな瞳

青紫の縦巻きロールに透き通るような白い肌

theメイドという出で立ちの

絵に描いたような美人が真っ直ぐに此方を見つめている

何か用かと尋ねようと声を出す前に首から

かかる故障品という文字が目に入る


「え?これってゴーレムなの?」思わず口にする

顔を近づけて良く見てみると


長い睫毛に透き通るような白い肌

頬にふれてみると柔らかくぷにぷにしている

本当にゴーレムなのか?と疑っていると

不意に瞬きをする


「ごめんなさい」何故か謝る俺に

ゴーレムは微動だにせず少し微笑む


え?故障中なのか?などと考えていると

親父がやって来て「そいつは壊れてるよ」

とぶっきらぼうに言う「全く動かないのさ」と背後から俺に呼び掛ける


ゴーレムは右目を閉じてウィンクする

え?動いてんじゃん!


「動かなくてもいいなら、金貨23枚だよ

壊れてるからスキルもどんな魔石を使っているのかもわからないけどな、動かない人形としても作りは良いからな高いんだ」


金貨23枚か、買えない事は無いが

などと思案しているとメイドさんが

「お願いします買って下さい」と俺だけに聞こえるような小さな声で伝えてくる


例えゴーレムとは言えこんなに美人のメイド!

俺は即決で金を店主に渡す。


ゴーレムの使役には魔法を用いて儀式を行う

簡単な儀式でゴーレムの口から自分の血液を飲ませてキーワードを呟くだけらしい


俺は自分の指を少し切り血をメイドの口へと運ぶ

何故かメイドが顔を持ち上げて「かぶっ」と指にかぶり付く

驚いたが気を落ち着かせて

「我は汝の主人なりその身果てるまで付き従え」

と教えられた通りの言葉を口にする


すると、メイドが急に立ち上がる

背後で親父が悲鳴に似た声を上げているが

俺はそれどころでは無い


天使のように微笑むその瞳に吸い込まれそうになるのを抑えてメイドを見上げる


俺の身長が140センチほどだから170センチくらいだろうか?俺の身長はまだまだ伸びるはずだ!

そんなくだらない事を考えていると


「初めましてこれよりこの身が果てるまでお仕えいたします。先ずは、わたくしに名前を頂けませんでしょうか?」

声は低いが威圧感はなくとても聞き心地の良い滑らかな落ち着きのある声をしている


「そうだな、名前か、アンだ!」

有名な女優の名前を付ける優等生キャラの美人だ


「承知いたしました。一つ私からお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」頷いて先を促す


「坊っちゃまとお呼びしても、よろしいでしょうか?」顔を両手で挟みながらモジモジしている

まぁ好きにすれば良いと応えると

満面の笑顔で「坊っちゃま!」と叫んでいる

何故かやらかした感じがする


唖然とした店主に礼を告げ店を出ようとすると


「ま、待て!やっぱりそいつは売らん!」

などと言い出した、えぇ?なんて思ったら


アンは

「お黙りなさい、私は坊っちゃまの物です」

と冷徹に蔑んだ瞳で吐き捨てるように口にして

俺の手を引き行きましょうと笑顔で店を出る


所持金をほぼ使い果たしたが悔いは無い!

そう感じながらギルドに向かう

買い物を終えた3人が唖然とした表情で


「アレックス、ゴーレムは?なんでメイドさん連れて帰って来たの?家も無いのに雇うの?」

とレナトが耳元で囁く


俺は「これが俺のゴーレムだ!と胸を張って紹介する」


アンは「坊っちゃまにお仕え致しますアンと申しますこう見えてゴーレムです」と自己紹介をする


3人の目がまるでどこかの変態さんを見る目に変わっていた事に気付いていない俺だった

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