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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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冒険者研修と初めての仲間

世界中にあるギルドは1つの団体から出来ている

各国にその支部あるいは出張所を設けて

様々な活動を行なっている


例えば、凶悪な魔物退治の依頼、

凶悪な犯罪組織撲滅のため政府への協力、

新人の育成など多岐に渡る


依頼の受付も、魔物討伐から薬草の採集

はたまた迷い犬の飼い主探しまで


基本的に地域に密着した依頼を各支部で

処理している。しかし、たまに世界共通の魔物などの討伐があれば各支部へと協力要請される


そんなおり、龍王国近海で海龍の存在が確認され

通航していた商船が沈められる

各国へ注意と討伐への参加呼びかけが行われる

自由連合国の西の都のギルドに落ち着いた俺は、とにかく依頼をこなそうと

受付に赴く受付には昨日のお姉さんが

笑顔で立っている


「おはよう、よく眠れた?」


「おはようございます、あまり眠れなかったけど大丈夫です!、早速依頼を受けたいんだけど

何か良い依頼は無い?」


「アレックス君に見合う依頼は〜

っと、良かったら先に冒険者研修を受けてみたら?」


「冒険者研修?なにそれ?」


「ギルド主催の研修なんだけど、武器の簡単な使い方とか採集時の注意とか、近辺で注意する魔物なんかを教わる実地訓練よもちろん組合員は無料」


なんて親切な異世界なんだ、と思わず笑みが溢れる

「参加します!どこにいけばいいですか?」


「参加受付は私がやってるから受付しておくわね

時間は1時間後に街の西門の外に集合よ

お昼ご飯も少し出るから特に用意も要らないわ」


ギルドで街の簡単な地図を受け取り

俺は身体の不調が無いか確かめるように

少し街を歩く、2週間の過酷な環境は

身体に様々な歪みをもたらすはずだ


ゆっくりと確かめるように身体を動かして

立ち並ぶ店を眺めながら西門の方へ向かう


途中、武器屋ラバネリと書かれた看板のお店を

覗く、自分の適正は斧だと言われたので

安い斧でも無いかと探しに


「いらっしゃい」銀髪の親父が不機嫌そうに挨拶する「どうした坊や?お使いかい?」

俺を一瞥して親父は興味を無くしたように尋ねる


「冒険者なんだけど斧を探してるんだ」

イラッとしたが顔には出さず尋ねる


「ほぅ、そいつは済まないな」

親父は少し驚いたように此方を伺い


「予算はどのくらいだ」

と、ぶっきらぼうに聞いてくる


「あまりお金は無い!安いのを見せて欲しい」

正直に答える


「まぁ、良いだろう」

親父は笑いながら店の奥に向かう


少しして親父が戻ってきたその手には斧を

3本抱えて


「うちの店にある安い斧はこんな所だな」

カウンターの上に並べていく


「まずは石斧、特徴はある程度の重さが有り

切るよりも叩き潰す用に作られている、銀貨5枚だ」


「次に魔物の骨で作られた骨斧、特徴は鉄ほどでは無いが硬くそれなりに切れる銀貨8枚だ」


「で、最後に鉄の斧だ、まぁ説明は要らないと思うが、重さも十分にあり硬さも申し分ない

切れ味も手入れさえ怠らなければ文句は無いだろう金貨2枚だ」


この世界のお金は石貨、銅貨、鉄貨、銀貨、金貨

とあり銀貨は大体1枚1000円だろうか?

石斧で5000円

骨斧で8000円

鉄斧で2万円か

ちなみに手持ちは、昨日の情報料の銀貨2枚だ


正直に銀貨2枚しか手持ちに無いと告げると

親父は困ったように笑い


「坊主、銀貨2枚じゃぁ斧は買えないぜ?

良くても加工前の鉄の棒くらいだ」

その言葉に閃いた


「親父さん!鉄の棒で斧にする前の物見せて」

そうだ、子供の頃から慣れ親しんだ

父ちゃんのお手製斧?で今は十分だ


「武器にもならないかも知れないぞ?

それでも良けりゃ工房について来い」


「ありがと!」

そう言って親父の後について工房に入る

武器屋兼鍛冶屋なのか、大きな炉と金床がある錆びた匂いのする部屋に入る


そこには加工前の鉄の塊がゴロゴロ落ちている

その中から、良さそうな棒の先に塊がついている鉄を銀貨1枚で購入した、親父がサービスだと、斧?を下げるベルトを付けてくれた


一応これで装備も整ったので西門の外に

もう時間ギリギリだったようで

沢山の子供達が集まっている。


西門を出ると大きな一本道が港へと続いている

左手には森が右手には草原が広がっている


集合場所へ行きギルド職員に名前を伝え

最終点呼を終え職員の説明が始まる


「本日お前達の指導を受け持つ

アンドレアだ一応これでもランクCの冒険者をやっている」

赤毛の無精ヒゲのおっさんが自己紹介を始める

鉄で作られた胸当、膝当て、脛当て小手を付け

ロングソードを腰に付けてはいるが、太ももから上が丸出しになっていて、

オレンジのホットパンツが股間を強調している

見た目がヤバイおっさんだ。変態かもしれない


先ずは基本的な事

お金の種類とその大体の価値

知らなかったが金貨よりも上が存在するらしい

宝石などで作られており一般にはあまり流通していないのだそうだ


次にスキルについて

スキルとは熟練度と言われ、鍛錬によって

上がって行くと言われているらしい


剣なら剣を格闘なら格闘を鍛冶なら鍛冶を

どれだけ鍛錬を積むかによって熟練度が上がる

その数値がスキルとして表示される


まぁ練習あるのみなのは前世でも今世でも

同じという事だな


次に冒険者に必要な知識

薬草の種類や毒消しの種類

薬草はヨモギのような草でそこら辺に生えているらしい。


次に野営の仕方や設営方法

どんな場所にテントを張るかなど


最後にこの近辺に現れる魔物の説明

街の近くには今のところ危険な魔物は存在しない


皆真剣な表情で話しに耳を傾けている

一通りの説明を受けて実地訓練に移る


先ず数人のパーティーに分けられる


俺のパーティーは剣士と弓使いと魔法使いの見習いと俺の4人ますば自己紹介を交わす


「俺はミラン剣士だ」

自信が溢れている、そんなロンゲの少年が口にする


「俺はジャンルカ弓が得意なんだ」

どこか我儘そうな雰囲気の小僧が名乗る


「僕はレナト一応魔法使いの見習いです」

優等生っぽいな


「俺はアレックス一応斧が得意なんだ」


俺たちは自己紹介を終えて少し話しをする

他の3人は幼馴染でこの街の生まれらしい


昔から3人でPTを組む事を考えていたらしい

少し羨ましい


それから俺達は森に入り先ず

薬草と毒消しの採集

薬草はヨモギに似た草

毒消しは見た目タンポポに似てる

を集めて使い方の指導を受ける


股間親父は

「まずは、薬草の使い方を説明する

摘んだままでも一応の効果はあるのだが

茎と葉の部分を分けて茎はすり潰し葉は刻み混ぜ合わせて患部に塗りその部分を包帯などで固定するこうする事で効果は別物に変わる、ただ刻んだり潰したりすると日持ちがしないためそのまま持ち歩くように」


「毒消しだが、この毒消し草は簡単な毒しか

消す事は出来ないのであまり過信し過ぎないように気休め程度のものだと思ってくれ」


「街の錬金屋には少し高価だがポーションが売ってあるある程度お金に余裕があるならば必ず所持する事をお勧めする命に関わるものだからだ」

股間親父は見た目以上に優秀なようだ


「ここまでで質問はあるか?」


一人が手を上げて

「薬草はどの程度の傷なら治せるの?」


「薬草も基本は気休め程度しか直せない

切り傷や擦り傷、打撲など傷跡は残るし

痛みも消えない」


「しかし、この薬草や毒消し草は錬金の材料として用いられるので需要はそれなりにあるので

荷物に余裕があるならば集めておいて売ればそれなりの収入になる」


次に野営の設営

設営する場所、出来れば川から近い街道の脇

森の中は魔物に襲われる危険があるので

お勧めはしないとの事まぁ一晩中見張りを立てる事は必須らしい


簡易的な竃の作り方や虫除けの草を使った簡単な防虫剤、火の起こし方などなど役に立つ事を教えてもらう


それからメインでもある狩の方法

「狩は必ず慎重に確認する事だ!群れの魔物に手を出すと生きては帰れない事になる

何匹いるのか?魔物の強さは?など自分達と必ず比較が出来てこそ冒険者と言える忘れるなよ!」


「魔物と獣の違いが分かる者はいるか?」

俺の隣のレナトが手を上げる


「魔物は魔石が身体の中にあります」


「その通りだ!どんなに凶暴でも獣には魔石は存在しない。どんなに弱くても魔物には魔石が存在する覚えておけよ」


「魔石の回収時は細心の注意を払うように!

魔物は他の魔物の魔石を食い強さを増し進化する個体もいる亜種と呼ばれる物の多数がそれだ

進化によって見た目だけでなく攻撃手段も増えるので見た目の違う魔物には特に注意が必要だ!」


「それじゃあPTごとに狩を行う余り遠くには行くな迷子になるからな」

股間親父の言葉を合図に皆行動に移す


何故誰も親父の格好に質問しないのだろうか?

急所がモロ出しなのは?なぜオレンジのホットパンツなの?などと、どうしても気になるがいまは置いておき皆と森に向かう


森の中は適度な明るさがあり恐怖感は特にない

子供の頃から木樵として森には慣れ親しんだせいだろう


口笛を吹きながら進むと、レナトが

「アレックス君口笛は不味いよ、沢山の魔物を引き寄せる事になるんだから!!」

と慌てて近寄る


「ごめんごめん」と謝りながら皆について行く

緊張感が足りなかったようだ


ミラン、ジャンルカ、レナト、俺の順で森の中を少し進むと、ミランが手で止まれと合図する


少し先に大きな兎がいた。兎のくせに一メートルをゆうに超える大きさで草を食べている


ジャンルカが間髪入れずに

「いただきっ!」と矢を放つ


「あっ!バカ!」

と周りを確認していたレナトが制するが時既に遅し矢は兎のお尻に刺さる


その瞬間二メートル程垂直にジャンプしたかと

思ったら、こちらに向かって唸りながら突進してくる


それを見て慌てて戦闘態勢に入るが

間に合わずミランが兎の体当たりをまともに食らいジャンルカと共に吹き飛ばされる


俺とレナトは木の後ろに隠れる


「大丈夫か!」レナトが声をかける


二人は重なりながらも大丈夫だと答える


俺は兎の前に出て斧?を構える

後ろではレナトが何か魔法を唱えている


兎は後ろ足に力を込めて体当たりを繰り返してくるが木を上手く使いながら躱す


伊達に小さい頃から森に入り浸ったわけじゃない


何度目かの突進を躱すとレナトが

「アレックス行くよ!」と声を掛けてきたので俺は大きく避けて距離を取る


レナトの手のひらからゲンコツくらいの炎が

兎に向かって放たれる


炎は兎の鼻先で兎を包み込むように弾け辺りを紅く染める


距離がある俺にまで熱が伝わってくる


「アレックスまだだ!トドメを刺して」

レナトが叫び炎から焦げた兎が飛び出してくる


突進を半歩横に避けて

横から背中に向けて思いっきり斧を叩きつけ

兎の動きを止める、そこへミランが剣を手に飛びかかるがジャンルカの矢が先に心臓を射抜く


ミランとジャンルカがどちらが先に

倒したかを言い争っている


やっとの事で倒す事が出来ほっと一息ついた

その時、木の陰からもう一匹飛び出してきた


危ない!と思う間も無く呆気に取られていたその時


反対方向から「危ない!」と

赤毛の変態、もといアンドレアさんが飛び出してきて俺達の前に立ちはだかり


兎の渾身の体当たりをまともに股間にくらい悶絶しながらロングソードでひと突きし兎を仕留め

前かがみに蹲って腰をトントンしていた


大丈夫ですか?と声をかけようとした時


「何やってんだよ!二人とも!ふざけんなよ」

レナトが鬼の形相で怒鳴りだした


二人の襟首を掴み自分に引き寄せ

「大兎だったから良かったものの一角兎なら

死んでたよ!わかってんの!!チームワークを乱すんなら僕はもう抜けるよ!!」

レナトは怒らせると怖い委員長のような凄みがある


二人は互いにコイツが!なんて罪のなすり合いをしていたがあまりの形相にビビり素直に謝っていた。


そこで蹲ってる変態のおじさんは良いのか?

と思っていたら。

「ありがとうございますアンドレアさん」

と思い出したように、レナトが声を掛けている


変態のおじさんは腰をトントンしながら

「大丈夫か?先ずは相手の確認を必ずするんだぞ」と注意しているが、様にならない


「アンドレアさんはなんで急所を隠さないの?」

あまりにも気になり尋ねてみた


「あぁ、急所を守らない事で自分に適度な緊張感を与える事とこの格好をして外を歩いていると

ドキドキするんだ!」


この、変態は子供に自分の歪んだ性癖を暴露して何がしたいんだ、とジト目で引きながら見つめる

俺達をよそにオレンジのホットパンツの話を

熱弁している、無視して俺達は大兎の解体に取り掛かる。変態に付ける薬はない


大兎の肉と皮そして魔石を取りわけ

不要な部位を土に埋める。こうしないと他の魔物を呼び寄せるらしい


その後、昼飯まで採取をして

皆で狩った魔物の肉をつかい昼飯を作る


ギルドが用意してくれたのはパンのみ

オカズは現地調達が基本とのこと


いろんな魔物の肉が入ったシチューは

とても滋味深く疲れた体にはとても良い


それから最後に今日のおさらいで締めくくり

研修は終了する


獲得した物は各自で分配する

俺のPTは大兎の皮と魔石それから薬草など

一度ギルドに買い取ってもらい4人で分ける事にした、銀貨6枚になったので一人銀貨1枚と銅貨5枚

が取り分になる。


不意にレナトが

「アレックス!、明日はどうする?」

と聞いてくる


俺は、「明日?何かあったっけ?」と答え

少し考える


すると、レナトが

「違うよ、良かったら俺たちのPTに入らないか?

明日から依頼をこなしてランク上げするんだけど?」


「え?良いのか?俺、ハーフエルフだけど?」


「貴族様じゃあるまいしそんなこと気にしないよ

なあ?二人とも良いよな?」


「あぁ別に構わないぜ」

「レナトが良いなら文句無しだ!」


二人とも歓迎してくれているようだ

「俺は世界を見て回りたいから少しの間だけでも良いかい?」


「あぁ!モチロンだよ」

レナトはとても良い笑顔で手を出してくる

キツく握りよろしくと笑顔で応える


次の日の約束や俺がギルドに宿泊している事を告げ今日は別れる


色々あったが、家をでて初めて仲間が出来た。

母ちゃん俺、何とかやって行けそうだよ!

そんな事を呟きながら心地良い疲れに

包まれて眠りに落ちる。






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